経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、令和2年度に収益認識に関する会計基準の変更により、令和2年度に限り料金収入や給水量が例年と比べ1ヶ月分多く計上されている。なお、12ヶ月の経常収益に換算すると98.79%となるが、今年度は更に減少しており、年々減少する傾向にある。・流動比率は、平成26年度の会計制度改正により流動負債に企業債償還費を計上することとなったため、多くなっているが、交付税措置される企業債が含まれることや、企業債残高が年々減少していることから、直ちに健全性が損なわれているとはいえない。・企業債残高対事業規模比率は、過去の整備に係る企業債残高が大きいため、単年度収益に対する企業債残高が大きくなっているが、類似団体との比較では企業債残高が低いことを示している。・経費回収率は、経費が使用料を上回っており、処理費用を回収できていないが、概ね95%程度を維持しており、類似団体との比較でも高い状況である。・汚水処理原価は、整備が完了し接続率も高率となっており、引き続き類似団体平均を下回っているが、本年度は世界的な燃料費高騰の影響を受け、動力費が増大し汚水処理原価を引き上げた。また、今後、一般会計負担金の減少に伴い、処理原価の上昇も見込まれる。・施設利用率は、施設の統廃合等により計画処理能力が減少する一方、処理水量は人口減少等による影響があるものの、減少幅は小さいため、利用率が比較的高い水準となっている。
老朽化の状況について
・集落が散在し、小規模な処理区設定となっており、施設(設備)が多数存在している。・有形固定資産減価償却率は、整備が完了し、区域拡張に係る大きな投資はないため、償却が進んでいくことによる逓増傾向にある。・管渠は、老朽化による更新の時期となっていないが、中越大震災や豪雪地の特性による損傷が一部で見られ、引き続き箇所の特定とその対応が必要となっている。・管渠改善率は、施設の統廃合による接続管の布設以外では更新等行っていないことが反映している。
全体総括
・整備は完了しており、事業は施設設備の維持管理が主な業務となっている。・事業に要する費用は、使用料収入や一般会計からの繰入金(企業債償還の交付税措置等)等で賄われており、概ね健全な経営状況といえる。水洗化率が100%に近く新たな接続が見込めないため、今後は人口減少や節水志向等の影響を直に受け、使用料収入の減少が見込まれる。・山間地という地域性から処理施設が多数存在しているが使用料単価は高い水準にあるため、今後は単なる施設更新ではなく公共への接続も含め、統廃合やダウンサイジングを加速させる方向である。・平成28年度に策定した「魚沼市下水道事業経営戦略」の進捗管理や計画見直しを行いながら、経営の質と効率化を高め、市民サービスの安定的な継続が図られるよう運営するものとする。