太地町

目的別歳出の分析欄

過去５年間において増減が目立つ費目は、総務費、民生費、衛生費、農林水産業費、商工費、消防費、公債費、積立金である。総務費が大幅に増加しているのは、「国際鯨類施設整備事業」として計上した１，０７２，４０７千円が主な理由である。また、ふるさと納税事業委託料は令和３年度、４年度ともに委託料を増額した（寄附額の増加に委託料を決定する）。また、減債基金を１．８億円積み立てるなどして将来の財源を確保した。民生費は、前年度に実施した、住民税非課税世帯への臨時特別給付金の給付等により臨時的な補助費、扶助費が増加していたが、今年度はその分が減少した。また、児童福祉費でも、前年度の「子育て世帯臨時特別給付金」の給付をしたため、今年度は減少している。一方で、障害福祉サービス費が１０，８２３千円増加している。繰出金では、令和３年度に介護保険事業会計に対するものが減少し（介護給付費負担金が１４，４４９千円減少）、今年度も維持している。以上のように、前年度に実施した、新型コロナウィルス対策としての臨時的な各種給付事業により、民生費全体では歳出額が減少した。衛生費では、令和元年度から３年度にかけて水道施設の建設改良費のうち一般会計負担分を支出しており、さらに清掃センターの施設改修を行い令和３年度に完成、またワクチン接種に関連した費用がかかったこともあり、平成３０年度以前と比べ、近年は臨時的な支出が増加していたが、令和４年度に至り、これらの経費が減少した。農林水産業費では、令和２年度に「太地町冷凍施設」を新規整備したこと、令和元年度から漁港の機能保全工事を継続して実施しているため、近年は増加傾向である。商工費では、駅舎防災複合施設（観光部分）が令和３年度に完成、園地整備事業等により支出が増加している。消防費は、令和元年度の防災行政無線デジタル化事業、令和２年度から３年度にかけての駅舎防災複合施設（防災部分）の建設により大幅に増加していたが、令和４年度は元の水準に戻った。公債費のうち、長期債元利償還金が前年度比で３０，２６０千円増額しており、前年度の増加額と合わせると１億円超の増加である（令和３年度は８４，４４２千円の増額だった）。公債費の増加は少なくとも令和９年度まで続くため、基金を積み立て、将来の財源を確保する。

性質別歳出の分析欄

歳出合計は令和３年度３，５１４，７９５千円に対して、令和４年度は４，０８４，４５５千円となり、５６９，６６０千円増加した。「国際鯨類施設整備事業」（新規普通建設費）として計上した１，０７２，４０７千円が主な増加理由である。人件費は、職員の新規採用（８人）及び、議員の期末手当の支給開始により増加した。物件費は、ふるさと納税業務の委託を、令和３年度に本格化させたことにより、令和４年度は委託料が２２，９４７千円増加している（寄附額の実績に応じて委託料を決定する）。扶助費は、前年度に実施した新型コロナウィルス対策として現金給付の分が減少している。補助費等は、前年度に実施した臨時特別給付金（住民税非課税世帯等臨時特別支援）の影響で今年度は減少している。投資的経費では、先述の「国際鯨類施設整備事業」により普通建設費（新規整備）が大幅に増加した。公債費における長期債元利償還金が３０，２６０千円増額となり、前年度と合わせると、１億円超の増加である。積立金については、減債基金への積立額が、前年度は特に多く積み立てたため、今年度は減少した。繰出金は、かつて介護保険会計に対するものが多かったが、令和３年度に保険料を引き上げ、繰出金を抑制することができている。また、下水道会計で行う建設改良費等の一般会計負担分を繰り出した分、今年度は減少している。ここ数年にわたる特徴としては、公債費の増額が進んでいる。公債費の増加は令和７年から１０年頃まで続く見込みである。

施設情報の分析欄

類似団体との比較では、特に公営住宅、港湾・漁港施設、学校施設の減価償却率が高い。公営住宅は町内に２箇所あり、今後も随時補修を行うことにより長寿命化を図る。港湾・漁港施設も建設から年数が経っているが、平成２７年度に、太地漁港機能強化策定事業として現状の機能を検査し、平成２８年度には漁港施設の老朽箇所を把握するための点検を実施したうえで、「漁港機能保全計画」を策定した。この計画に基づいて、昨年度に引き続き改修及び補強工事を実施した。今後も同様に、順次改修を進めていくことで減価償却率は下がる見込みである。幼稚園、保育所の園舎は老朽化が進み、平成２８年度までは減価償却率が高かったが、この２施設を統合する形で平成２９年度末に新しいこども園が完成したため、減価償却率は大きく低下した。学校施設については、現在小・中学校が一校ずつある。特に小学校は建設から年数が経過していること等から、今後、既存中学校との統合を検討していく。また、人口に対して各種施設が余っている状況ではないため、今後も施設数は維持しながら長寿命化を図ることを施設管理の基本方針とする。

施設情報の分析欄

近年、防災施設の整備を積極的に進めてきたことから、消防施設等の減価償却率はその他の施設と比べて大幅に低くなっている。一方で、庁舎は他のすべての施設の中でも特に建築年が古いことから老朽化が目立つ。また海に隣接して建っていることから、津波対策として移転等の検討が必要である。また、一般廃棄物処理施設は、従来、ごみ処理による機械設備類の摩耗が著しく、経常的に機械等の修繕や取替が必要であったため、他の施設と比較し維持コストがかなり高くなっていた。そこで令３年度に施設改修を行い、ごみ処理方法を変更した。この施設改修により減価償却率が低下するとともに、従来の設備に係る修理が不要になったことで維持費が抑制されている。