経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、上昇傾向のうえ、類似団体平均を超え良好な状況である。②累積欠損金比率は、累積欠損金が発生しない0%を続けており、問題がない状況である。③流動比率は、平成26年度から適用した新会計基準により、1年以内に償還する企業債を流動負債としたことで大きく低下し、類似団体平均を割り込んでいるが、平成28年度は278%あり、問題がない状況である。④企業債残高対給水収益比率は、低下傾向にはあるが、類似団体平均の2.5倍程度の高い状態が続いている。この比率を低下させることが中長期的な課題と捉えている。⑤料金回収率は、類似団体平均と比較して低い状況である。これは、総務省の繰出基準の考え方をベースにした繰入金が類似団体よりも多いためと推察している。近年は、給水原価の低下により、料金回収率は上昇傾向にある。⑥給水原価は、類似団体平均よりもやや高いながらも低下傾向にあり、今後も費用の削減を図っていきたい。⑦施設利用率は、水需要の減少から低下傾向にあるが、適切な規模への施設更新を進めることで、この低下傾向に歯止めをかけていきたい。⑧有収率は、類似団体平均よりも低いが、平成28年度は1.63ポイント上昇した。今後も、漏水箇所の調査を進め、問題のある配水管の更新を進めることで、有収率を上昇させていきたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均よりも低いとはいえ上昇傾向にあり、年々老朽化が進んでいる。②管路経年化率は、類似団体平均よりも低いが、平成28年度は上昇し、法定耐用年数を超えた管路が増えている。これは、老朽管更新よりも近年は漏水事故頻発箇所を重点的に更新していることが要因である。③管路更新率は、平成28年度は前年度よりやや低下し、類似団体平均の5割に満たない状況である。この数値を上昇させるのが大きな課題と捉えている。
全体総括
経営の健全性・効率性については、経常収支比率は上昇傾向にあり概ね良好な状況であるが、今後の水需要の減少により収支状況は悪化するものと考えている。また、これまでの施設整備のために発行した多くの企業債残高を減少させていくことが中長期的な課題である。老朽化の状況については、現在は類似団体平均よりも老朽化度合は低い状況であるが、近年は漏水事故頻発箇所を重点的に更新する方針で管路の更新を進めているため、今後しばらくはこれらの数値は悪化するものと考えている。今後、人口減による水需要の減少は避けられない状況であり、将来を見据えた適切な規模となるよう管路・施設の更新を推し進めること、また漏水事故を減少させることで、施設維持管理費用の削減、施設利用率の向上、有収率の向上に努めていきたい。