経営の健全性・効率性について
【①経常収支比率について】当該指標が129%であり、経常収支の黒字分は老朽化した管路等の更新投資に充てるものである。【②累積欠損金比率について】当該指標が0%であり、累積欠損金は発生していない状況である。【③流動比率について】当該指標が100%以上であり、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等を保有している状況である。【④企業債残高対給水収益比率について】類似団体との比較では1.5倍ほど高くなっている。企業債の借入額について、年度単位で償還元金を下回るよう抑制しており、経年比較では改善している状況である。【⑤料金回収率について】当該指標が119.24%であることから妥当な料金水準であると評価できる。【⑥給水原価について】本市水道事業は湧水に恵まれており、類似団体との比較では低い。一方、経年比較では徐々に高くなっており、老朽管の布設替え及び漏水修繕等を実施して有収率を向上させ、薬品費や電気代等の経費節減を行う必要がある。【⑦施設利用率について】当該指標は48.91%であり、類似団体との比較では低い。人口減少が進む中、施設のダウンサイジング等を検討することが必要である。【⑧有収率について】当該指標は67.94%、類似団体との比較では10%以上低い状況である。これは老朽管からの漏水が原因と考えられる。改善傾向にあるのは、漏水探査を実施し、発見した箇所を即時修繕している効果が表れているものと分析している。また、令和3年度及び令和4年度において、下水道事業と合わせ、国道に埋設されている老朽管の布設替えを施工しており、有収率の向上に期待しているところである。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率について】本市水道事業は、46.19%で類似団体との比較では低い状況だが、老朽化の状況を示す他の指標である管路経年化率が高く、管路の更新率が高くない状況を踏まえ、令和3年度からの10年計画である「都留市水道事業ビジョン」及び「水道施設整備基本計画」において、老朽化した管路を積極的に更新することとしている。【②管路経年化率について】本市水道事業は、27.90%で類似団体との比較では1.4倍以上高い状況である。法定耐用年数を経過した管路を多く保有していることから、管路の更新等を「水道施設整備基本計画」に基づき効率的に行う。【③管路更新率について】経常収支の黒字で確保した内部留保資金により、管路の更新等を「水道施設整備基本計画」に基づき、耐震化も含めつつ効率的に行う。
全体総括
老朽化した施設や管路等の更新及び耐震化、大規模災害への対応、給水人口の減少に伴う給水収益の減少等の課題に対応するため、令和3年度を初年度とする「都留市水道事業ビジョン」及び「水道施設整備基本計画」を策定した。これらの計画に基づき、安全でおいしい水を供給する水道、災害に強く安定した水を供給する水道、健全な経営で未来へつなぐ水道を目指し、今後10年間は法定耐用年数の40年を経過する管路延長よりも長い距離の布設替えを行うことで有収率を向上させるなど、健全な経営を行う必要がある。なお、令和3年度11月以降、既存の水源から揮発性有機化合物(ETBE)が検出され、水質監視体制を強化したり、水源を切り替えたりした結果、水質検査の委託費や取水ポンプの動力費(電気代)等の支出が増加した。