経営の健全性・効率性について
令和3年度において、経常収支比率が100%を上回り、給水原価が全国平均値等より低く、料金回収率が約104%となり全国平均値等を上回っている。流動比率についても約800%となっていることから、収益性や支払能力に関する健全性については、前年度に引き続き堅調に推移している。料金回収率については、約104%となり全国平均値等を上回っている。これは、需要者の使用水量が減少したことにより給水収益が減収したものの、それ以上にコスト削減による総費用が減少したことに起因するものである。今後、人口減少等により、給水収益が減収し、料金回収率は悪化していくことが予測される。流動比率については、依然として100%を大きく上回っているものの現金残高が企業債残高を下回っていることから収益の確保及び費用の抑制を行い、現金の確保に努める必要がある。企業債残高対給水収益比率については、平成27年度より企業債約12億円の償還が開始したことにより企業債残高が減少していたが、新たにダム使用権取得に伴う企業債借入及び給水収益が減収したことから前年度より若干増加した。今後も施設の老朽化に伴う設備投資が増加することが予測され、企業債を活用するときは利率及び償還年数等を十分に考慮し、将来世代への負担の軽減を図る必要がある。有収率については、類似団体平均値を上回っているが、引き続き漏水調査に伴う適切な修繕業務等により効率性の向上に努めている。施設利用率においては、需要者の使用水量が減少し、前年度より若干減少しており、今後も人口減少に伴い水需要が減少していくことが予測される。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率について、取得した固定資産の減価償却が進むことに伴い前年度より上昇している。また、管路経年化率については前年度より若干上昇し、全国平均値等よりも高い値となっている。これは、新興住宅地の開発に伴い整備した配水管等が法定耐用年数を超えたことによるものであり、今後も更新時期を迎える管路が増加することが予測される。有形固定資産減価償却率及び管路経年化率は右肩上がりの傾向が続くと予測され、適切な管路の更新が望まれるが、更新費用が経営を圧迫する側面を持つことから、管径の見直し、及び実耐用年数の採用等を検討しながら計画的な更新事業を行い、補助金等の活用を図りながら管路更新率を上昇させる必要がある。
全体総括
令和3年度は、需要者の使用水量の減少に伴い給水収益は減収したが、営業外収益による収入等を合わせて黒字を確保することができた。しかし、給水人口の減少等に伴い水需要が減少する厳しい社会情勢であることに変わりはなく、将来にわたり健全な経営を維持するために、収益の確保を図っていく。施設利用率においても、水需要の減少に伴い低下していくことが予測され、適切な施設規模のあり方についてスペックダウン、ダウンサイジング及び広域化を含めた検討を行っていく。また、法定耐用年数を超える管路が増加し、更新に要する費用が増加することが予測されることから、計画的かつ適切な設備投資を行うとともに、補助金等も活用することにより現金を確保し、健全な経営につなげる取組みを行っていく。