江津市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

経常収支比率はH26は104.3％となっており、総費用に対する総収益の額は上回っている。しかし、3年連続でその比率は減少しており、その主な要因は給水収益の減少である。一方、料金回収率は4年連続で100％未満で、給水に係る費用を給水収益のみで賄うことはできておらず、給水収益以外の営業外収益に頼っており、その主なものは一般会計からの繰入金である。また、給水原価については上昇傾向にあるが、これは有収水量の減少と総費用の増加に伴うもので、とくに減価償却費の増加が主な要因である。流動比率を見ると、H26の会計基準見直しにより、1年内に支払う企業債が流動負債となったため266％に半減したが、他団体と同様の比率となっており、支払能力が著しく低下したわけではない。しかし、給水収益と管路布設替等における特定財源の収入が減少し、現金預金残高は毎年2～3千万円程度減少傾向にあり、計画的な施設更新への投資にまわすだけの余力は乏しい。企業債残高対給水収益比率は減少傾向にあるものの他団体と比較すると高い割合になっている。企業債残高は新規借入額より償還額が上回るため、減少傾向にあるが、給水収益の減少により今後もこの比率は変わらない。施設利用率は、過去の5年間で大きな変動はないが、他団体と比較すると高い利用率となっているが、人口減少とともに利用率は減少している。また、有収率については、84～85％で推移しているが依然、経年劣化による漏水がある。

老朽化の状況について

有形固定資産の減価償却率は、H26の会計基準の見直しによるフル減価償却移行により適正な減価償却率となり、一旦急激に増加した。今後必要な管路更新を行わなければ有形固定資産減価償却率は年々増加する。管路経年化率は平均値で約1.0％ずつ上昇しているが、管路更新率の平均値は0.7％程度に留まっている。更新のその大半が公共工事に伴う配水管支障移転工事によるもので、計画的な更新を行っていない。このことにより管路経年化率の増加率が管路更新率を上回っている。よって、早急に更新計画を策定し、毎年2～3千ｍ程度の更新をしなければ管路経年化率は増加し続けることになる。

全体総括

会計全体の運営状況を見ると、単年度における経常収支比率が100％を超えているため、未処分利益剰余金の残高は増加している。しかし、当期純利益の額は年々減少傾向にあり突発的な多額の費用が発生した場合、単年度決算における欠損金が発生する可能性がある。繰越利益剰余金については毎年の未処分利益剰余金発生により増加しているが、損益勘定留保資金に更新需要への投資へまわす余裕はなく、現金預金残高も減少傾向にある。さらにH29において簡易水道事業との経営統合により、さらに水道事業会計の経営は厳しいものとなる。また、投資活動における計画的な管路更新が行われていないため、必要な更新需要を早急に把握して適正規模の投資活動を行っていかなくてはならない。今後は給水収益向上と必要な管路更新財源確保のための、簡易水道統合後の経営状況を踏まえた適正料金の設定と維持管理費用のさらなる節減、適正な投資規模による企業債の新規借入、有収率向上のための漏水調査等を行い健全な経営を目指すこととする。