経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超えているが、今後は、人口減による水需要の減少が避けられず、維持管理費用の削減に努めることで指標の悪化を避けていきたい。②累積欠損金比率は、累積欠損金が発生しない0%を続けており、問題ない状況である。③流動比率は、平成26年度からの会計制度見直しにより、1年以内に償還する企業債を流動負債としたことで大きく減少し類似団体平均を割り込んでいるが、平成27年度は256%あり、特に問題ない状況である。④企業債残高対給水収益比率は、低下傾向にはあるが、類似団体平均の2.6倍程度の高い状態が続いている。⑤料金回収率は、類似団体平均と比較して、経常収支比率はほぼ同じなのに低い状況である。これは、総務省の繰出基準の考え方をベースにした繰入金が、類似団体よりも比較的多いためと推察しており、近年は、給水収益の減少以上に費用が減少しているため、料金回収率は上昇傾向にある。⑥給水原価は、類似団体平均よりもやや高いながらも低下傾向にあり、今後も費用の削減を図っていきたい。⑦施設利用率は、水需要の減少から低下傾向にあるが、適切な規模への施設更新を進めることで、低下傾向に歯止めをかけていきたい。⑧有収率は、類似団体平均よりも低くかつ減少傾向にあり、漏水している配水管の更新を進めることで、上昇させていきたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均よりも低いとはいえ、上昇傾向にあり、年々老朽化が進んでいる。②管路経年化率は、類似団体平均よりも低く、老朽管の更新をすることで、近年はさらに減少している。③管路更新率は、低下傾向にあったが、平成27年度は0.43%と前年度よりやや改善した。しかし、未だ類似団体平均の6割しかなく、全ての管路を更新するのに、230年かかるペースである。この数値を上昇させることが大きな課題と認識している。
全体総括
経営の健全性・効率性については、収支としては、単年度黒字を続け概ね良好な状況である。しかし、財政状況としては、これまでの施設整備のために発行した企業債残高が多く、給水収益に対する割合が8.2倍と類似団体平均の2.6倍もある。老朽化の状況については、現在は類似団体平均よりも老朽化度合は低い状況であるが、管路の更新率は低く、今後悪化することが予想される。人口減による水需要の減少は避けられない状況であり、将来を見据えた適切な規模となるよう管路・施設の更新を推し進めることで、施設維持管理費用の削減、施設利用率の向上、有収率の向上に努めていきたい。以上の内容を、H29年度に改定する水道ビジョンや、新たに策定する経営戦略に取り込み、今後の健全経営につなげていきたい。