経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成23年度に実施した平均19.8%増の料金改定の影響で、平成23年度以降100%を超えているが、今後の人口減による水需要の減少が避けられず、維持管理費用の削減に努めていきたい。②累積欠損金比率は、累積欠損金が発生しない0%を続けており、問題ない状況である。③流動比率は、平成25年度までは類似団体平均を超過していたが、平成26年度からは下回っている。会計制度見直しにより、1年以内に償還する企業債を流動負債としたことによるものである。④企業債残高対給水収益比率は、低下傾向にはあるが、類似団体平均の2.7倍程度の高い状態が続いている。⑤類似団体平均と比較して、経常収支比率はほぼ同じなのに料金回収率が低い状況である。これは、総務省の繰出基準の考えをベースにした繰入金が、類似団体よりも比較的多いと推察されるためである。近年は、給水収益の減少以上に費用が減少しているため、料金回収率は上昇傾向にある。⑥給水原価は、類似団体平均よりもやや高いながらも低下傾向にあり、今後も費用の削減を図っていきたい。⑦施設利用率は、水需要の減少から低下傾向にあるが、適切な規模の施設更新を進めることにより、低下傾向に歯止めをかけていきたい。⑧有収率は、類似団体平均よりも低く、近年、頭打ち状態であり、漏水している配水管の更新を進め、上昇させていきたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均よりも低いとはいえ、上昇傾向にあり、年々老朽化が進んでいる。②管路経年化率も、①と同様である。③管路更新率は、近年、低下傾向にあり、平成26年度は類似団体平均の半分程度の0.37%と、全ての管路を更新するのに、270年かかるペースである。この数値を上昇させることが大きな課題と認識している。
全体総括
経営の健全性・効率性については、収支としては、平成23年度からの料金改定の影響もあり、それ以降は単年度黒字を続け概ね良好な状況である。しかし、財政状況としては、これまでの施設整備のために発行した企業債残高が多く、その償還が給水収益の2.7倍に達している。老朽化の状況については、現在は類似団体平均よりも老朽化度合は低い状況であるが、管路の更新が進んでおらず、老朽化が進み、類似団体平均よりも悪化することも予想される。人口減による水需要の減少は避けられない状況で、将来を見据えた適切な規模となるよう管路・施設の更新を推し進めることで、施設維持管理費用の削減、施設利用率の向上、有収率の向上に努めていきたい。以上の内容を踏まえ、経営戦略、新水道ビジョンを策定し、今後の健全経営につなげていきたい。