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財政力指数は、リーマンショック以後落ち込んだ県内景気のため平成25年度まで底打ちしていた中、平成26年度から改善し、平成30年度以降は、ほぼ横ばいとなっている。令和4年度の単年度財政力では、分母要素である基準財政需要額が減少した一方、法人事業税、特別法人事業譲与税の増加等に伴い分子要素である基準財政収入額が増加したため、前年度と比較してほぼ横ばいとなり、依然として厳しい状況にある。今後も引き続き総人件費の抑制、マネジメント機能強化による公債費の抑制や事務・事業の見直し等、歳出の徹底的な見直しを実施するとともに、新たな財源の確保等による歳入改革を推進する。
令和4年度は、公債費や人件費等の減に伴い指標の分子要素となる経常的経費充当一般財源が減少した一方、臨時財政対策債や普通交付税等の減に伴い指標の分母要素となる経常一般財源が分子要素以上に減少したことにより、前年度と比較して4.0ポイントの増となった。今後も引き続き総人件費の抑制、マネジメント機能強化による公債費の抑制や事務・事業の見直し等、歳出の徹底的な見直しを実施するとともに、新たな財源の確保等による歳入改革を推進する。
人口1人当たり人件費・物件費等決算額については、人口が本県の倍以上ある団体も同じグループに含まれる中、本県の人口がグループ最少であるのに対し、決算規模についてはそこまでの差はないことから低位にとどまっている。一方、人件費のうち職員給については、継続して給与制度の適正管理に努めるとともに、職員数の削減に計画的に取り組んできたこと等により、給与カット終了後増加傾向にあったものが、平成28年度決算以降、減少に転じ、令和4年度決算においても前年度から15億円以上減少している。引き続き、給与制度の適正管理や計画的な定員管理に努める。
ラスパイレス指数は、前年度と比べて0.1ポイント下降しており、引き続き国の水準と均衡している目安とされる100や都道府県平均を下回ることはもとより、グループ内順位も中位である。これは、これまで昇給・昇格制度の見直し等に取り組んできたことが主な要因であり、引き続き、給与制度の適正管理に努める。
人口10万人当たり職員数のグループ内順位は「14位」と低位にある。これは、人口が本県の倍以上ある団体も同じグループに含まれる中、本県の人口がグループ最少であるのに対し、決算規模についてはそこまでの差はないこと、また、相応の行政サービスを提供するためには、人口規模に関わらず一定の職員が必要とされることが要因と考える。加えて、グループ内で中核市がないのは本県のみであり、保健所に関する業務など県所掌業務が多くなっていることも、本県の職員数増につながっていると考える。なお、本県では、平成19年11月に策定した「とくしま未来創造プラン」において、平成19年4月~23年4月の4年間で一般行政部門職員数を「300人以上」削減する目標を掲げ、定員管理の適正化に積極的に取り組んできた結果、平成23年5月1日時点で目標を大きく上回る「326人」の削減を達成するとともに、業務移管に伴う人員増などもある中で、引き続き、職員数の削減に取り組み、令和4年4月1日現在では、平成19年4月比で「425人」削減している。今後も、新たな行政需要に的確に対応できる組織力を維持し、県民サービスの維持・向上を図るとともに、計画的な職員採用により、年齢構成の是正などバランスのとれた体制づくりにも取り組む。
指標の分子要素となる公債費がピークの平成20年度以降減少を続けていることに伴い、実質公債費比率も平成23年度にピークを迎え、それ以降低下し、平成27年度以降は起債許可ラインを下回る低水準を維持している。令和4年度は、基準財政需要額への公債費算入減等により分子要素が減少するとともに、分母要素である標準財政規模が減少したことに伴い、前年度と比較して0.5ポイント上昇した。
令和4年度は、分母要素である標準財政規模が減少したものの、地方債の新規発行の抑制による地方債現在高の減少や、勤続年数の長い職員数の減少による退職手当負担見込額の減少により指標の分子要素が減少したことに伴い、前年度と比較し2.7ポイント改善した。
人件費に係る経常収支比率については、前年度と比較して1.3ポイント悪化しているものの、グループ内平均を下回る状況を継続している。なお、人件費のうち職員給については、継続して給与制度の適正管理に努めるとともに、職員数の削減に計画的に取り組んできたこと等により、給与カット終了後増加傾向にあったものが、平成28年度決算以降、減少に転じ、令和4年度決算においても前年度から15億円以上減少している。今後も人件費の増加が財政の硬直化を招かぬよう、引き続き、給与制度の適正管理や計画的な定員管理に努める。
物件費に係る経常収支比率については、令和2年度から減少傾向にあったが、令和4年度においては前年度と比較して0.6ポイント増加した。これは、分子である経常的経費充当一般財源の増加等によるものである。今後も、庁舎等管理経費の縮減や委託事業見直し等、物件費の効果的・効率的な執行や制度の運用・あり方などを見直し、経費縮減に努める。
扶助費に係る経常収支比率については、分子である経常的経費充当一般財源の増加に伴い、前年度と比較して0.2ポイント増加しており、グループ内平均、都道府県平均とおおむね近似の値となっている。県単扶助費については、社会保障充実の方向性を踏まえながら、給付の水準や範囲、制度の効果、運用のあり方、法令等との関係などを検証し、適切な見直しの検討を行う。
平成30年度以降増加傾向であったが、令和3年度は国民健康保険事業特別会計への繰出金の減少等により一時低下した。令和4年度は、保険給付費等交付金の増に伴う国民健康保険事業特別会計への繰出金の減少、分母である経常一般財源の減少等により、前年度と比較して0.1ポイント増加したものの、グループ内平均を下回っている。
補助費等に係る経常収支比率については、令和3年度に一時低下したものの、引き続き増加傾向にあり、令和4年度は前年度と比較して1.1ポイント増加した。これは、分母である経常一般財源の減少等によるものである。児童保護措置費や後期高齢者医療などの社会保障関係経費は毎年度大きな伸びを示し、多大な財政負担につながっていることを踏まえ、給付の状況を分析し、抑制の可能性を検証するとともに、適正な給付のあり方について市町村と共に検討を進める。
公債費に係る経常収支比率については、グループ内平均を上回っている。これは、他県に比べ県債の償還ペースが早いことによるものであると考えられる。今後も、県債発行を厳格に管理し、早期償還に努める。
公債費以外に係る経常収支比率については、前年度と比較して3.3ポイント増加した。これは、分母である経常一般財源の減少等によるものである。人件費と補助費等の合算額が全体の約9割を占めているため、傾向としては人件費及び補助費等と同様である。本県は、経常収支に占める公債費の割合が非常に高いことから、グループ内平均、都道府県平均よりも低い状況にある。
(増減理由)令和4年度末の基金残高は、約878億円となっており、令和3年度と比較すると、約76億円の増となっている。これは、各基金について、条例の趣旨に基づき活用を図ったものの、財政調整基金で約50億円、減債基金で約52億円増加したことなどが主な要因となっている。(今後の方針)適切な基金運用及び健全な財政運営に努める。
(増減理由)令和4年度末の基金残高は、約197億円となっており、令和3年度と比較すると、約50億円の増となっている。決算剰余金の増加に加え、歳出において投資的経費の重点化、内部管理経費の見直し等を実施した結果、積立額が取崩額を上回ったことが主な要因となっている。(今後の方針)適切な基金運用及び健全な財政運営に努める。
(増減理由)令和4年度末の基金残高は、約258億円となっており、令和3年度と比較すると、約52億円の増となっている。大規模プロジェクト等に伴う支出の増加に備えるため、任意積立を行ったことが主な要因となっている。(今後の方針)適切な基金運用及び健全な財政運営に努める。
(基金の使途)①二十一世紀創造基金:二十一世紀の県勢発展の基盤となる施設の整備等に要する経費に充てる。②地域医療介護総合確保基金:地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する地域における医療及び介護の総合的な確保のための事業に要する経費に充てる。③交通網整備利用促進基金:本県の交通網の整備、利用の促進その他交通網の強化を図るために実施する事業に要する経費に充てる。④命を守るための大規模災害対策基金:南海トラフを震源とする巨大地震、台風による豪雨その他の異常な自然現象により生ずる大規模な災害からの県民の命を守るための対策として行う当該災害の未然の防止、発生時の応急措置並びに収束後の復旧及び復興に関する事業に要する経費に充てる。⑤介護保険財政安定化基金:介護保険法の施行に伴い、介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てる。(増減理由)①二十一世紀創造基金:各種施設整備等に係る「取崩し」に伴う減。②地域医療介護総合確保基金:地域における医療及び介護の総合的な確保に向けた「積立て」に伴う増。③交通網整備利用促進基金:将来の交通網の整備、利用の促進その他交通網の強化に係る「取崩し」に伴う減。④命を守るための大規模災害対策基金:事前防災・減災対策の推進による「取崩し」に伴う減。⑤介護保険財政安定化基金:介護保険事業の安定化に向けた「積立て」に伴う増。(今後の方針)各基金の設置条例に定められた趣旨に則り、適切な基金運用及び健全な財政運営に努める。
有形固定資産減価償却率については、前年度比較でほぼ横ばいとなっており、老朽化の進行率は低いものの、今後さらに老朽化が加速していくことが予想されるため、引き続き施設の長寿命化対策等の取組が必要である。
一層の財政健全化を図るため、毎年度の県債発行を抑制し、県債残高の更なる低減に努めたこと及び定員管理の適正化に積極的に取り組んできた結果、県債償還比率は類似団体平均を下回っている。
一層の財政健全化を図るため、毎年度の県債発行を抑制し、県債残高の更なる低減に努めてきた結果、将来負担比率が低下している。一方で、有形固定資産減価償却率については、前年度比でほぼ横ばいとなっており、老朽化の進行率は低いものの、今後さらに老朽化が加速していくことが予想されるため、施設の長寿命化対策等の取組が必要である。
将来負担比率及び実質公債費比率については、平成29年度から令和3年度において類似団体平均を上回っている。これは、他県に比べ遅れていた社会資本を整備するため、国の経済対策に呼応して発行した県債の償還が本格化していることによるものであると考えられる。平成29年度以降は、これまでの県債の新規発行抑制の結果、公債費が減少基調にあることに伴い、低下している。今後も県債の新規発行抑制や平準化を図り、公債費の抑制に努める。