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財政力指数については近年微増ではあるが、ほぼ横ばいの状況にあり、他団体に比べて低い状況も変わっていない。これは、人口の減少や全国平均を上回る高齢化率(平成29年度末41.93%)により財政基盤が弱いといった背景によるものである。平成29年度においては、地域振興費(人口)や地域経済・雇用対策費の減により基準財政需要額が約6千万円減り、0.01ポイント改善した。財政力指数について改善目標数値は設定していないところであるが、今後はさらなる減少に転ずることのないよう、収納対策や新たな歳入の確保に取り組む必要がある。
歳出面では人件費が退職者増(1名)等により約1千万円の増、扶助費が保育施設措置費等の増により約3千万円の増となったこと、歳入面では地方交付税が約1億円の減となったことから、2.2ポイント高くなった。人件費、扶助費といった義務的経費の経常収支比率に占める割合は依然として高い状況にあるため、財政構造の弾力性は低いと言える。また、近年の財政健全化により職員数の削減や公債費残高の縮小に取り組んでいるが、扶助費や社会保障費の増大等により、大きな改善ができていない状況である。今後は「自立推進行政改革プラン」に基づくこれまでの取組に加え、収納対策等に取り組む必要がある。
類似団体平均に比べ人口1人当たりの決算額が高くなっているのは、主に人件費を要因としている。これは、市木地区に開設している診療所や市直営の保育所、単独で組織している消防本部など医師や保育士、消防士の人件費も含まれていることも一因となっている。保育所においては、今後民営化に移行する方向であり、さらに平成28年度に新たに策定した定員管理計画において、平成29年度から平成33年度までの5年間で職員を10人削減することとしている。また、これまでの努力も継続しつつ、給与体系の見直しや行政サービスの見直しを行うことも必要である。
これまでもワタリ制度の廃止、昇給抑制の実施、給与制度総合的見直しにおける現給保障の廃止等を行い、国と同水準に近づくよう努力しているところである。併せて、人事評価制度の導入に伴い、55歳以上の職員の昇給についても、国同様、原則停止とし、人事評価の評価内容により昇給等対応を行っているところである。ラスパイレス指数が高いことについて、職員団体と共通の認識を持ち、国と同水準となるように職員団体と継続的に交渉を続けており、今後も給与適正化に向けて努力していきたい。
平成19年度に定員管理計画を策定し、民間委託や退職者の不補充等を継続的に実施し、職員数の削減に努めるとともに、現業職の撤廃の実施やほぼ全ての施設において指定管理者制度の活用による民間委託を実現してきたが、なお平均より高い状態である。本市の地域が広域であるため、単独で消防本部を組織している現状であることも一因となっている。また、平成28年度に新たな定員管理計画を策定し、保育所の民営化等により定員を更に引き下げているが、人口減少の影響に伴い、人口千人当たり職員数は増となっている。厳しい行政運営の状況であるが、引き続き職員数の削減余地があるか検討していきたい。
実質公債費比率については、市債発行額の抑制により平成25年度から年々低下を続けており、平成29年度は前年度と比較して0.3ポイントの改善がみられる。しかし、平成27、28年度に引き続き、平成29年度は大型事業の実施があり、償還額以上の新規発行をすることとなったことから、元金償還が始まる平成32年度以降は実質公債費比率が悪化する見込みである。事業終了後には市債発行の抑制を継続し、数値の改善を目指すものである。
将来負担比率については、市債発行額の抑制や基金の積立等により、年々低下し続けていたが、平成28年度以降に中心市街地まちづくり事業などの大型事業があり、地方債残高が増加したため、平成29年度は前年度と比較して7.4ポイント増加した。数値目標は設定していないが、今後も「自立推進行政改革プラン」に基づき、市債発行の抑制や基金の積立等の対策を継続し、さらなる改善を目指すものである。
類似団体平均と比べ高い水準にある。これは保育所などの施設運営を直営でおこなっていることや、地域が広域であるため単独による消防本部を組織しているといった状況により、職員数が類似団体平均と比較して多いことが主な要因である。平成29年度においては、定年退職者及び人事院勧告による給料・期末勤勉手当の増により、人件費が増となった。平成28年度に新たに策定した定員管理計画に基づき、今後は保育所の民営化を進めるなど、人件費の削減に努める。
物件費は類似団体平均に近くなっている。スポーツ施設、文化会館、図書館、観光施設などの管理については民間委託を実施しており、平成29年度は新たに旧吉松家旧宅においても民間委託を導入した。物件費には委託料や修繕料等も含むため、施設がある限りは発生し、増大していく見込みである。今後は平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合や面積減を実施していくことで、物件費の削減を行っていく必要がある。
扶助費に係る経常収支比率が類似団体平均を上回り、かつ上昇傾向にある要因として、養護老人ホームが市内に2施設あることで措置費が多額であることや生活保護者が増加が要因となっている。また、近年では、社会保障の充実・多様化により、教育・保育施設措置費や障がい者福祉サービス等の給付も増加傾向にあり、扶助費が財政を圧迫する状態である。今後は資格審査等の適正化を進めて、上昇傾向に歯止めをかけるよう努める。
その他に係る経常収支比率が類似団体平均より高くなっているのは、繰出金の増加が主な要因である。平成29年度においては、簡易水道統合事業完了による簡易水道特別会計への繰出が増、介護サービス給付の増による介護保険特別会計への繰出が増となった。簡易水道統合事業完了に伴い、特別会計への繰出は今後減少していくが、医療などの社会保障費に関する国民健康保険事業の繰出は高齢化により増えることが予想されるため、医療費抑制に努める。
経常収支比率における補助費等の比率が類似団体平均を大きく下回っているのは、義務的経費の割合が多大であることに加えて、市単独補助金の終期設定の徹底や定期的な事業効果の見直し実施等が要因と思われる。平成29年度においては、畜産クラスター事業等の増により、0.6ポイント高くなった。今後も補助金の見直しや廃止などを継続的に取組み、適正な財政運用に努める。
公債費については、一般会計の地方債新規発行額を公債費元金の償還額以下に抑制しているため、年々減少してきている。しかし、平成27、28年度に引き続き、平成29年度においても大型事業の実施があったため、償還額以上の新規発行をすることとなった。今後も大型事業が数年続くことが見込まれており、元金償還が始まる平成32年度以降は実質公債費比率が悪化する見込みである。事業終了後は従来の市債発行額抑制に努めていく。
公債費以外での比率が上回っているのは、人件費及び扶助費が要因となっている。人件費については、定年退職に伴う人員減を埋めるための補充を抑制するなどしているが、扶助費については、生活保護費、児童福祉費、障がい福祉費といった社会保障費の増に伴うものである。今後も扶助費の増に伴い、市の財政を圧迫し影響を与えるものが大きいと考えられる。
(増減理由)災害関係や大型事業等の経費の財源に充てるため財政調整基金を1億5千万円取り崩した一方、固定資産税等の増収により財政調整基金を1億7千万円積み立てたこと、「がんばっどふるさと応援基金」(ふるさと納税関連基金)を取り崩し額以上に積み立てたこと等により、基金全体としては1千4百万円の増となった。(今後の方針)平成29年度に作成した「中期財政収支見通し」では、人口減少による市税の減、社会保障の充実・多様化による扶助費の増、近年続く大型事業の増により、減少傾向にある。
(増減理由)固定資産税等の増収により1億7千万円積み立てたことによる増加(今後の方針)財政調整基金の残高は、標準財政規模の20%程度となるように努めることとしているが、平成29年度に作成した「中期財政収支見通し」では、20%を下回って減少していく見込み。
(増減理由)預金利息を60万円積み立てたことによる増加(今後の方針)平成35年度に地方債償還のピークを迎えるため、それに備えて積立てを行う予定。
(基金の使途)地域福祉事業基金:高齢者保健福祉の増進を図るがんばっどふるさと応援基金:豊かな自然環境を次世代に引き継ぎ、誰もが快適に住むことのできるまちに発展することを願い寄附された寄附金を魅力あるまちづくりに関する事業の財源文化振興基金:地域文化の振興を図り、やすらぎとゆとりある豊かなまちづくりに資する(増減理由)退職手当基金:平成29年度末に退職した職員に対する退職手当の財源として1千8百万円を充当したことによる減少がんばっどふるさと応援基金:魅力あるまちづくりに関する事業の財源として2千2百万円充当した一方で、寄附金から返礼事務費等を差引額として3千万円を積み立てたことにより、8百万円の増加(今後の方針)公共施設等整備資金積立基金:今後、本庁舎改修工事のための積立てを行う予定であるが、公共施設等総合管理計画に基づく施設統廃合等の工事や維持補修費が増加する見込みであるため、必要最低限の取り崩しを行う。
当市では、平成28年度に策定の公共施設等総合管理計画において、延床面積を今後40年間で約60%圧縮するという目標を掲げ、公共施設の新規整備の抑制や既存施設の複合化・除却を進める方針である。有形固定資産減価償却率について、平成27年度が56.5%、大型施設の更新事業により、平成29年度は53.5%となった。今後も当該計画に基づいた施設の維持管理に適切に取り組んでいく。
平成27年度以降は大型事業の実施があったため、将来負担比率が増加しているが、類似団体と比べて低い水準にある。今後も引き続き、大型事業の起債により、将来負担比率が増加する見込みであるが、事業終了後は、従来の市債発行額抑制に努め、数値の改善を目指していく。また、有形固定資産減価償却率においても類似団体より若干低い水準にあるが、大型施設の更新等によるものと考えられる。今後も人口減少していくことが見込まれるため、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設の除却、民間譲渡を行っていくなど、公共施設のダウンサイジング化に取り組んでいくこととしている。
将来負担比率及び実質公債費比率ともに類似団体と比較して低くなっている。これは、原則的に、一般会計の地方債新規発行額を当該年度元金償還額以下とする抑制を継続してきたためである。ただし、平成27年度以降は大型事業の実施により、償還額以上の新規発行をすることとなったため、地方債残高が増えたことにより将来負担比率が増え、数年後には元利償還額が増となり実質公債費比率も高くなる見込みである。事業終了後は、従来の市債発行額抑制に努め、公債費の適正化に取り組んでいくこととしている。
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