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令和2年度決算における財政力指数は前年度と同様に0.53となり、類似団体の平均より高い値となっている。今後は少子化の進行や高齢化のピーク過による人口減少を受け、市税収入の減少が見込まれており、指数の低下が予測される。この状況に対応するため、平成30年8月に策定した「強い鴨川づくりに向けた財政等適正化基本方針」に基づき、市税の徴収強化や基金の債券運用等の拡充等に取り組み、財政基盤の安定化に努めるものとする。
令和2年度決算における経常収支比率は98.5%となり、前年度決算数値と比べて0.9%の減となった。この要因として、地方交付税や地方消費税交付金の増等が挙げられる。本市の経常収支比率は、類似団体、全国平均及び千葉県平均と比較すると5~6%程度高い数値となっているため、人件費が35.0%、公債費が20.0%と両比率が高い水準にあることを考慮し、定員管理適正化計画や公共施設等総合管理計画に基き職員数や保有施設の削減等に取り組むことで経常経費の縮減を図る一方、徴収強化などにより市税等経常一般財源の確保に努めるものとする。
令和2年度決算における人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額は、類似団体の平均値より約14,600円低い数値となっているが、全国平均や千葉県平均と比較するとそれぞれ34,000円から48,000円程度高い数値となっている。この主な要因は人件費によるものであるが、具体的にはごみ焼却施設やし尿処理施設、認定こども園等の施設運営を本市単独で行っていること、総合運動施設をはじめ公共施設の管理委託が進んでいないこと等により、人口規模に比して職員数が多いことが挙げられる。今後は、業務の民間委託の拡大や施設の統廃合などで人件費のコスト縮減を図る取組を行っていく必要がある。
本市における令和3年4月1日現在のラスパイレス指数は、100.2であり、全国平均を上回る水準となっている。この主な要因として、経験年数階層の変動及び国家公務員と比較し最高号給が大きい級があることが挙げられる。今後も引き続き、より一層の給与の適正化に努める。
本市における人口千人当たりの職員数は11.58人であり、類似団体平均と比較すると高い数値となっており、この要因としては、清掃センター、衛生センター及び総合運動施設など市の規模に比して本市単独での直営施設が多くなっていることが挙げられる。このため、燃やせるごみの共同処理や民間委託を進めているところであるが、引き続きごみ・し尿の収集業務や運動施設等の運営・維持管理業務への民間委託導入等を積極的に図りつつ、業務内容を精査し、可能なものは再任用職員や会計年度任用職員を活用する等、策定した定員管理適正化計画に基づき、職員削減を進め、適正な定員管理に努めていくこととしている。
令和2年度決算における実質公債費比率は10.3%であり、元利償還金の額等が増となったものの、普通交付税の増等による標準財政規模の増等により、減少した。本市の実質公債費比率は、類似団体平均、全国平均及び千葉県平均のいずれよりも高く、類似団体平均比では約1.1%、全国平均及び千葉県平均との比較では約4.6%程度の差が開いている。義務教育施設の更新や公共施設の耐震化、長寿命化に取り組んできたものの、以前老朽化の進んでいる施設も多いことから、公共施設等総合管理計画をはじめ各個別施設計画に基づき、公共施設の統廃合を進めつつ、残存施設については、計画的に長寿命化を行うこと等により、起債額の抑制や平準化を図るとともに、交付税措置率の高い起債を選択する等により、負担軽減に努めていく。
令和2年度決算における将来負担比率は98.5%であり、前年度決算数値に比して6.6%の減となった。この要因として、普通交付税の増等による標準財政規模の増、財政調整基金等の充当可能財源の増などが挙げられる。本市の将来負担比率は、類似団体平均や全国平均、千葉県平均のいずれと比しても高い水準にあるが、これは退職手当組合負担金が高止まりしていること、過去に実施してきた施設整備等の事業財源に地方債を積極的に活用してきたことが主な要因となっているものである。今後は、公共施設等総合管理計画をはじめ各個別施設計画に基づき、公共施設の統廃合を進めつつ、不要資産は積極的に処分していく。残存施設については、計画的に長寿命化を行うこと等により、起債額の抑制や平準化を図る。合わせて、財政調整基金等の充当可能財源の適切な確保に努め、財政基盤の安定化を図っていく。
本市の人件費は、ごみ焼却施設、し尿処理施設、総合運動施設などを本市単独の直営方式で運営していることから、類似団体等に比べ多い状況となっている。令和2年度数値については、会計年度任用職員制度施行に伴い、前年度比で1.5%増加している。人件費の削減には、施設の統廃合の実施、業務の民間委託、民営化の推進が必要となるため、これらの取組を進め、費用の抑制に努める。
物件費の経常収支比率については、類似団体平均や全国平均、千葉県平均を下回っている状況である。令和2年度数値については、新型コロナウイルスの影響による事業の縮減等により前年度比で減少しており、5か年の推移では横ばいであるが、施設管理・運営業務等の民間委託の推進により増加が見込まれることから、事務事業の見直し等により効率化を図り、支出の抑制に努める。
扶助費の経常収支比率については、類似団体平均、全国平均、千葉県平均いずれと比較しても下回っている状況であるものの、国全体の社会保障経費の増大に伴い、老人福祉や児童福祉に係る扶助費等が年々増加しており、上昇が見込まれる。今後も適正な給付に努める。
その他の経常収支比率については、類似団体平均を0.7%上回っており、全国平均や千葉県平均を1~2%程度上回っている状況である。5か年の推移では横ばいであり、今後は高齢者の増加に伴う給付費等の増額に伴い、特別会計への繰出金の増加が見込まれる。
補助費等の経常収支比率については、類似団体平均よりは低い数値、全国平均との比較では同程度であるが、千葉県平均よりは高い数値となっている。適正かつ効果的な運用を図るため、補助金等の公益性や必要性などを再評価し、定期的な見直しを図ることが必要となる。
本市の経常収支比率における公債費の比率は19%前後の高い水準で推移している。地方債を財源に、義務教育施設の更新や公共施設の耐震化、長寿命化に取り組んできたものの、以前老朽化の進んでいる施設も多いことから、公共施設等総合管理計画をはじめ各個別施設計画に基づき、公共施設公共施設の統廃合を進めつつ、残存施設については、計画的に長寿命化を行うこと等により、起債額の抑制や平準化に努める。
公債費以外の経常収支比率については、類似団体平均と全国平均より高く、千葉県平均を下回っている状況である。推移を見ると増加傾向となっており、これは委託料の増等による物件費の増加等によるものであるので、今後も歳出削減や市税の確保等に努め、財政の健全化を図る。
(増減理由)令和2年度末の基金残高は、普通会計で約3,048百万円となっており、前年度から約99百万円の減少となっている。これは、財政調整基金残高が約148百万円増加した一方で、減債基金で約100百万円、地域振興基金で約102百万円など、市債の償還や病院事業会計への繰出財源としたことなど主な要因として、減少した。(今後の方針)自主財源の確保、歳出削減に取り組み、一定規模の財政調整基金を確保するよう努める。また、特定目的基金については主に寄付金を積み立てており、一部を除き増加を見込むことが難しいため、限られた残高を使途に応じて適切に活用していくこととする。
(増減理由)令和2年度末の基金残高は、約862百万円となっており、前年度から約148百万円の増加となっている。社会保障関連費が年々増加を続けるなか、東日本大震災を契機とする公共施設や学校施設の耐震・大規模改修事業などの安全・安心なまちづくりに積極的に取り組んできた結果、本市の財政規模は拡大傾向にあり、合併算定替の段階的縮減期に入った平成27年度からは、財政調整基金を取り崩しながらの財政運営を余儀なくされており、このまま財政規模を縮減できなければ、基金の枯渇が懸念される。令和2年度においては、普通交付税の増等により積立が取崩しを上回ったため、約148百万円の積立を行うことができたことが増要因となっている。(今後の方針)財政調整基金は、災害等の想定外の支出等に備えるため、標準財政規模の10%以上を確保していくことが必要と考えられることから、令和5年度末において財政調整基金の残高を10億円以上確保することを目標としている。
(増減理由)財源不足を補うべく、市債の償還財源として取崩しを行ったため、令和2年度末の基金残高は、約1百万円となっており、前年度から約100百万円の減少となっている。(今後の方針)本市では満期一括償還方式での借入れを行っていないため、現在積み上がっている基金は運用をしつつ、市債の償還財源として活用することとしている。
(基金の使途)①地域振興基金:地域住民の連帯の強化及び地域振興に資すること②ふるさぽーと基金:市民福祉の向上と地域の活性化に資すること③教育振興基金:将来を担う子どもたちの教育に係る諸施策を促進し、広く教育の振興とその充実を図ること④三日月基金:高齢者福祉の増進、子どもたちの教育振興等、広く地域福祉の充実やまちづくりに資すること⑤まちづくり支援基金:市内の市民活動団体及び自治組織等が自主的かつ主体的に取り組むまちづくりの支援(増減理由)①病院事業会計への繰出財源としたことなどから、約102百万円の減となっている。②水道事業会計への繰出金や道路橋梁維持補修事業の財源としたことから、取崩額が積立額がを上回り、約62百万円の減となっている。③看護師等確保対策事業や図書・AV資料購入事業に活用したため、約14百万円の減となっている。④積立及び取崩しは行っていない。⑤市民活動に対する補助金の原資として活用したため、約0.5百万円の減となっているが、表示単位においての増減はない。(今後の方針)①基金の運用により積立を行いつつ、使途に応じ活用する。②ふるさと納税の推進を図り、積立を行いつつ、積極的に活用する。③使途に合致する事業の原資として、適切に活用する。④使途に合致する事業の原資として、適切に活用する。⑤使途に合致する事業の原資として、適切に活用する。
有形固定資産減価償却率は60.3%であり、類似団体内平均値とほぼ同水準にある。しかしながら、中には耐用年数を超過している施設もあり、こうした施設の老朽化対策が今後の課題である。今後は策定した公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画により、公共施設等の複合化、統合・再編等を進めるなど公共施設の適正管理に努める。
債務償還比率は、令和元年度に台風災害等により基金を取り崩した結果、比率が大幅に増加した。令和2年度は、充当可能財源は微増、老朽化した病院の建替えのため、将来負担額が増加したことにより、令和元年度に比べ債務償還比率は減少した。しかしながら、1,035.3%と類似団体平均値と比べ、高い水準にある。財政状況が厳しい中、老朽化した公共施設等の更新を進めていくことが求められており、その財源として起債の活用が見込まれるが、過度な将来負担とならないよう、これまで以上に将来負担額、業務収入及び支出の適正化に取り組んでいく。
将来負担比率は、平成30年度をもって鴨川市開発公社からの太海多目的公益用地買戻しが終了したことによりに一時的に減少に転じたものの、市立国保病院の建替えや一般廃棄物中継施設整備事業を実施していることから、当面は高い水準で推移することが予想される。また、有形固定資産減価償却率が60.3%と類似団体平均値とほぼ同水準であることを踏まえると、将来的に他団体と同水準の施設更新費用の発生が予想される。その財源としては起債の活用が見込まれるが、将来負担比率は類似団体内平均値との比較において依然として高い水準にあるため、過度な将来負担とならないよう十分に配慮するとともに、これまで以上に公債費の適正化や計画的な施設老朽化対策に取り組む予定である。
将来負担比率は98.5%、実質公債費比率は10.3%と、類似団体と比較すると共に高い水準にある。実質公債費比率は平成29年度から平成30年度にかけて増加しているが、これは平成26年度に発行した大規模事業に係る地方債や臨時財政対策債の据置期間終了に伴い元金償還額が増えたこと等によるものである。財政状況が厳しい中、公共施設の更新等にあたっては起債の活用が見込まれるが、過度な将来負担とならないよう十分配慮しながら、これまで以上に公債費の適正化に取り組むとともに、計画的に施設の老朽化対策を進めていく。
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