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東京電力㈱の揚水式発電ダムの建設に伴い、ダムに係る固定資産税収入が発生し、平成18年度から平成21年度までの4年間、普通交付税の不交付団体となった。そのため、財政力指数は平成18年度以降、右肩上がりに上昇してきたが、平成20年度をピークに減少傾向に転じた。ダムの固定資産税収入は、毎年度4千万円ほど減少していくことが推測されているため、それに伴い財政力指数も今後数年間はゆるやかに下降していくものと思われる。
経常収支比率は平成25年度を境に類似団体の平均値を上回っているが、財政構造の弾力性は維持できていると思われる。経常経費充当一般財源の額は、扶助費や補助費等はほぼ横ばいで推移しているが、人件費や物件費は若干増加傾向にある。一方、経常一般財源の総額は、ダムの固定資産税の減少に伴い、平成18年度をピークに毎年度4千万円以上減少している。このため、経常収支比率は今後、増加していくものと推測される。経常経費に充当可能な特定財源を確保することが求められている。
人件費及び物件費は、近年、増加傾向にあり、平成29年度決算額は、平成25年度決算額から15.3%増加している。一方、南相木村の人口は平成29年度末1,034人で、これは平成25年度末人口1,101人から67人(6.1%)減少している。一方、類似団体の平均は、平成25年度決算に比べ16.4%増加している。人口一人当たりの人件費・物件費を削減することは、現在ある行政サービスを低下させることにつながるので、一概に好ましいとは言えないが、行政サービスの水準を落とすことなく、人件費及び物件費を抑制することが今後の課題である。
ラスパイレス指数は横ばいから若干上昇している。しかし、いまだに類似団体の平均からは低い状況となっている。平均値との差を縮めていく取組みが求められているが、給与水準の動向には人事院勧告が大きく影響しており、この早急な改善は困難な状況となっている。しかしながら、審議会や外部機関等に意見を求めながら、組織全体での見直しや検討を行い、格差是正を図っていく必要がある。
人口千人当たりの職員数は、ここ数年類似団体の平均を大幅に上回っている。これは職員数の増加を抑制し適正な定員管理に努めてきた一方、人口減少に歯止めがきかなくなってきているためである。現在の行政サービスの水準を維持していくためには人員削減は困難であるため、外部組織を含めた中で、より効率的な人員配置や職務分担に努め、必要時に応じ業務の民間委託等を図っていく必要がある。
実質公債費比率は平成17年度から減少傾向にあり、平成18年度からは類似団体の平均を下回っている。これは、近年、大型公共事業を控え、起債の発行を抑制してきたためである。今後数年はこの状況が続くものと予想される。引き続き計画的な事業の立案・執行に努め、起債には有利な過疎債を活用するなど、公債費の抑制を図っていく。
将来負担比率は、財政健全化法が施行された平成19年度以来、「数値なし」という状況が続いているが、平成29年度決算における実数は-521.3%であり、これは前年度の-491.5%よりも数値はさらに良くなっている。類似団体中の順位も1位(最良)という状況である。これは、将来負担額を充当可能財源等が大きく上回っているためであり、将来における財政負担は今のところ懸念された状況ではない。しかし、近い将来、老朽化等による公共施設や設備等の更新を行わなければならないため、その財源として基金の取り崩しが想定される。そこで、今後は中長期的な視点に立って基金や預貯金の効果的な運用を図っていかなければならない。
人件費充当経常一般財源の平成29年度決算額は327,016千円で、前年度比24,392千円、8.1%の増となった。類似団体との比較では、前年度に引き続き平均を上回っている。これは、全国的に人件費の抑制や定員管理に努めてきたことにより類似団体の数値が減少したためと推測される。南相木村では給与水準が低い一方、人口一人当たりの職員数が多いという現状を踏まえ、人件費以外の経常経費とのバランスを図りながら、今後大幅な増加とならないよう留意していく必要がある。
物件費充当経常一般財源の平成29年度決算額は155,103千円で、前年度比-42,816千円、21.6%の減となった。ここ数年は類似団体の平均を大きく上回っていたが、平成29年度は特定財源の確保や、業務委託や備品購入の見直しを進め、物件費の抑制を図った。
扶助費充当経常一般財源の平成28年度決算額は17,983千円で、前年度比-185千円、1.0%の減となった。これは、児童や高齢者への扶助費の増額が原因である。類似団体との比較では、過去9年間にわたり平均値を大きく下回っている。これは生活保護費(該当なし)や生活弱者等への扶助費のうち、経常一般財源充当額が低いことが原因と思われる。今後も引き続き低い水準が維持されるものと推測される。
維持補修費充当経常一般財源の平成29年度決算額は20,743千円で、前年度比-1,550千円、7.0%の減となった。道路や橋梁の維持補修費の減額であるが、今後は施設や設備に係る補修費の増加が見込まれる。また、繰出金充当経常一般財源の平成29年度決算額は95,152千円で、前年度比1,401千円、1.5%の増となった。国民健康保険事業や介護保険事業における財政負担が年々増加しており、今後も過大な繰り出しとならないよう引き続き留意する必要がある。
補助費等充当経常一般財源の平成29年度決算額は111,745千円で、前年度比-29,541千円、20.9%の減となった。これは一部事務組合等への臨時的な補助が減少したことによる。南相木村では平成18年度に策定した「行政改革プラン」に基づき補助金等の見直しを図り、類似した補助金の一本化や段階的削減などを実施し、補助金支出の削減に努めてきた。今後も引き続き適切な執行に努めていく必要がある。
公債費充当経常一般財源の平成29年度決算額は114,900千円で、前年度比18,075千円、18.7%の増となった。これは平成17年度以降、有利な起債(過疎債等)のみ発行してきた成果が表れている。平成29年度末の起債現在高は、普通会計で1,268,228千円、特別会計を含んだ全会計で1,300,951千円となっている。今後も大型公共事業の執行には国県補助金など財源確保を前提とし、起債の発行には引き続き留意していく。
公債費を除く経常経費充当一般財源の額は、過去9年間にわたり増加している。これは人件費や維持補修費に充当される経常一般財源の額が増加したことによる影響が大きいものと考えられる。全体から見ると経常経費の額は抑制されているものの、経常一般財源として村税、特にダムに係る固定資産税が毎年度4千万円以上減収となるため、今後も経常収支比率は増加の傾向にある。
(増減理由)・「地域振興基金」に25百万円(中部横断自動車道活性化インター建設負担金)、農村多元情報システム基金に6百万円積み立てた一方、地方創生関連事業に伴うハード事業等の実施により、「財政調整基金」を97百万円、若者定住促進住宅建設事業実施に伴い、「地域振興基金」を15百万円、滝見の湯の運営及び管理費を支出するため、「滝見の湯運営及び管理基金」を20百万円、「ふるさと応援基金」から6百万円(目的別に)を取り崩したことにより、基金全体として対前年-104百万円(-2.2%)の減となった。(今後の方針)・基金の使途の明確化を図るため、財政調整基金を取り崩して個々の特定目的基金に積み立てていくことを予定している。(特に公共施設等整備基金)・若者定住促進住宅整備事業を実施するため、「地域振興基金」を取り崩していくため減少傾向になる。
(増減理由)・地方創生関連事業(公社事業拡大等)に伴うハード事業等の実施により、「財政調整基金」を97百万円取り崩したことにより、対前年-96百万円(-12.2%)の減となった。(今後の方針)・財政調整基金の残高は、標準財政規模の40%~50%の範囲内になるよう努めていく。(平成29年度標準財政規模1,107百万円)
(増減理由)・対前年増減なし(今後の方針)・2021年度から2022年度に地方債償還のピークを迎えるため、それに備えて計画的に積み立てを行ったきた。
(基金の使途)・医療保健振興基金:医療及び保健の向上に質する事業(診療所の運営、村が実施する保健事業)・自治振興基金:行政区における自治の振興と活性化に資する事業(各行政区の事業、各区の自治の振興又は活性化事業)・地域福祉基金:在宅福祉の向上、健康づくり等について民間活動の活性化を図りつつ、地域の特性に応じた高齢者福祉の増進を図るための事業に充当・地域振興基金:高齢化社会に対応するための経費、魅力ある地域づくりの推進のための経費、快適な暮らしが営まれるための経費に充当・教育文化振興基金:村民の教育及び文化の振興事業に充当(増減理由)・「地域振興基金」に25百万円(中部横断自動車道活性化インター建設負担金)、農村多元情報システム基金に6百万円積み立てた一方、若者定住促進住宅建設事業実施に伴い、「地域振興基金」を15百万円、滝見の湯の運営及び管理費を支出するため、「滝見の湯運営及び管理基金」を20百万円、「ふるさと応援基金」から6百万円(目的別に)を取り崩したことにより、対前年-8百万円(-0.2%)の減となった。(今後の方針)・公共施設等整備基金:公共施設の維持管理費に充当するため、2022年までに3億円程度を積立予定・地域振興基金:中部横断自動車道活性化インター事業負担金に充当するため、2025年までに8億円程度を積立予定
有形固定資産減価償却率は6割であるが、貸借対照表の有形固定資産のうち、平成5年~平成16年頃に建設された橋りょう・道路等が取得価額ベースで半分以上を占めており、これらが平均値を下げている。橋りょうの多くは建設後40~50年を経過しており、今後10年以内に法定耐用年数を経過することになる。その他にも多くの村営住宅が法定耐用年数を経過しており、多くの資産は減価償却率以上に老朽化は進んでいる。既存施設の統廃合なども検討し、設備の長寿命化を図りながら更新負担の軽減、平準化に努めていく必要がある。
将来負担比率はゼロであり、分析内容は有形固定資産減価償却率と同じである。
将来負担比率はゼロである。実質公債費比率も減少傾向にあり、財政的には望ましい傾向にある。但し、前述のとおり、近い将来、老朽化等による公共施設や設備等の更新を行わなければならないため、その財源として基金の取り崩しや新たな起債が必要になることも想定される。中長期的な視点に立って、更新負担の軽減、平準化に努めていく一方で、基金や預貯金の効果的な運用を図っていかなければならない。
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