経営の健全性・効率性について
経常損益の割合を示す指標である経常収支比率は121.68%と前年度から悪化し、今後も悪化することが見込まれている。内部留保資金で補てんすることが出来ず、複数年にわたって累積した欠損金の営業収益に対する比率である累積欠損比率は212.85%と悪化した。本来は0%が望ましい指標であることから、広域化等抜本的な改革を通じて経営の健全化を図っていく必要がある。支払能力を示す流動比率は△117.13%とこちらも平成26年度から7年連続マイナス値となっている。公共下水道事業と同一会計であるために支払いができている状況であるため、資本費平準化債等による改善策を実施していく。使用料で回収すべき経費を使用料収入でどの程度賄えているかを表している経費回収率は77.41%と、昨年度に比べて改善したが、経費を8割程度しか賄えていない現状が浮き彫りとなっている。水洗化率の向上のために企業債を財源とする工事を行ってきたため、企業債残高対事業規模比率は3987.69%と類似団体平均を大幅に上回り、事業規模に対して企業債が過大なものとなっている。以上の結果から、経営は健全とはいえず、今後もますます厳しいものになると考えられる。
老朽化の状況について
農業集落排水の供用開始は昭和57年であり、耐用年数を超えて使用している管渠はない。現在の経営状況では、管渠の更新や施設の災害対策などの避けられない投資であっても捻出することが難しく、経営戦略やストックマネジメント計画の策定を通じて、広域化等の抜本的な見直しを図っていく必要がある。
全体総括
経常収支比率は100%を超えているものの、累積欠損金が生じているなどきわめて厳しい経営状況である。農業集落排水使用者の減少は今後加速していくものと考えられ、大幅な増収策を講ずることが難しい。近年管渠に対する新規投資はほとんど行っていないため、企業債の償還は漸減することが見込まれているものの、当面の間企業債の償還金が高額に推移し、更にこれまで取得した資産の更新が経営を圧迫することは明白である。令和2年度には矢次地区を公共下水道に接続し、同4年度には下赤林地区を接続予定である。これらの抜本的な改革を通じて、持続可能な下水道事業を再構築していく必要がある。