経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超えているが、収益に対し非資金取引である長期前受金戻入が約11.7%を占めている。この状況が続くとやがて資金が底をつくため、更なる費用削減や水道料金の見直しの検討が必要である。③流動比率は、100%を超えているため、1年以内に現金化できる資産で1年以内に支払わなければならない負債を賄えており、良好である。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値よりも低く、適切に投資されている。⑤料金回収率については、100%を超えているが、更新投資等に充てる財源を確保するため、水道料金の見直しの検討が必要である。⑥前年と比較して有収水量が増加したこと等により、給水原価が下がった。⑦施設利用率は、平成21年度に策定した水道ビジョンで、今後使用水量が伸びないと判断し、既設の配水ポンプを配水能力を下げたものに更新したため、前年度より施設利用率が高まった。類似団体と比較しても平均値を上回っており、水道施設を効率的に運営している。⑧有収率は、計画的な管路更新や維持を実施していることから90%を超えており、給水収益に結びついている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、多少の増加傾向にあるが、類似団体平均値よりも低く、施設や管路等の更新を計画的に行っており、良好である。②管路経年化率については、計画的に管路を更新しているが、類似団体平均値の増加と同様、昭和50年代に布設された管路が多いため増加している。③管路更新率については、老朽管等の計画的な更新を進めているが、毎年度の事業内容や財源によっては、増減が生じている。平成29年度から基幹管路の耐震化事業に着手し、完了が平成37年度となるため、現時点では管路更新率が減少している。
全体総括
水道事業の理想像に向け、「安全」「強靭」「持続」の観点から取り組むべき事項等を示した八潮市水道事業ビジョンと将来の投資計画と財政計画を検討する経営戦略を策定し、事業を実施している。しかし、多くの配水管や水道設備が更新時期をむかえ、引き続き厳しい経営状況である。分析表では、経営の健全性・効率性は、良好な運営状況であるが、収益に現金の伴わない収入も含まれており、更なる経営の効率化を目指す必要がある。老朽化の状況では、基幹管路の耐震化事業に着手するなどしたため、管路更新率が減少した。今後も、八潮市水道事業ビジョンを踏まえて事業を進めていくとともに、これから策定する経営健全化計画の中で、より具体的に今後の資金計画について分析し、料金改定の必要性について検討していく。