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令和3年度は、法人2税の減少見込み等に伴う基準財政収入額の減少により、財政力指数は前年度に比べて0.02ポイント減少した。令和4年度は、厚生労働費・臨時経済対策費の増加及び臨時財政対策債振替相当額の減少等により基準財政需要額が増加したものの、税収の増加見込み等に伴う基準財政収入額が増加が基準財政需要額の増加額を上回ったため、前年度より0.005ポイント減少した。今後とも弾力的な行財政運営を行うため、引き続き自主財源の確保に努めていく。
令和3年度は、社会保障関係費などの補助費等の増加による経常経費充当一般財源等の増加が2億円にとどまる一方、地方交付税(普通交付税)が前年度比で205億円増加したことや県税の増加等により、経常収支比率は8.3ポイント減少した。令和4年度は、物価・賃金上昇による人件費や物件費、補助費等の増加、公共事業の進捗等に伴う公債費の増加により、経常経費充当一般財源が85億円増加した。また、歳入一般財源等については普通交付税・臨時財政対策債が再算定のあった前年度比で179億円減少したこと等により、経常収支比率は6.1ポイント減少した。今後、物価・賃金・金利の上昇により各経費の増加が予想されるため、引き続き積極的な歳入の確保と経常的な歳出の削減に努めていく。
新型コロナウイルス感染症対策関連経費や、業務基盤システムの保守管理費の増加等により物件費が28億円、給与改定に伴い人件費(退職手当除く)が11億円増加した一方、本県人口が前年度と比べ約1万人減少したことに伴い、人口1人あたりの数値は6,253円増加し、165,091円となった。グループ内の平均値169,833円以下の水準となっているものの、引き続き、効率的な支出に努めていく。
給与制度の総合的見直しにより、平成27年度以降グループ平均をやや上回るものの、都道府県平均を下回る水準であり、ラスパイレス指数は100以下で推移している。令和4年度は、一部の年齢階層において平均給料月額が増加したことが主な要因となり、前年度に比べ0.1高くなっている。給与制度については、従来から必要な見直しを行い、国に準じた制度となっていることから、適正なものと考えているが、今後とも適正な給与制度の運用に努め、国の動向を注視し、必要な改正を行っていく。
フルタイム勤務の再任用職員の増加等により、職員数が引き続き横ばいで推移しているものの、人口が減少していることから、人口10万人当たり職員数が増加している。今後は、定年引上げ並びに今後想定される人口減少、社会情勢の変化等に伴う行政需要の変化に適切に対応しつつ、業務効率化によって更なる効率的な体制づくりを推進し、適切な定員管理に取り組んでいく。
平成30年度以降は、繰上償還による公債費圧縮効果や借入金利の低下により低い水準で横ばいになっていたが、令和4年度は借換債の発行取り止め等により公債費が増加したことに伴い、前年度に比べ0.7ポイント上昇。数値はグループ内でも低い水準となっているものの、今後、交付税措置のない地方債の償還が本格化し、公債費は増加していくことから、行政改革推進債等の資金手当債の発行を抑制するなど、公債費負担の軽減に努めていく。
令和4年度において、将来負担比率は上昇した主な要因としては、繰上償還や借換債の発行取り止めにより県債残高を圧縮したものの、国土強靭化債の発行等によって、全体として県債残高は増加したことに加え、分母となる交付税額が減少したことが挙げられる。今後、さらに将来負担が増加するおそれがあるため、基金の活用や事業の効率化・重点化による県債発行の抑制などの行財政改革の推進により健全化を図っていく。
人件費に係る経常収支比率は、令和3年度に退職手当の減少及び常勤職員の減少等に伴い経常的な人件費は23億円減少した一方、経常経費一般財源に占める人件費の割合が減少したことで、前年度比で4.1ポイント減少し、35.2ポイントとなった。令和4年度は、退職手当の増加及び給与改定に伴う常勤職員給与の増加等に伴い経常的な人件費は24億円増加したこともあり、前年度比で2.2ポイント増加し、37.4ポイントとなった。半島という地理的な条件により職員の分散配置が必要なこと等により全国、グループ内いずれも平均値を上回っている状況にあることから、引き続き人件費の適正化に努めていく。
業務基盤システムの保守管理費や燃料価格高騰に伴う光熱水費の増加等により、経常的な物件費は前年度から16億円増加しており、物件費に係る経常収支比率は前年度比で0.6ポイント増加した。
扶助費に係る経常収支比率は、近年、ほぼ横ばいで推移しており、全国平均と同水準となっている。グループ内平均との比較では0.2ポイント下回っている状況であり、引き続き制度の適正な運用に努めていく。
その他経費については、国民健康保険特別会計への繰出金が3億円減少したものの、収支比率は、近年、ほぼ横ばいで推移している。全国、グループ内の平均値より低い水準にあり、引き続き制度の適正な運用に努めていく。
近年の社会保障経費の増加に加え、令和4年度は病院事業会計に対する運営費補助の増もあり、補助費等に係る経常収支比率は前年度比で1.3ポイント増加した。全国、グループ内の平均値より低い水準にあるものの、所要の社会保障経費を確保した上で、各単独補助金等の見直しを検討する等一層の抑制に努めていく。
毎年度の臨時財政対策債や公共事業等債等の発行に伴い償還金は増加傾向にあり、令和3年度は中小企業特会及び用地特会に係る元利償還金の減少により、前年度に比べ2.1ポイントの低下したが、令和4年度は近年の公共事業に伴う起債の増加による元利償還金の増加により1.8ポイントの増加。繰上償還の実施等による将来の公債費負担軽減や、交付税措置率の高い有利な起債の活用、県債発行の抑制に努める等、今後とも公債費負担の軽減に努めていく。
令和3年度は、社会保障関係費などの補助費等の増加による経常経費充当一般財源等の増加が2億円にとどまる一方、歳入一般財源等について、県税の増加や地方交付税(普通交付税)が前年度比で205億円増加したこと等により、6.2ポイント減少した。令和4年度は、物価・賃金上昇により、人件費や物件費、補助費等の経常経費充当一般財源が54億円増加。歳入一般財源等については普通交付税・臨時財政対策債が再算定のあった前年度比で179億円減少したこと等により、経常収支比率は4.3ポイント減少した。物価・賃金上昇により光熱水費や管理委託等の物件費の上昇とともに、社会保障費の増加が予想されるため、引き続き積極的な歳入の確保と経常的な歳出の削減に努めていく。
(増減理由)令和8年度までの間において増加する県債の償還に要する経費の財源に充てることにより、行財政改革の円滑な推進のための臨時の対策を講ずるための公債費臨時対策基金、退職手当の支給に要する経費の財源に充てるための退職手当基金、令和7年に開催される2025年日本国際博覧会への県の出展及び当該博覧会に係る広報活動並びに当該出展のための先端的な技術の振興に要する経費の財源に充てるための2025年日本国際博覧会対策基金の新規設置等により、基金残高は前年度に比べ167億円増加し、713億円となった。(今後の方針)財政調整基金・県債管理基金(減債基金)は、毎年度の収支不足の解消のために取崩しを行いつつ、自然災害等不測の事態に備えるため残高を少なくとも150億円維持していく。その他、産業開発基金の企業立地奨励金等への充当や、地域医療介護総合確保基金の医療・介護施設の整備や医療・介護従事者の確保等への充当など、その他特定目的基金を有効に活用していく。
(増減理由)令和4年度は、令和5年度に実施する交付金の国への返還にあてるため、15億円の積立を行った。(今後の方針)財政調整基金・県債管理基金(減債基金)は、毎年度の収支不足の解消のために取崩しを行いつつ、自然災害等不測の事態に備えるため残高を少なくとも150億円維持していく。
(増減理由)近年、新規積立てや収支不足に伴う取崩しを行っておらず、同規模を維持している。(今後の方針)財政調整基金・県債管理基金(減債基金)は、毎年度の収支不足の解消のために取崩しを行いつつ、自然災害等不測の事態に備えるため残高を少なくとも150億円維持していく。
(基金の使途)・福祉対策等基金:福祉対策等の充実・地域医療介護総合確保基金:医療介護総合確保法に基づく地域における医療・介護の総合的な確保・産業開発基金:企業の導入及び産業の近代化・公債費臨時対策基金:令和8年度までの間において増加する県債の償還に要する経費の財源に充てることにより、行財政改革の円滑な推進のための臨時の対策を講ずるため・退職手当基金:退職手当の支給に要する経費の財源に充てるため・2025年日本国際博覧会対策基金:令和7年に開催される2025年日本国際博覧会への県の出展及び当該博覧会に係る広報活動並びに当該出展のための先端的な技術の振興に要する経費の財源に充てるため(増減理由)・福祉対策等基金:重度心身障害児者医療費助成の一部への充当による減少・地域医療介護総合確保基金:医療介護総合確保法に基づく地域における医療・介護の総合的な確保事業への充当による減少・産業開発基金:企業立地奨励金等への充当による減少・公債費臨時対策基金:公債費臨時対策基金の新規設置による増加・退職手当基金:退職手当基金の新規設置による増加・2025年日本国際博覧会対策基金:2025年日本国際博覧会対策基金の新規設置による増加(今後の方針)・福祉対策等基金:県単独医療費助成に充当・後期高齢者医療財政安定化基金:高齢者医療確保法に基づき、予期せぬ保険給付増や保険料未納により財源不足となった場合等において、和歌山県後期高齢者医療広域連合に対して資金貸し付け・産業開発基金:誘致企業への立地奨励金等に充当・公債費臨時対策基金:令和8年度までの間において増加する公債費に充当・退職手当基金:退職手当の支給に要する経費に充当・2025年日本国際博覧会対策基金:2025年日本国際博覧会に要する経費に充当
グループ内平均の将来負担比率は若干の下降傾向、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にあり、本県は令和3年度は交付税の再算定等により一時的に将来負担比率は低下したものの、傾向としては将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに上昇傾向にある。将来負担比率の低下は、普通交付税の交付額及び臨財債の発行額の増加等によるもの。有形固定資産減価償却率については、減価償却累計額の増加により、各施設で上昇している。
実質公債費比率は、近年の県債の発行額の増加に伴う、元金償還額の増加等により0.1ポイント上昇した。将来負担比率は、普通交付税の交付額及び臨財債の発行額の増加等により、9.9ポイント低下した。交付税の再算定等により一時的に数値は低下したものの、今後、算入交付税額の低下及び公債費の上昇に伴い、実質公債費比率及び将来負担比率は悪化していくことが見込まれる。そのため、今後とも各指標の推移に注視しつつ、財政の健全性の確保に努めていく。