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2013年度
2012年度
2011年度
2010年度
指定団体等の指定状況
財政健全化等財源超過首都近畿中部過疎山振低開発指数表選定
人口の推移
産業構造
財政比較分析表(2023年度)
財政力
財政力指数の分析欄
財政力指数は、類似団体平均を大きく下回っている。その最たる理由は、「基準財政需要額」が類似団体と比較して相対的に大きく上回っているからである。主な要因として、「市域が広域であり、人口密度が低いこと」、「人口減少が進んでいること」等により、道路橋りょう費(市道の面積・延長)、保健衛生費(水道・病院)、下水道費、地域振興費等の基準財政需要額が大きく算出されていることが挙げられる。一方で、基準財政収入額も類似団体と比較すると大きいものの、基準財政需要額ほど大きく上回っているわけではない。そのため、財政力指数が類似団体と比較して低くなっている。、類似団体に財政力指数を近づけるには、基準財政収入額の増額が必要となる。引き続き、人口減少対策を通じた生産年齢人口の増加や、企業誘致、市内企業の新規設備投資の促進等といった施策に取り組む必要がある。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
類似団体と比較しておおむね同規模であるが、前年度から2.8%増加した。前年度から増加した主な要因は、「経常一般財源等」が前年度から減少した一方で、「経常経費充当一般財源」は増加したことにある。主な要因の詳細は、以下のとおり(経常経費充当一般財源等)…令和4年度から増加・公債費…令和元年度借入の大口事業(学校長寿命化・大規模改修等)の元金償還開始(+140百万円)・扶助費…こども妊産婦医療費、自立支援給付、保育所施設型給付等の給付実績の増(+90百万円)・維持補修費…道路等の公共施設、観光施設、社会福祉施設等の修繕の増加(+60百万円)(経常一般財源等)…令和4年度から減少・普通交付税の減少(-87百万円)・臨時財政対策債発行額の減少(-141百万円)
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
類似団体平均を大きく上回っている主たる要因として、以下の2点が挙げられる。・会計年度任用職員を多く雇用しており、それに係る人件費の増加が続いている。・公共施設の保有数が類似団体と比較して多く、かつ、設置から一定の年数を経過しているため、管理委託料や維持管理経費が嵩み、物件費及び維持補修費が増加傾向にある。そのため、公共施設の民間譲渡、統廃合等を進め、人口規模及び財政規模に見合った施設数にする必要がある。また、人件費については、令和3年度から令和12年度までの「第3次定員適正化計画」を、社会情勢の変化や国の施策・市の重点施策への対応、定年延長制度、会計年度任用職員の処遇改善、障害者雇用への対応のため、令和5年度末に改定し、令和2年度からの削減目標人数を101人から79人とした。組織機構の見直しや、会計年度任用職員、任期付き職員等多様な勤務形態の職員の任用及びICT技術の活用による効率的な行政運営等により、計画的に職員配置数の見直しを進めていく。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
市町村合併以前からの給与水準及び体系を引き継いでおり、類似団体内でも低い水準となっている。採用と経験年数の長い職員の退職に伴う職員構成の変動、経験年数階層内の分布の変動により、指数が低くなった。近年、中途採用者を積極的に採用しており、他職種からの転職者も多く、経験年数15年前後での指数変動も要因となっている。今後も引き続き、適正な給与水準を維持するよう努める。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
令和4年度:529人⇒令和5年度:510人(-19人)市の面積が広大であり、合併前の旧町村ごとに市民センター、保育園や学校を配置しており類似団体よりも上回っている。平成27年度からの第2次定員適正化計画で定めた削減目標(令和2年度までの5年間で-22人)を達成した。また、令和2年度には分庁舎を統合し、旧町村ごとの市民センター職員数の見直しを行った。第3次定員適正化計画では、庁舎統合による業務の効率化や行政組織の再編・統合により令和2年度以降10年間の削減目標(一般行政職員数-101人)を設定したが、定年延長制度の開始や重点施策に応じた職員配置、職員の働き方改革等の観点から、令和5年度末に計画の見直しを行った。10年間の削減目標(一般行政職員数-79人)に修正した。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
平成30年度まで前年度決算剰余金等を活用しながら、既発債の繰上償還を積極的に実施したため、実質公債費比率は低い値で推移しており、地方債の許可基準となる18.0%以下を維持している。ただし、財政運営上の方針により、令和元年度以降は繰上償還を実施していない(今後の一般財源の不足を見据え、純繰越金の使途を基金積立に変更した)ため、実質公債費比率は上昇しており、この方針を継続する限りは、今後とも上昇傾向が続くと見込まれる。なお、公債費は令和5年度にピークを迎え、新たな大型投資事業がない限りは今後徐々に減少していく見通しである。ただし、市税収入や普通交付税の減少により、標準財政規模の増加が見込まれない一方で、公債費自体の減少により基準財政需要額算入額も減少していく見込みであることから、実質公債費比率は、上昇を続けると考えられる。今後も適切な水準を維持するためには、地方債の発行額の圧縮や純繰越金の取扱い(繰上償還の再開または積立の継続)を適切に判断する必要がある。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
平成24年度から継続して将来負担は生じていない。主たる要因は、「①繰上償還を積極的に実施し、起債残額の圧縮に努めてきたこと」、「②合併特例債、辺地対策事業債、過疎対策事業債等の交付税措置率の高い地方債を多く活用しており、交付税で措置される見込額が大きいこと」及び「③基金積立を適切に継続した結果、地方債の償還に充当可能な基金を確保できていること」の3点が挙げられる。しかし、中長期的には、人口減や公債費の減少に伴う市税・普通交付税の減少、各種インフラの維持管理経費の増加が見込まれ、これまで以上に基金の取崩しが増加し、充当可能基金残高が減少していく見通しである。したがって、将来負担を発生させないためには、適正規模での地方債発行額となるよう、活用する地方債及び地方債活用事業の厳選や、財源確保・予算規模の見直しを適切に行う必要がある。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)
人件費
人件費の分析欄
合併前の旧町村の給与水準及び体系を引き継いだ影響もあり、経常収支比率のうち人件費が占める割合は、類似団体・全国平均に比べて低い状態が続いている。職員数は、旧町村単位に設置している市民センター及び保育園に職員を配置しているため、類似団体に比して多い。しかし、定員適正化計画に沿った職員数の見直しや、RPA導入による業務効率化を進めており、適正な水準となるように努めている。一方、給与費は、初任給、昇給等を国に準じており、ラスパイレス指数も類似団体平均より低くなっていることから、適正な水準であると考える。
物件費
物件費の分析欄
旧町村時代に設置した公共施設を引き継いでおり、類似団体と比較して施設保有数が多く、それらに係る維持管理費が嵩んでいる。このため、財政計画ローリングに基づく計画的な事業の執行、事業精査による事業費抑制に努めてきた。結果として、経常経費に係る物件費は、類似団体の平均を下回る状態が続いている。経常的な物件費の縮減には施設再編が不可欠なため、公共施設再編計画に基づく民間譲渡や統廃合により、財政規模に適した施設数へと見直しを進めていく必要がある。
扶助費
扶助費の分析欄
例年同様、生活保護費が類似団体平均に比べて低いため、経常収支比率のうち扶助費の占める割合が低くなっている。近年は、自立支援給付事業費(障害福祉サービスの給付)の増加が続いており、この比率は、中・長期的に上昇することが見込まれる。経常的な扶助費は、削減が困難なものが多いため、その他の経費で歳出の抑制を図り、一般財源の確保に努める必要がある。
その他
その他の分析欄
経常収支比率のうちその他が占める割合が類似団体平均を上回り、前年度から1.4%上昇した。その他の項目は、維持補修費(除雪経費が含まれる。)及び繰出金で構成されており、繰出金の経常経費充当一般財源額は、例年同規模で推移しているため、その他の項目は、維持補修費の増減に左右される。令和5年度は暖冬であったため除雪経費は減少したが、道路・橋りょうや公共施設の老朽化等により、各種施設の維持補修費は増加したことが主な上昇要因である。今後も維持補修費の増加傾向が見込まれるため、計画的な修繕、事業精査、そして公共施設の再編に努める必要がある。
補助費等
補助費等の分析欄
経常収支比率のうち補助費等が占める割合は、類似団体平均に比べて高い状態が続いている。このうち、公営企業会計に対する繰出金(病院事業会計及び下水道事業会計)、一部事務組合等への分担金(主に常備消防費及び清掃費)が割合を大きく占めており、毎年同様の傾向となっている。分担金については削減が困難なものが多い。そのため、公営企業において、経営健全化計画に基づく収支の改善を図り、公営企業会計に対する基準外繰出金の圧縮を進める必要がある。
公債費
公債費の分析欄
合併特例債や過疎対策事業債を活用して実施した大型建設事業に係る償還額が大きいため、経常収支比率のうち公債費の占める割合が、類似団体平均よりも高い状況が続いている。公共施設の再編を進めていることから、新たな公共施設及びインフラの整備は減少傾向である。しかし、学校・保育園や、その他の維持する公共施設の改修事業が今後も予定されているため、この比率が急速に低下することはないと考えられる。実質公債費比率に注視しながら、地方債充当事業の精査や、地方債の適正な発行規模の管理に努めるとともに、場合によっては、可能な範囲での繰上償還の再開も検討する必要がある。
公債費以外
公債費以外の分析欄
経常収支比率のうち公債費以外が占める割合は、類似団体平均を下回る状態が続いている。このことは、南砺市は、類似団体とは異なり、経常収支比率のウエイトが公債費に寄っていることを示している。公債費以外の要素のうち、類似団体より割合が高いもの関して、補助費等は、一部事務組合等への負担金は削減が困難なため、公営企業への基準外繰出金の圧縮のほか、市特有の事情を考慮する必要性が薄い補助金を見直し、改善を図る。また、物件費及び維持補修費の増嵩については公共施設の保有数が多いことに起因しているため、公共施設再編計画に基づき、施設の再編・統廃合を進める必要がある。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)
目的別歳出の分析欄
・民生費190,068円(前年比+12,437円)…物価高騰対策として実施した「電力・ガス・食料品価格高騰緊急支援給付金(+165百万円)」、社会福祉・障害福祉施設の改修工事等(+228百万円)により、住民一人当たりの民生費は前年度から増加した。また、近年は、自立支援給付事業費、介護保険組合への負担金が増加傾向にある。・衛生費63,347円(前年比-7,968円)…新型コロナウイルスワクチン接種費用(-151百万円)、一部事務組合への負担金、病院事業会計への繰出金等が減少したため、前年度から住民一人当たりの衛生費は減少した。なお、衛生費の35%程度を病院事業会計への繰出金が占めている。市内に2つの市立病院があるため、類似団体と比較して住民一人当たりの費用が高くなる傾向にある。・農林水産業費39,791円(前年比-11,246円)…事業費規模の大きい事業(福野カントリー整備事業・509百万円)の完了により、住民一人当たりの農林水産業費が大幅に減少した。なお、市域に占める農耕面積、森林面積が広大であるため、農業支援、林道整備、森林育成等に対する経費が類似団体よりも高いと考えられる。・商工費40,672円(前年比-2,645円)…新型コロナ・物価高騰対策事業の事業規模の減少により、住民一人当たりの商工費は前年から減少した。なお、中小企業金融対策や企業立地推進補助事業を実施しており、その年度の申請の有無により、住民一人当たりの費用が増減することがある。・土木費102,031円(前年比+9,384円)…住民一人当たりの土木費は、ほぼ横ばいとなっているが、令和5年度は、城端スマートIC周辺整備に係る事業費等により前年度から増加した。なお、市域が広大であり、市道延長が類似団体に比して長いため、除雪経費及び道路橋りょうの維持管理費が増嵩する傾向にある。今後とも、事業の精査及び計画的な更新・維持に努める必要がある。・教育費83,783円(前年比+2,928円)…図書館デジタル化事業(201百万円)、ローラースキーコース整備事業(+109百万円)の実施等により、住民一人当たりの教育費は前年度から増加した。なお、類似団体と比較して小・中学校や社会教育施設が多くあることから、住民一人当たりの費用は、類似団体をかなり上回っている。・災害復旧費6,022円(前年比+2,994円)…令和5年7月豪雨災害及び令和6年1月能登半島地震の発生により、住民一人当たりの災害復旧費は大幅に増加した。なお、復旧が続いていることから、令和6年度も同様の傾向になると見込まれる。・公債費113,893円(前年比+4,727円)…合併特例債や過疎対策事業債を活用して実施した大型建設事業に係る償還額が大きいため、住民一人当たりの費用は類似団体平均よりも高い状況が続いている。なお、現時点では令和5年度が公債費のピークであり、今後は基本的に減少していく見込みである。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)
性質別歳出の分析欄
住民一人当たりの歳出額は763,189円(前年度比+19,113円)となった。令和5年度において、住民一人当たりの歳出額が大きく増減したもの、類似団体平均を大きく上回るものは以下のとおり。・人件費102,203円(類似団体比+11,875円)…会計年度任用職員(主に、保育園・小中学校関係)の人件費の増加が続いている。・物件費107,639円(類似団体比+22,565円)…学校整備に係る旧校舎解体(+143百万円)、施設再編に伴う解体(+93百万円)、図書館デジタル化推進事業(+148百万円)等により、前年度から増加した。施設解体やシステム導入、備品購入等の有無により年度間で増減する。なお、類似団体と比較し、施設数が多いため、指定管理料(委託料)、光熱水費等でコストが多くかかっていると考えられる。・維持補修費28,305円(類似団体比+20,457円)…除雪経費は前年度から減少(-117.9百万円)したが、老朽化等による各種施設の維持補修費が増加(+147百万円)したため、住民一人当たりの維持補修費は増加した。類似団体平均よりも高い状態が続いているため、計画的な修繕、事業精査、そして公共施設の再編を通じた施設の維持費の抑制を図る必要がある。・補助費等129,437円(類似団体比+44,,384円)…公営企業(病院・水道・下水道)への繰出金や、一部事務組合への負担金の影響で、類似団体平均よりも高い状態が続いている。公営企業会計への基準外繰出の圧縮や、経常的に支出している市独自の補助金を見直していく必要がある。・普通建設事業費94,233円(類似団体比+21,214円)…前年に実施した大型事業の完了に伴い、普通建設事業費に係る住民一人当たりコストは類似団体よりも大きいものの、前年度から微減となった。施設の再編等によって中長期的には逓減していくが、今後も小・中学校、その他の公共施設の改修事業等が予定されおり、年度間での増減の発生が考えられる。・公債費113,893円(類似団体比+56,580円)…合併特例債や過疎対策事業債を活用して実施した大型建設事業に係る償還額が嵩んでいるため、類似団体平均よりも住民一人当たりの公債費が高い状況が続いている。今後は、財政規模を考慮し、地方債の適正な発行規模の管理に努める必要がある。・投資及び出資金14,497円(類似団体比+8,838円)…病院事業会計、水道事業会計及び下水道事業会計への繰出金である。市内に2つの市立病院を有していることや、市域が広大で人口密度も低いために下水道の維持管理経費が嵩んでおり、類似団体平均よりも高い水準となっている。今後、病院再編や料金改訂等により各事業の経営改善及び基準外繰出金の圧縮に努める必要がある。
実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)
分析欄・標準財政規模は、普通交付税及び臨時財政対策債発行可能額の減少により、前年度から109百万円減少した。歳入歳出決算額は前年度から増加したが、災害復旧事業に係る繰越の増加等により、実質収支(-122百万円)、単年度収支(-412百万円)は減少した。そのため実質収支比率は減少する結果となった。ただし、財政調整基金に特目基金の廃止に伴う積立、令和6年度予算編成時に生じた財源不足に対応するための積立を行ったため、実質単年度収支は前年から87百万円増加した。・実質収支及び実質収支比率は、事業執行率、繰越事業の多寡、普通交付税等の追加交付などによる歳入一般財源の増加など、特殊事情に左右される面がある。しかしながら、引き続き、事務事業の適正化・効率化を通じて歳出の抑制を図り、健全な財政運営に努めていく。・財政調整基金は、標準財政規模の10%~15%程度を確保する方針としている。令和5年度は、補正予算の財源として取り崩したが、先述の方針に掲げる水準の積立額を確保している。引き続き、今後の市税及び普通交付税等の一般財源の減少に備え、必要な積立てを行う。
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連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)
分析欄全ての会計で黒字であり、実質赤字比率はない。【一般会計】歳入決算額は、前年度からの繰越事業に係る繰越金や、減債基金の繰入に伴う繰入金の増加等により、前年度から286百万円増加(+0.8%)した。一方、歳出決算額においては、令和5年7月豪雨災害、令和6年能登半島地震関連の災害復旧費が増加(+101%・+142百万円)し、それに係る翌年繰越額が増加したことから、昨年度に比べて実質収支額は減少(-122百万円)した。ただし、公共施設の維持修繕費等の経常的経費の増加傾向が続いている一方、歳入一般財源の減少が見込まれているので、今後の黒字幅及び黒字額の対標準財政規模比の注視が必要である。【病院事業会計】病院事業で資金不足は生じていない。しかし、令和5年度は265百万円の経常損失が出ている。資金不足とならないように、市立病院経営強化プラン(令和5年度~9年度)に基づき、病院機能の集約・分化を図り、将来にわたって安定した経営を展開する。【水道事業会計・下水道事業会計】水道事業、下水道事業ともに資金不足は生じていない。ただし、下水道事業のうち、農業集落排水事業、林業集落排水事業、特定地域生活排水処理事業及び個別排水処理事業は、例年、経常損失を出しており、なかでも、農業集落排水事業及び個別排水処理事業の経常損失額が大きくなっている。資金不足が発生しないよう、今後の下水道事業全体の事業継続に向けた財源確保対策等の検討が必要である。なお、水道事業、下水道事業ともに経営戦略を策定している。将来の人口減少による使用料収入の減少や老朽施設の更新を視野に入れ、策定した経営戦略に基づきながら、漏水や不明水対策等によって有収率を高めるとともに、料金改定(令和6年度~検討委員会を実施)等の財源確保策により、経営の健全化に取り組む必要がある。
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実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)
分析欄実質公債費比率(3年間平均値)・令和35.43・令和46.13・令和57.88上記のとおり、実質公債費比率(3か年平均)は上昇が続いている。数値の上昇の要因として、「①令和元年度以降から決算剰余金の使途を繰上償還から基金積立に変更したこと」、「②過去の大型建設事業に係る元金償還の開始によって元利償還金が増加していること」が挙げられる。今後もこの方針を継続する場合、実質公債費比率は上昇を続けると考えられる。公営企業債の元利償還金については、施設の更新が本格化するまでの間は減少傾向が続いている。ただし、今後の設備更新を迎える時期は、元利償還金の増額幅の注視が必要である。また、3条予算への繰入額の多寡も、少なからず準元利償還金の算入額に影響するので、本業の経営状態にも留意する必要がある。公債費は現状、令和5年度でピークを迎え、徐々に減少していく見込みである。しかし、普通交付税や臨時財政対策債発行可能額の減少により、標準財政規模の減少幅が大きくなると見込んでおり、実質公債費比率が急速に上昇するおそれがある。今後は、実質公債費比率の推移に注視しながら、地方債の適正な発行規模の管理に努めるとともに、発行額の圧縮や繰上償還の再開も検討する必要がある。
分析欄:減債基金満期一括償還地方債は借り入れていないため、ゼロとなっている。※今後も借入の予定なし
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将来負担比率(分子)の構造(2023年度)
分析欄平成30年度まで繰上償還を毎年実施し、起債残額を圧縮してきたため、将来負担額が抑えられてきた。また、将来的に市の負担が見込まれる経費に対応する特定目的基金(公共施設再編基金等)を設置し、適切に積立てを継続しているため、充当可能基金も一定規模を確保できている。一方で、基準財政需要額算入見込額は、令和元年度以降、減少幅が大きくなっている。これは、令和2年度以降、発行が終了した合併特例債や、下水道事業債等の償還額が進み、公債費への算入額が減少したためである。ただし、辺地対策事業債や過疎対策事業債といった基準財政需要額への算入率が高い地方債を活用できる状況にあるため、一定規模の算入見込額は維持できていると考えられる。また、将来負担額の抑制、充当可能基金及び基準財政需要額への算入見込額を維持していることにより、将来負担比率は発生していない。ただし、中長期的には、人口減少及び実額償還で算入される元利償還金の減少に伴う市税・普通交付税の減少、各種インフラ等の維持管理費の増加が見込まれ、これまで以上に基金の取崩しが増加することが想定される。したがって、将来負担を発生させないためには、継続的な地方債の発行額の圧縮、財源確保・予算規模の見直しを適切に行う必要がある。
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基金残高に係る経年分析(2023年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)令和5年度中の積立額が取崩額を上回ったため、令和5年度の基金残高は、前年度から171百万円増の25,691百万円となった。基金全体の取崩し額は1,472百万円であり、市債の償還財源に「減債基金」を258百万円取り崩したほか、特定目的基金を1,204百万円取り崩している。主なものとして、総合計画に基づく事業の財源に「地方創生推進基金」を280百万円、子育て支援事業の財源に「すこやか子育て基金」を190百万円を、それぞれ取り崩した。一方で、令和6年度の予算編成時に生じた財源不足額に対応するため、「財政調整基金」に497百万円を積み立てた。このほか、産業振興施策の将来的な財政需要の増加を見据えて「商工観光振興基金」に452百万円を積み立てるなど、特定目的基金にも1,130百万円を積み立てた。結果として、積立て額は1,643百万円となった。(今後の方針)既存の公共施設(インフラ設備を含む。)を維持管理費や、子育て支援施策を中心としたソフト事業の財政需要の増加傾向が続いている。一方で、中長期的な財政見通しでは、歳入一般財源の減少が顕著となることが予見されている。そのため、必要な行政サービスの提供を続けるには、基金の取崩しに頼らざるをえない状況となっている。そのため、決算剰余金等を有効活用しながら、基金の積立てを強化する。それと同時に、基金が枯渇することのないよう、予算規模の適正な圧縮を図り、基金の取崩しと積立てのバランスを保った運用を続ける。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)予算の執行状況に鑑みて10百万円を取り崩したが、令和6年度の予算編成時に生じた財源不足額に対応するために497百万円を積み立てた。結果として、令和5年度中の積立額が取崩額を上回ったため、令和5年度の基金残高は、前年度から488百万円増の3,989百万円となった。(今後の方針)基金残高は、総務省が平成29年度に公表した地方公共団体における基金に係る結果を参考にしており、標準財政規模の10%~15%を保持できるように努めている。中長期的な財政見通しでは、歳入一般財源の不足が顕著となると見込んでいることや、災害対応等の不測の資金需要に備える観点から、最低でも2,000百万円は保持できている状態を目指す。
減債基金
減債基金
(増減理由)財政調整基金への積立てを強化した影響で、減債基金の取崩し額は前年度から230百万円増の259百万円となった。一方で、積立て額は基金運用益の15百万円にとどまった。結果として、令和5年度中の取崩額が積立額を上回ったため、令和5年度の基金残高は、前年度から243百万円減の6,042百万円となった。(今後の方針)年度間の公債費の平準化を図る観点から、当該年度の元利償還金のうち普通交付税で措置されない分に対し、20%程度を目安に充当することを基本としている。今後も、その方針を継続するが、各年度の取崩し額は、決算状況や歳入一般財源の不足状況を踏まえて判断する。なお、実質公債費比率が、起債制限比率となる18%に達するおそれがあると判断したときは、減債基金を活用し、繰上償還を実施する。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)・合併地域振興基金:分庁舎廃止後の新たなまちづくりの推進に必要な事業に充当・公共施設再編基金:公共施設再編計画で維持する方針の施設の維持管理費に充当・施設等整備基金:公共施設(インフラ設備を含む。)の維持管理費に充当・地方創生推進基金:南砺市総合計画に基づく重点事業に充当・すこやか子育て基金:幅広い子育て支援施策に充当(増減理由)・合併地域振興基金:積立てはしていないが、地域住民主体のまちづくり拠点施設整備事業に9百万円を取り崩しため、基金残高は減少した。・施設等整備基金:公共施設(インフラ設備を含む。)の維持管理費の増嵩に備えるために155百万円を積み立てたが、公共施設の維持補修費の財源として186百万円を取り崩した。その結果、基金残高は減少した。・地方創生推進基金:第2次南砺市総合計画に基づく重点事業の財源として、280百万円を取り崩した。一方で、昨年まで実施していた億単位での別枠での積立てがなくなり、積立て総額は65百万円であったため、基金残高は減少した。・すこやか子育て基金:子育て支援事業等の財源として190百万円を取り崩したが、積立て額は154百万円(前年度と同水準)となった。結果として、基金残高は減少した。(今後の方針)・合併地域振興基金:分庁舎廃止後の新たなまちづくりの推進のために必要な事業(主に複合施設の整備)に、順次活用する。・公共施設再編基金:第2次南砺市公共施設再編計画で維持する方針の施設(介護福祉施設等)の維持管理費に、順次活用する。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
当年度に増加した資産の取得額以上に、既存資産の減価償却累計額が上回る状況が続いており、有形固定資産減価償却率の上昇が続いている(前年度比+1.3%)。したがって、施設の老朽化が進んでいることがいえる。今後、多くの施設が更新時期(耐用年数)を順次迎えるため、引き続き、公共施設再編計画に基づき、施設等の集約化・複合化を進めていく。そして、維持する施設は、適切に更新や長寿命化等を実施し、適正な管理に努める。
(参考)債務償還比率
債務償還比率の分析欄
地方債の償還額が新規発行額を上回る状況が続き、地方債残高(前年度比-2,383百万円)を中心とした将来負担額が年々減少していることから、債務償還比率が低下している。また、平成18年度から平成30年度までは任意繰上償還を実施し、地方債残高が通常のペースよりも早く減少したため、類似団体と比較しても低い値を維持している。現状は類似団体よりも債務償還能力が高いといえるが、今後は普通交付税の減少が予想され、さらに、インフラを含む公共施設等の更新によって地方債残高が増えれば、債務償還比率は悪化する。そのため、地方債充当事業の厳選に努め、必要に応じて地方債発行額の抑制を行う。
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
左のグラフに「当該団体値」が表示されていないとおり、当市は将来負担比率が発生していない。その主な要因として、①将来負担額に対して充当可能基金残高が多く、②交付税措置率の高い地方債を活用していることがある。しかし、今後は、インフラを含む数多くの公共施設の更新・維持管理に伴い、地方債残高や基金の取崩し額の増加が想定される。加えて、中長期的には、市税収入・普通交付税の減少が見込まれているため、将来負担比率の動向には注視が必要である。そして、この厳しい見通しに対し、有形固定資産減価償却率は上昇傾向、すなわち、施設の老朽化は進んでいる。インフラをはじめとした基幹的な住民サービスの提供に不具合が生じないよう、今後とも維持する施設は計画的に更新し、その財源を捻出しなくてはならない。したがって、各施設の需要の多寡、減価償却率等の指標を踏まえた上で、公共施設の再編を着実に進める必要がある。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
上記「将来負担比率と有形固定資産減価償却率の推移」に記載のとおり、将来負担比率が発生していないため、左のグラフに「当該団体値」が表示されていない。なお、実質公債費比率は、過去に実施した任意繰上償還によって将来負担額が抑えられてきたことから、低い水準となっている。しかし、①令和元年度以降は任意繰上償還を見送っていること、②市債の元金償還額が令和5年度まで増加し続けること、③普通交付税や臨時財政対策債発行可能額の減少により、実質公債費比率は上昇を続け(前年度比+0.7%)、今後もその傾向が続く見通しである。ストックの観点からは健全な状態が続いているといえるが、フローの観点からすれば、「借金の返済以外に回せるお金の割合が低くなってきている」ことがいえる。そのため、市債を活用する事業の選定を厳格に行い、地方債の発行規模に関しては、適切な圧縮が必要である。
施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)
施設情報の分析欄
一人当たりの面積、延長、資産額等が、どの施設も類似団体より高い水準にある。これは、①合併前の旧8町村が整備した公共施設をそのまま引き継いだため、類似団体と比べて保有施設数が多い状況にあること、②人口減少に伴い、施設数に比して人口がそれほど多くないこと、③市域が広大で、山間部と散居村を中心とした平野部で成り立っていることから、必然的に道路、橋りょう・トンネル等のインフラ資産が多くなることが挙げられる。すでに、道路は類似団体よりも有形固定資産減価償却率を大きく上回っており、インフラを含む各種公共施設の維持管理費は今後とも増嵩する。そのため、所要の財源を確保の上、公共施設の統廃合、民間への譲渡等を計画的に進め、必要なインフラの整備及び計画的な維持修繕を両立させることが求められる。なお、保育所及び学校施設は、有形固定資産減価償却率が類似団体に比して特に低くなっているが、その主な要因は以下のとおり。【認定こども園・保育所】平成28年度までに保育園の統合及び新設を実施したため(保育園数平成16合併時:28所→平成28以降:12所)【学校施設】小・中学校の統合及び既存校の長寿命化改修を計画的に実施したため(平成16合併時:小学校11校、中学校9校→令和4時点:小学校8校、中学校7校、義務教育学校1校)※公民館について…小規模多機能自治の開始に伴い、令和元年度から公民館を順次廃止し、令和2年度に交流センターに完全移行したため、それ以降の当該団体値がない。(平成30:32館→令和1:3館→令和2:0館)
施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)
財務書類に関する情報①(2021年度)
1.資産・負債の状況
一般会計等においては、資産総額が前年度末から1,430百万円の減となった。減価償却が進んだことによる資産価値の減少が主な要因であり、特にインフラ資産(市道など)及び事業用資産(建物)において顕著である。インフラ資産については、市道整備が概ね完了し近年では改良工事や修繕工事が増加していること、また事業用資産については、公共施設再編計画に基づき施設の再編・統廃合を進めており新規施設の整備が少ないことから、新たな資産の取得額以上に既存資産に係る減価償却による資産の減少が上回る傾向にある。また、負債総額は、一般会計等において前年度末から1,742百万円の減となった。金額の変動が最も大きいのは地方債(固定負債)であり、地方債の発行額が減少(前年度比△69百万円)し、地方債の償還額が発行額を上回ったことで地方債残高が1,555百万円の減となった。全体会計においては、インフラ資産等において減価償却が進んだ結果、資産額は前年度末から3,944百万円減少した。また、負債総額は、既発債の償還満了等により地方債残高が減少したことなどにより、前年度末から4,469百万円減少した。資産総額に占める負債総額の割合は、一般会計等で約14%であるのに対し、全体会計では約23%となった。
2.行政コストの状況
一般会計等における経常費用は31,583百万円となり、前年度に比して△4,713百万円の大幅な減額となった。金額の変動が最も大きいのは補助金等や社会保障給付を含む移転費用(前年度比△4,678百万円)であり、これは令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの各種補助事業に係る費用が減少した反動によるものである。また、業務費用の方が移転費用よりも多く、最も金額が大きいのは減価償却費や維持補修費を含む物件費等(13,250百万円、前年度比+42百万円)であり、経常費用の約42%を占めている。ここには、大雪対応に係る除雪対策費の増加の影響も含まれるが、施設保有数が多いことにより施設の維持管理費が嵩む傾向にあり、公共施設再編計画に基づき、施設の再編、統廃合等を着実に進め、保有総量と経費の縮減に努める必要がある。経常収益は932百万円(前年度比△58百万円)であり、純経常行政コストは前年度比4,655百万円減の30,652百万円であった。全体会計における経常費用は、上述した一般会計等の経常費用の減額要因の影響が大きく、45,075百万円(前年度比△4,393百万円)となり、経常収益は病院事業会計において新型コロナウィルスの影響で落ち込んだ医業収益が前年度より増加(前年度比+207千円)したことなどにより、8,742百万円(前年度比+249百万円)となった結果、純経常行政コストは前年度比4,642百万円減の36,333百万円となった。
3.純資産変動の状況
一般会計等においては、税収等の財源(31,267百万円)が純行政コスト(30,806百万円)を上回ったことから、本年度差額は461百万円(前年度比+916百万円)の黒字となり、純資産残高は313百万円の増額となった。税収等の財源では、地方消費税交付金、法人事業税交付金及び地方交付税の増加により税収等は増加(前年度比+890百万円)したが、新型コロナウイルス感染症関連の特別定額給付金事業費補助金の皆減などに伴い国県等補助金は減少(前年度比△4,855百万円)した。一方、純行政コストにおいても、特別定額給付金をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策関連事業の減少により、前年度比△4,881百万円の30,806百万円となり、財源よりも純行政コストの減少が上回った。全体会計では、国民健康保険事業特別会計の国民健康保険税等が税収等に含まれるため財源は37,189百万円、純行政コストは36,511百万円となり、本年度差額が678百万円の黒字となった。3つの公営企業会計の本年度差額においても、それぞれ病院事業会計64百万円、水道事業会計83百万円、下水道事業会計146百万円の黒字となっているが、本年度差額等の赤字が黒字に転じたことについては、上述した一般会計等の新型コロナウイルス感染症に係る各財源・行政コストの影響を大きく受けたものである。なお、年度末純資産残高は291,838百万円(前年度期末残高に比して525百万円の増)となった。
4.資金収支の状況
一般会計等における業務活動収支は5,460百万円の黒字であったが、投資活動収支は南砺つばき学舎整備工事等の影響により公共施設等整備費支出が増加したことに伴い△3,508百万円の赤字となった。財務活動収支は、地方債の償還額が発行額を上回ったことから、1,562百万円となっており、この結果、本年度末における資金収支は390百万円の黒字となっており、本年度末資金残高は2,176百万円(歳計外現金は含まず)となった。全体会計では、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、病院事業における医業収入等が業務収入に含まれることから、業務活動収支は一般会計等より2,237百万円多い7,697百万円の黒字となっている。投資活動収支では、3つの公営企業会計において公共施設等整備費支出の減少により前年度から赤字幅が減少し、また国民健康保険事業特別会計で基金取崩収入による投資活動収入の増により黒字となったことで、一般会計等の投資活動収支より171百万円少ない3,338百万円の赤字となった。財務活動収支では、公営企業会計における企業債の償還額が発行額を大きく上回っているため、3,948百万円の赤字となっている。この結果、本年度末における資金収支は411百万円の黒字となっており、本年度末資金残高は6,993百万円(歳計外現金は含まず)となった。
財務書類に関する情報②(2021年度)
1.資産の状況
住民一人当たり資産額は、後年度の事業への充当財源として積立てを行った地方創生推進基金や施設等整備基金などの基金残高の増加により投資及びその他の資産が増加したことと、前年より人口が減少したため増加した(前年度比で+8.5万円/人)。ままた、合併前の旧町村毎に整備した公共施設があるため、保有施設数が非合併団体よりも多く、類似団体平均を大きく上回っている。歳入額対資産比率は、新型コロナウイルス感染症対策関連の特別定額給付事業費補助金などの国県等補助金収入が大幅に減少したため、比率が増加した(前年度比+0.56ポイント)。当比率も過去に形成してきた資産が多いことから、類似団体平均を上回る状況となっている。有形固定資産減価償却率は、当年度増加した資産以上に、既存資産の減価償却費が大きいため増加した(前年度比+1.6ポイント)。当比率は、類似団体平均値と同等値を示しているが、毎年増加傾向にあり、今後多くの施設が更新等を順次迎えることになるため、引き続き、公共施設再編計画に基づき、施設等の集約化・複合化を進めるとともに、維持していく施設については更新や長寿命化等の適正な管理に努める。
2.資産と負債の比率
純資産比率は、税収等の財源が純行政コストを上回ったことから純資産が増加し、前年度比+0.5ポイントと若干増加した。また、人口規模に対して資産額が大きいこと及び継続的に地方債の繰上償還を実施してきたことから、負債合計が抑えられているので、類似団体平均を上回る高い水準で維持している。将来世代負担比率は、地方債発行収入が減少し、地方債の償還額が発行額を上回ったことで地方債残高が前年度より1,091百万円減少したため、前年度比△0.3ポイントと若干減少した。当比率も、純資産比率と同様の理由から類似団体平均を下回る結果となり、両比率からは将来世代の負担が類似団体よりも低いといえる。一方で、現資産を形成するために過去・現代世代が負担してきた割合が高いと言い換えることもできるため、今後の市の財政状況を的確に把握しつつ、世代間における負担の公平化にも努めていく。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストは、令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの各種補助事業に係る費用の減少により、前年度からは減少した(前年度比△8.7万円/人)。類似団体に比して住民一人当たり行政コストが高くなる要因として、経常費用の約42%を占める減価償却費や維持補修費を含む物件費等があげられる。合併前の旧町村毎に整備した公共施設を継承しており、類似団体に比して施設数が多いことから維持管理費が嵩む傾向にあるため、公共施設の統廃合等を進めていくとともに、維持管理経費に必要となる一般財源の確保に努める。また、今後も高齢化により、当面の間は社会保障給付の増加が見込まれることから、一般財源の確保策を講じながら、介護予防等に係るソフト事業の拡充を継続していく。
4.負債の状況
住民一人当たり負債額は、地方債発行収入が前年度より6.9百万円減少し、地方債の償還額が発行額を上回ったことで、地方債残高が前年度より1,555百万円減少したため、減少した(前年度比△2.0ポイント)。当比率は、類似団体平均を上回っているが、地方債の充当にあたっては、過疎債、辺地債、合併特例債などの後年度に元利償還金に対する交付税措置のある有利なものを活用してきたため、実質的な後年度の負担は負債額よりも小さくなる。一方で、令和2年度以降、合併特例債の発行期間満了に伴い、交付税措置率の低い地方債を充当しなくてはならないことから、中長期的には実質公債費比率の上昇が予見されるため、地方債発行規模の抑制や起債対象事業を厳選していく。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が投資活動収支の赤字分を上回ったため、前年度より+473百万円となっている。投資活動収支は公共施設等整備費支出の増により△2,316百万円の赤字となったが、業務活動収支は令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの補助金等支出及びそれに伴う国県等補助金収入が減少したが、他方で地方消費税交付金等の税収等収入が増加したことで、前年度に比して+1,218百万円の黒字となった。
5.受益者負担の状況
受益者負担比率は、令和2年度に新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策事業として実施した特別定額給付金などの各種補助事業に係る費用の減少に伴い、経常費用が減少(前年度比△4,713百万円)したことで、前年度から+0.3ポイントの増となった。当比率は、例年類似団体平均を下回っており、行政サービスの提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。経常費用に占める物件費等の割合が高いことから、公共施設等の使用料の見直しを行うことで受益者負担の適正化を図るとともに、公共施設等総合管理計画に基づき、身の丈にあった公共施設等保有量への転換を図り、老朽化した施設の統廃合を進めることで経常費用の削減に努めていく。
類似団体【162108_01_0_000】