経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は若干低下して、103.45%となり、全国平均値との差も昨年度比較1.17ポイント低下している。令和3年度は、他会計補助金の減少をはじめとした総収益の減少額が総費用の減少額を上回ったことが影響している。人口減少や節水器具の普及などにより収益の減少傾向が続いており経営状況は予断を許さないため引き続き健全な経営に努める。②累積欠損金比率について、令和3年度は63,165千円の純利益であり、累積欠損金も発生していない。③流動比率は146.10%となっており若干低下しているものの、短期的な支払能力(資金繰り)に支障はない。④企業債残高対給水収益比率は681.63%であり、昨年度より低下しているものの、類似団体と比較して依然高い水準にある。内部留保資金を一定の水準で維持し、企業債残高の適正管理をしながら計画的な投資を実施する必要がある。⑤料金回収率は97.20%と若干改善した。供給単価が昨年度とほぼ同額の211.54円だったが、給水原価が223.45円から217.63円と低下したことによる。この率が100%を割り込み、また全国平均を下回っている現状を考慮すると、将来的な料金改定は避けられない状況にある。⑥給水原価は217.63円であり、昨年度と比較して5.82円低下した。しかし依然として類似団体と比較して高い状況にある。経費削減に努めることは当然であるが、施設の統廃合等によりコストダウンを図り、給水原価の圧縮を行っていかなければならない。⑦⑧施設利用率は類似団体と比較して良い数字で適正な施設規模と言えるが、有収率は74.10%であり給水量が直接収益につながっていない状態である。漏水調査に基いた計画的な管路更新の実施による有収率向上が喫緊の課題である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は45.66%となっており、全国や類似団体平均と比較すると若干良い数値となっているが、昨年度と比較して数値が増えており資産の老朽化が進んでいることが指標からも読み取れる。②管路経年化率は11.19%であり、全国や類似団体平均と比較すると若干良い数値となっているが、このまま推移すると加速度的に増える状況にある。このため、管路評価基準及び更新計画により、更新重要度の評価が高い管路から順次更新事業を実施していく計画である。③管路更新率は0.38%であり、昨年度と比較して減少しており、全国や類似団体平均を下回っている。有形固定資産減価償却率や管路経年化率が将来的に増加する見込みにあることからも、更新率(投資額)の増加が課題である。施設の更新と管路更新の費用のバランスを取りながら、計画的な投資額の確保と事業推進が必要である。
全体総括
経常収支比率が改善し、103.45%と100%を超えているものの、料金回収率が97.20%で100%を下回っており原価割れの状況が続いている。この回収率の悪化は給水収益の減少と、大沢第二浄水場の供用開始による減価償却等の費用の増加が大きく影響しているが、今後も管路資産を中心として更新費用等が嵩み、資本費はさらに悪化していくと考えられる。このため、一定水準の内部留保資金の確保を図るためには、料金改定は避けられない状況にある。平成30年度において経営戦略の改訂を行ったところであるが中長期的な視点で将来を見極め持続可能な経営となるように注視していく必要がある。