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本町は農林業が主体の町であり、自主財源となる地方税の伸びは、少子高齢化に伴う人口減少に押され、今後も減少していく見込みである。歳入に占める地方交付税の割合が46.1%であり、交付税・補助金など国からの支出金に依存した財政状況である。少しでも自主財源を確保できるよう、町税等の滞納整理、住環境の整備による子育て世帯の定住、湯前町農業公社による遊休農地の活用や農産物の流通拡大などを目標に、町内の経済活動を活発化させていきたい。
本町の性質別支出割合で、決算額構成比で人件費(17.8%)の次に高いのが扶助費(11.5%)であり、類似団体と比較しても高くなっている。経常収支比率は、前年度に比べ5.9%悪化している。経常一般財源は、財政力指数0.15と乏しい本町において、人口減少と相まって、地方税の収入が類似団体と比較して大きく下回っている。そのため、普通交付税等に依存せざるを得ない状況に変わりはない。今後の見通しとしては、少子高齢化が深刻な本町にとって、電算関係、介護や医療関係扶助費の増加が見込まれ、これからも横ばい若しくは上昇すると考えられる。そのため、地方税の徴収率を上げる取り組みを強化するなど、財源の確保に努めていく。
物件費、維持補修費は類似団体平均値を下回っているが、人件費は上回っている。第4期行財政改革計画書に基づき、物件費抑制のために、エコオフィス率先プランの実施による光熱水費の削減、電算機器トナーの入札導入によるコストダウン、消耗品費の集中管理など、様々な取り組みの効果が現れていると考えられる。しかし、人件費については、定員管理計画に沿った人員配置により原則退職者の補充採用のみ行ってきているが、出向者分の新規採用者の増や停職者の復帰等により、本年度は増加した。次年度は第5期行財政改革計画書の策定を行い、さらなる適正なに努めていく。
平成17・18年度には、職員給3%独自カットを行い、管理職手当の定額化、住居手当の廃止など、人勧に準拠した給与体系を継続してきた。昨年度から0.7ポイント増加したが、類似団体平均との比較でも-2.4ポイント、全国町村平均との比較でも-3.2ポイント低くなっている。今後も適正な昇給・昇格管理を行い、住民に理解を得られる給与体系を維持していく。
本町は、定員管理目標(65名)を5年前から達成しており、現在も63名で業務を行っている。しかし権限委譲に伴い事務量は増加し、住民からのニーズも多種・多様なものへと日々変化しているため、少ない人数でいかに効率よく業務を遂行できるかを目標に、今後も適正な定員管理を行っていく。
投資事業について地方債借入の抑制を行った結果、公債費については類似団体平均を下回っているが、公共施設の老朽化が進む中で、今後改修等が増加すると考えられる。平成27年度には、学校給食共同調理場の建て替えを過疎対策事業債で行ったため、3年後の据置期間の終了に伴い、公債費も増加するものと考えられるため、早急に公共施設等総合管理計画の策定を行い、計画的な事業の推進を行っていく。
将来負担比率については、財政調整基金積立金の増加や、公債費の減少に伴い、昨年度に引き続き0%となった。しかし一部事務組合への負担金も影響することから、上球磨消防署の耐震化に伴う庁舎建て替えや、人吉球磨広域行政組合のゴミ処理施設延命化など、大規模な工事を伴うものについては、慎重な対応をとり、計画的な資金計画の基で実施していかなければならないと考える。また、決算において歳計剰余金がでた場合においては、可能な限り積み立てていくよう努めていき、将来のために積み立てておくべきだと考える。
類似団体と比較すると、決算額では人口1人当たり-61,570円人件費が少なくなっているが、経常一般財源が乏しいため類似団体平均よりも構成比率が上がっている。ラスパイレス指数からも分かるように、給与体系的には全国平均を大きく下回っていることから、経常一般財源を確保しつつ、適正な給与体系を継続していく。
類似団体の人口1人あたり決算額と比較しても-106,505円少なくなっている。改善された一番の要因は、保育施設に係る物件費の減と扶助費の計上変更によるものが多い。その他には、経常的な学校教材用備品や保育所用備品の減などが考えられるが、様々な法改正による電算処理に係る経費など、削減できない費用の増が見込まれるため、無駄を省いた行政運営を行っていく。
本町における扶助費の占める割合は例年大きく、人口1人あたり決算額は類似団体と比較して20,888円高い。一つの要因としては、決算統計での扶助費と物件費の計上方法変更による増減が理由としてある。しかし例年上昇する介護費用や、乳幼児医療費など、福祉政策に対する費用の増加が要因でもある。住民福祉の向上や、安定した福祉サービスの提供ができるよう努めなければならないが、限られた一般財源の中でコントロールしなければならないので、介護予防、健康管理等の徹底を促し、抑制できる部分については、各種施策を取り組んでいかなければならない。
昨年度と比較して1.3%増加しており、類似団体平均よりも比率は高い状況である。繰出金の割合が影響しており、下水道事業特別会計が11,419千円、介護保険特別会計が2,383千円、後期高齢者医療特別会計が1,805千円の増となっている。下水道事業は平成28年度で事業が終了するが、整備が終了しても、流域下水道事業維持に係る費用が継続してかかる見込みである。また、高齢化により介護保険、後期高齢者医療の伸びは今後も増加していくと考えられるので、予防介護事業を充実させ、介護保険及び後期高齢者医療費を抑制できるよう努めていきたい。
平成21年度を境に、補助費が増加してきている。これまで、第1期~第4期行財政再建計画により、単独優遇補助金は削減または廃止を行い、補助費の縮小を図ってきたので、今後も引き続き計画書に基づき、見直しや廃止を検討していく。
類似団体の1人あたり決算額と比較して、本町の公債費は-87,160円と少なくなっている。過疎地域に指定してあることもあり、過疎対策事業債での事業を中心に借入を行っているが、最近では一般財源としての借入である臨時財政対策債の発行を抑制するなど、将来に渡って負担が残らないように適正な起債管理を行っており、今後も有効的な起債活用を行っていく必要がある。
本町の場合、人件費・扶助費・繰出金に対する比率が類似団体平均よりも17.4%と大きく増加している。一般財源の約50%を普通交付税で賄っている現状から見て、硬直した財政運営にならないよう、経常収支比率90パーセント以下を維持できるよう財政運営を行っていきたい。
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