経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、類似団体と比較しても、一定の経常収益を計上している。②累積欠損金比率については、例年利益剰余金を計上しており、発生していない。当市は、複数事業の会計・経理を一体として行っており、下水道事業全体では、経常収支比率は105.6%、累積欠損金比率は0.0%である。③流動比率については、当年度数値は類似団体と比較して高い数値を示しているが、下水道事業全体では31.5%と低く、短期的な債務に対する支払能力の低さが課題である。④企業債残高対事業規模比率については、管路等の整備がほぼ完了し、企業債(借金)の償還ピークが過ぎていることから、類似団体と比較して低い数値を示している。しかし、今後は管路の長寿命化により再び企業債が増加することが予見されることから、費用の平準化等による効率的な管理運営、投資・予算配分の適正化に努める。⑤経費回収率については、汚水処理費が増加したことにより、前年度に比べ減少している。⑥汚水処理原価については、汚水処理費が増加したことにより、前年度に比べ増加している。
老朽化の状況について
当市における公共下水道事業は昭和46年から建設着手している。①有形固定資産減価償却費率については上昇傾向にある。令和3年度より耐用年数に達するものがあり、更新や長寿命化などの老朽化への対応が迫られる。(下水道会計全体での数値は、以下〔全体総括〕を参照のこと。)
全体総括
Ⅰ.現状分析1下水道会計全体では、①経常収支比率は105.6%、②累積欠損比率は0.0%により、単年度収支が黒字、累積欠損は発生していない。また、③流動比率31.5%、④企業債残高対事業規模比率530.0%、⑤経費回収率85.8%となっており、今後不明水対策による汚水処理経費の逓減が必要である。※不明水…処理する汚水のうち、管路内に侵入してきた地下水など料金収入に繋がらないもの。2下水道会計全体での①有形固定資産減価償却率は37.2%であるが、将来の管渠等の更新について検討が必要である。Ⅱ.経営改善に向けた方向性令和3年10月に改定した経営戦略をもとに将来の人口減少による使用料収入の減少や老朽施設の更新を視野に入れ、不明水対策等により有収率を高める(収益の確保)。また、料金改定・その他財源の確保を検討することにより、経営の健全化に取り組む。※経営分析表の前提条件当市では決算統計区分の事業の会計・経営を一体とし、下水道使用料収入も一本化されている。