経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、118.05%となり、類似団体平均及び全国平均に比べて高い水準となった。これは経営の安定化のため、令和元年度に水道料金改定を実施した成果である。その一方で災害等による特別損失を計上しているため、見込んでいた収益を得られていない。累積欠損金比率は0%で発生していない。流動比率は、20ポイント減少し125.52%となった。これは、流動資産が前年度と同程度であったが、3月に発生した災害等の影響により未払金が増加し、流動負債が15%増加したことによるものである。依然として類似団体平均及び全国平均に比べて低い水準にあるものの、料金改定の成果により純利益を確保する計画であり、改善することが見込まれる。企業債残高対給水収益比率は、438.59%と40ポイント減少した。類似団体平均及び全国平均に比べて高い水準にあるが、企業債借入額を抑制していることから年々減少傾向にある。料金回収率は、115.95%となった。これは、企業債の償還財源及び投資財源を確保するために料金改定を実施した結果であり、これにより経営の安定化が図られるものとなっている。給水原価は、275.19円と減少したものの依然として類似団体平均及び全国平均に比べて高い水準にある。今後、施設の修繕費や物価高騰の影響による費用の増加が見込まれることから、施設の維持管理費用の削減等の取組が求められる。施設利用率は、48.30%と類似団体平均及び全国平均に比べて低い水準にある。給水人口の減少や水需要の低下により、配水量が減少していくことが見込まれることから施設規模を適正に把握する必要がある。有収率は、86.59%となった。管路の老朽化による漏水が多発していることから、引き続き、漏水の早期発見による有収率の維持・向上に取り組んでいく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は43.32%となった。資産額が大きい浄水施設などが比較的新しいため、類似団体平均及び全国平均と比較して低い水準にある。一方で管路経年化率は、26.72%と類似団体平均及び全国平均に比べて高い水準にある。計画していた更新延長に達していないため、投資計画の見直しを実施している。また、管路更新率は0.15%と減少したことから、見直しした投資計画の更新延長を達成し老朽化した管路更新を進めていく。
全体総括
令和3年度は、令和元年度に実施した水道料金改定の成果により収益を確保することができた。その一方で災害等により特別損失を計上したため、予定していた収益確保できていないことから投資計画への影響が懸念される。また、物価高騰の影響による費用の増加が見込まれており、新型コロナウイルス感染症の影響と同様にそれらの影響を注視していく必要がある。管路更新については、令和3年度に「美里町水道事業経営戦略」の見直しにより、令和13年度までの投資計画を策定したことから、計画に基づき施設及び老朽化した管路の更新を進め、有収率の向上と各指標の改善を図っていく。資産の更新の主たる財源である企業債は、企業債残高対給水収益比率が類似団体平均及び全国平均に比べ依然として高い状況を改善するため、収益を確保することにより、企業債の償還財源を確保し、借入額を抑制し企業債残高を減少させていく。今後については、持続可能な経営を行うため、適正な料金水準の検証、各業務の費用対効果の検証を実施することによる経営の健全化に努め、経営基盤の強化を図っていく。