経営の健全性・効率性について
➀経常収支比率は、経常費用のうちの大きな比率を占める受水費が大幅に減少したことにより、9.21ポイント増の114.90%となった。しかし、⑤の料金回収率が低いことを見ても、一般会計からの繰入等の料金収入以外の収入に依存する構造は変化していない。③流動比率は現金預金の減少とともに年々低下していたが、受水費の大幅減少等の理由から年度末現金預金残高が増加に転じると同時に流動比率も上昇した。しかし、類似団体平均値及び全国平均値と比べて低く、短期の支払い能力が劣っていると言える。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の年度末未償還残高が前年度末対比で約1億円減少したことから低下したが、類似団体平均値及び全国平均値と比べて高い水準にある。今後給水収益が減少することが予測されることから、適切な更新投資により企業債の発行を抑制していく必要がある。⑤料金回収率は、受水費の大幅減による給水原価の低下により約7ポイント改善したが、引き続き80%台であり、類似団体平均値及び全国平均値と比べて低い水準にある。⑥給水原価は、受水費の大幅減により約7.8%低下したが、今後も費用抑制に努める必要がある。⑦施設利用率は、一日平均配水量の増加によりわずかに上昇したが、今後の給水人口減少等を見込んで、施設の適切な統廃合・ダウンサイジング等を検討する必要がある。⑧有収率は、年々改善傾向にあったが、若干下がる結果となった。類似団体平均値を上回ってはいるものの、引き続き漏水調査に基づく修繕や管路の布設替により改善を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
➀有形固定資産減価償却率は、前年度比で若干上昇した。類似団体平均値や全国平均値を下回ってはいるが、老朽化した施設について優先順位を定めて計画的、効率的な更新を行っていく必要がある。②管路経年化率は、管路の布設替等により法定耐用年数を経過した管路延長が微減したことから、若干低下した。類似団体平均値、全国平均値を下回っているが、経年化率を抑えるために、今後も引き続き優先順位を定めて計画的、効率的な更新を行っていく必要がある。③管路更新率は、ごくわずかながら上昇となった。類似団体平均値や全国平均値と比べて比較的高い水準にあるが、配水管の法定耐用年数の2倍以上の年数を要する更新ペースである。今後は、過剰な投資とならないよう財政状態とのバランスを図りながら計画的、効率的な管路更新を図っていく必要がある。
全体総括
経常収支は比較的安定していると言えるが、一般会計からの繰入に依存する(営業損失を営業外利益で補う)構造がある。今後、高料金対策に係る繰入が逓減していくことから、経常収支の悪化を防ぐ手立てが必要である。資金収支では、業務活動による資金の増加が、投資活動及び財務活動による資金の減少を補って、前年度末よりも現金預金が増加する結果となった。今後、給水収益の減少、一般会計からの繰入の減少、企業債償還金の増加等、現金預金が減少する要因が存在する。今後安定的な経営を行っていくには、適切かつ効率的な施設管理や費用の抑制に努めつつ、適正規模の投資を行っていく必要がある。老朽化対策、耐震化対策等多大な資金が必要となるが、施設の状況把握に基づく優先順位等を考慮して投資計画を逐次見直し、収支見通しを行いながら進めていく必要がある。こうした取り組みの中で、必要な財源確保のための適正な料金水準等の検討も行っていく必要がある。