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本町は農林業が主体の町であり、自主財源となる地方税の伸びは、少子高齢化に伴う人口減少に押され、今後も減少していく見込みである。歳入に占める地方交付税の割合が47.8%であり、交付税・補助金など国からの支出金に依存した財政状況である。少しでも自主財源を確保できるよう、町税等の滞納整理、住環境の整備による子育て世帯の定住、湯前町農業公社による遊休農地の活用や農産物の流通拡大などを目標に、町内の経済活動を活発化させていく。
本町の性質別支出割合で、決算額構成比で人件費(18.1%)の次に高いのが扶助費(16.0%)であり、類似団体と比較しても高くなっている。経常収支比率は、前年度に比べ5.0%悪化し財政の硬直化が進んでいる。経常一般財源は、財政力指数0.17と乏しい本町において、人口減少と相まって、地方税の収入が類似団体と比較して大きく下回っているため、普通交付税等に依存せざるを得ない状況に変わりはない。今後の見通しとしては、少子高齢化が深刻な本町にとって、ICT関係、介護や医療関係扶助費の増加が見込まれ、これからも横ばい若しくは上昇すると考えられる。そのため、地方税の徴収率を上げる取組みを強化するなど、財源の確保に努めていく。
人件費、物件費、維持補修費はいずれも類似団体平均値を下回っている。第5期行財政改革計画書に基づき、物件費抑制のために、エコオフィス率先プランの実施による光熱水費の削減、電算機器トナーの入札導入によるコストダウン、消耗品費の集中管理など、様々な取組みの効果が現れていると考えられる。また、人件費については、定員管理計画に沿った人員配置により原則退職者の補充採用のみ行うよう努めているが、最近は育児休暇や休職等により、実際に業務に携わる職員は定員を大きく下回っている状況である。
本町では、管理職手当の定額化、住居手当の廃止など、人事院勧告に準拠した給与体系を継続してきた。昨年度からほぼ横ばいで推移しているが、類似団体平均との比較でも2.5ポイント、全国町村平均との比較で3.2ポイント低くなっている。今後も適正な昇給・昇格管理を行い、住民に理解を得られる給与体系を維持していく。
本町は、定員管理目標(65名以下)を達成しているが、権限委譲に伴う事務量の増加や、出向や休職等により実働人員はさらに少なくなっている。住民からのニーズも多種・多様なものへと日々変化しているため、少ない人数で効率よく業務を遂行することを目標に、今後も適正な定員管理を行っていく。
公債費は、投資事業について地方債借入の抑制を行った結果、類似団体平均を下回っているが、今後、公共施設の老朽化が進む中で、改修等の財源とするために地方債を借り入れることが見込まれる。平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、具体的な個別計画を策定し、計画的な事業の推進を行っていく。
将来負担比率については、0%で推移している。これは、充当可能財源等の増によるものである。今後も、歳出削減努力により、決算において歳計剰余金が生じた場合には、少子高齢化に伴う社会保障費増等へ備えるためなど、将来のために必要に応じて積み立てていく。
類似団体平均と比較すると、決算額では、人件費が人口1人当たり53,133円少なくなっているが、経常一般財源が乏しいため類似団体平均よりも構成比率が上回っている。ラスパイレス指数は類似団体平均を2.5ポイント下回っていることから、給与体系的には全国平均を大きく下回っており、経常一般財源を確保しつつ、適正な給与体系を継続していく。
類似団体平均の人口1人あたり決算額と比較しても105,297円少なくなっているが、経常収支比率における割合は類似団体と比較して0.4%大きくなっている。これは、経常収入が少ない中で、他の経常経費も削減を行ってきているためである。その他にも、様々な法改正に伴い改修を行った電算機器の使用料など、削減できない費用の増が見込まれるため、今後も無駄を省いた行政運営を行っていく。
本町における扶助費の占める割合は例年大きく、類似団体平均を大きく上回っている。要因としては、毎年上昇する介護費用や、対象年齢の引き上げが行われた子ども医療費など、福祉政策に対する費用の増加が考えられる。住民福祉の向上や、安定した福祉サービスの提供ができるよう努めなければならないが、限られた一般財源の中でコントロールしなければならないため、介護予防、健康管理等の徹底を促し、抑制できる部分については、各種施策を取り組んでいかなければならない。
昨年度と比較して3.0ポイント増となっており、依然として類似団体平均よりも高い状況である。これは、繰出金の割合が影響しており、国民健康保険特別会計が3,096千円の減、介護保険特別会計が38,031千円の増、後期高齢者医療特別会計が13,231千円の増となっている。下水道事業は平成28年度で整備事業が終了したが、流域下水道事業維持等に係る費用が継続してかかる見込みである。また、高齢化により介護保険、後期高齢者医療の伸びは今後も増加していくと考えられるので、予防介護事業を充実させ、介護保険及び後期高齢者医療費を抑制できるよう努めていきたい。
平成21年度を境に、補助費等が増加してきている。これまで、第1期~第5期行財政改革計画により、単独優遇補助金は削減または廃止を行い、補助費の縮小を図ってきたが、平成27年度以降に総合戦略の策定により、新たに移住・定住事業等の事業が実施されたため、類似団体平均の伸びより大きく増加することとなった。平成31年度からの第6期行財政改革計画へ向けて、引き続き見直しや廃止を検討していく。
類似団体平均の人口1人あたり決算額と比較して、本町の公債費は77,967円少なくなっている。過疎地域に指定されていることもあり、過疎対策事業債での事業を中心に借入を行っているが、最近では一般財源としての借入である臨時財政対策債の発行を抑制するなど、将来に渡って負担が増えないように適正な起債管理を行っており、今後も有効的な起債活用を行っていく必要がある。
本町の場合、公債費以外の経常経費は、すべてにおいて類似団体平均を大きく上回っており、特に扶助費においては6.2ポイント上回っている。財源の約50%を普通交付税で賄っている現状から見て、硬直した財政運営にならないよう、経常収支比率90%以下を維持できる財政運営を行っていきたい。
(増減理由)財政調整基金については基金利息のみを積み立てたほか、介護保険特別会計の保険料の著しい増加を抑制するための財源として35,000千円を取り崩した。また、公共施設等整備基金へ20,000千円の積み立てをを行い、ふるさと応援基金に15,000千円の積み立てと39,596千円の取り崩しを行ったことから、基金全体としては37,808千円の減となった。(今後の方針)ふるさと応援基金については、平成30年度から毎年度基金を活用し、事業を実施していっているため減少が見込まれる。また、現在作成中の個別計画により、施設の長寿命化等に財源不足が生じると見込まれるため、短期的には公共施設等整備基金への積立により微増となる見込みだが、中長期的には減少していく。
(増減理由)財政調整基金については基金利息のみを積み立てたほか、介護保険特別会計の保険料の著しい増加を抑制するための財源として35,000千円を取り崩したため、33,556千円の減となった。(今後の方針)普通交付税の減や人口減少による税収の減が想定されることや、老朽化した施設の更新等が控えているため、中長期的には取り崩しを行う必要があり、減少が見込まれる。また、標準財政規模の約50%である900,000千円を水準として基金運用管理を行う。
(増減理由)減債基金については、基金利息のみの積立を行い、14千円の増となった。(今後の方針)現在の借入利率は概ね低く抑えられているため、新たな積み立ては行わず、ほぼ横ばいで推移するものと見込まれる。
(基金の使途)公共施設等整備基金:公共施設等の老朽化による長寿命化等に係る財源不足に対応するための基金。ふるさと応援基金:ふるさと寄附金を一旦積み立て、後年度において寄付者の意向に沿った活用を行うための基金。(増減理由)ふるさと応援基金:ふるさと寄付金による15,000千円の積み立てと平成30年度事業分への充当のため39,596千円の取り崩しを行ったことにより、24,596千円の減となった。公共施設等整備基金:利息分及び余剰分の積み立てを行ったことにより、20,144千円の増となった。(今後の方針)公共施設等整備基金:個別計画の作成を行うことで財源不足額が見えてくるため、その後に基金積み立て額等の計画を作成し計画的な積み立てを行う。
減価償却率について、類似団体平均と比較して高い状況で推移している。これは、老朽化した建物が多く、更新時期が近づいていることを表している。施設の統廃合を含め、長寿命化、新規建設等を早急に判断しなければならないと考える。
債務償還比率は、類似団体と比較して、高い状況で推移しているが、全国平均、熊本県平均を下回っている。自主財源の乏しい本町においては、地方債の借入抑制等の対策を行ってきた成果であり、今後も継続して実施する。
平成29年度において、減価償却率は類似団体平均と比較して高くなっており、今後は施設の更新費用等の増加により将来負担率の上昇が見込まれる。そこで、個別計画の策定を行い、老朽化施設について統・廃合や除却等について検討していく。また、地方債の借入についても、交付税措置率の良い地方債を借り入れるなど、将来負担を減らす対策を行う。
将来負担比率について、将来負担額はほぼ横ばいであったものの、令和元年度以降、公共施設等の大規模改修が計画されていることから、地方債の借入額が増加し、将来負担比率及び実質公債費比率は増加するものと考える。そのため、地方債の借入を抑制するなど、将来負担額を減らすことが必要であると考える。
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