経営の健全性・効率性について
主な収入源である給水収益は給水人口の減少、大口使用者の減少や節水機器の普及等により減少傾向にある。経常収支比率については、平成30年度までは類似団体平均値は下回るものの100%以上を維持してきたが、令和3年度は昨年度より改善はされているものの100%を下回った。累積欠損金比率は欠損金を生じていないため、この5年間全て0%で推移しており、経営については概ね適正に維持されているものと考えられる。流動比率は100%を上回っていることから、短期的な支払い能力は確保できている。企業債残高対給水収益比率が増加していることについては、給水収益の減少が主な要因であると考えられる。料金回収率は、100%以上で推移してきたが、昨年度に続き100%を下回った。給水原価は、受水費の割合が高いこともあり、類似団体平均と比較して非常に高い状況にある。また、減少が続いている給水人口や節水型設備の普及により、年々水需要が減少していることから、施設利用率は類似団体平均値を下回っていることもあり、今後の水需要動向によっては施設規模の見直しを検討する必要がある。有収率においては、令和2年度まで70%台で推移していたが、令和3年度は69.01%となり、類似団体平均値及び全国平均を下回っていることもあり、安定給水の観点からも漏水防止のための維持管理及び管路更新を計画的に実施し、有収率向上に努める必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び管路経年化率からも見られるように管路の老朽化対策が重要課題であり、計画的な管路の更新が必要であるものの、少ない人員での対応となるため飛躍的な進捗を求めることは難しい状況にある。また、同年代に整備されたものも多く老朽化が進行しており、今後計画的な更新を進めていくためには組織体制の整備や財源の確保が必要である。更新については、水道ビジョン及び管路更新計画に基づき、緊急性や施設の重要度を考慮し、費用の平準化を図りながら、計画的な更新が必要である。なお、管路経年化率の増加(R1)については、管路延長等の精査を行った結果によるものである。
全体総括
経営について、これまでは黒字経営を維持してきたが昨年度に続き赤字となった。令和2年度同様に、コロナ禍の影響による経済活動の低下及び観光事業者等の水需要の減少が影響していると考えられる。今後の経営状況は、老朽化する施設の更新需要が年々増加していく反面、人口減少等により収益性は低下し、ますます厳しい状況になっていくことが予想され、安定した水の供給を行っていくためには、更新需要と収支のバランスを取りながらの経営が求められる。今後は令和2年度に策定した経営戦略に記された将来推計に基づいて、実態に即した施設の維持管理と事業の健全経営に努めるとともに、収納体制の強化、経費削減等により経営基盤の強化を図りながら、老朽化の更新工事などにより有収率の改善に取り組み、併せて計画的な施設整備の推進に努める。