1.資産・負債の状況
一般会計等においては、資産総額が前年度末から1,194百万円の減少(△1.4%)となった。金額の変動が大きいものは基金であり前年度末から565百万円の減少となっている。近年財政調整基金の繰入によって歳入を確保している状況にある。財政調整基金の繰入額はH27:781百万円→H28:684百万円→H29:838百万円となっており資産の減少の一因となっている。また、資産総額のうち有形固定資産の割合が88.3%となっているが、これらの資産は将来の維持管理・更新等の)支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約化・複合化を進めるなど公共施設等の適正管理に努めていきたい。また、全体会計における資産の合計は108,078百万円で、その内訳の大半は固定資産の98,900百万円である。固定資産のうち、事業用資産が36,700百万円、インフラ資産が56,500百万円で一般会計等の構成比率と比較するとインフラ資産の割合が高くなっている。これは下水道特別会計や水道事業などインフラ資産に特化した会計を含むための影響である。さらに連結会計における資産の合計は109,584百万円であるが、これは裾野市長泉町衛生施設組合や富士山南東消防組合等の資産を含むためである。
2.行政コストの状況
一般会計等においては、経常費用は18,126百万円となり、前年度から797百万円の減少となった。ただし、業務費用の方が移転費用よりも多く、最も金額が大きいのは減価償却費や維持補修費を含む物件費等(6,596百万円、前年度比+82百万円)であり、経常費用の36.4%を占めている。また、補助金等も2,461百万円と経常費用の13.6%を占めており、今後更なる見直しに努める。ただし、人件費に関しては、H29に一般職の給与体系を独自で見直し、給与水準を平均で2.7%引き下げている。そのため、人件費はH28:3,927百万円→H29:3,219百万円と前年から708百万円の減少となっている。また、全体会計の経常費用の内訳は補助金等が41.4%、次いで物件費等の28.5%が多くの割合を占める。全体会計では、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計等の特別な業務を主とする会計を含むことにより、一般会計等の構成比率と大きく異なってくる。しかし、全体会計の経年比較では大きな変化には至っていないと見受けられる。一方、連結会計の経常費用については、連結対象先の業務内容の影響もあり、補助金等が29.5%と大きな割合を占める。次いで、社会保障給付が26.7%となっているが、これは当年度は後期高齢者広域連合の科目で入替があったため、割合が高くなっている。
3.純資産変動の状況
一般会計等においては、税収等の財源(15,733百万円)が純行政コスト(16,857百万円)を下回っており、本年度差額は△1,124百万円となり、純資産残高は1,122百万円の減少となった。税収等の財源について経年で比較していくと、H27:17,125百万円→H28:16,383百万円→H29:15,733百万円と減少傾向にあり、合わせて市税の収入額を比較していくとH27:11,075百万円→H28:10,895百万円→H29:10,385百万円と同程度の減少傾向にある。税収等の財源と純行政コストを比較し、純行政コストが上回る場合、次世代へ「負担額」を先送りしたこととなるため、今後も行財政構造改革を推進し、純行政コストの根幹となる歳出構造を見直し、持続可能な行政運営に努めたい。全体会計でも税収等の財源(24,146百万円)が純行政コスト(24,610百万円)を下回っており、差額は△464百万円、連結会計においても、税収等の財源(28,173百万円)が純行政コスト(28,623百万円)を下回っており、差額は△451百万円となっている。一般会計等と同様に、全体会計・連結会計においても次世代へ「負担額」を先送りしている状況にある。
4.資金収支の状況
一般会計等においては、業務活動収支は943百万円、投資活動収支は△520百万円となっている。財務活動収支については、地方債の発行額と地方債償還支出の差額が、△360百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から62百万円増加し、669百万円となった。しかし、H29においては収入の一部を減収補てん債409百万円の発行で対応しており、依然地方債の発行と基金の取崩によって行政活動に必要な資金を確保している状況である。そのため、今後においても行財政構造改革を更に推進する必要がある。一方、基礎的財政収支は一般会計等では623百万円の黒字となっているため、今後も継続的な維持に努めたい。さらに、全体会計の基礎的財政収支も1,085百万円の黒字である。これは水道事業、下水道特別会計ともに黒字であることが要因となっており一般会計等と比較すると約462百万円の増額となる。また、連結会計においても1,404百万円の黒字となっている。こちらについては土地開発公社が黒字の要因となっており、全体会計からさらに約319百万円の増額となっている。全体会計・連結会計ともに今後も継続的な黒字になるよう努めたい。
1.資産の状況
住民一人当たりの資産額は、年々減少傾向にある。資産減少の内訳においては、有形固定資産で49%、残りは財政調整基金などの流動資産で、ほぼ同率で減少し資産の取崩が見受けられる状況である。特に財政調整基金については取崩額を抑制するため、R元年度から行財政構造改革に着手している。また、歳入額対資産比率については類似団体平均を少し上回る結果となった。前年度との比較においては歳入額対資産比率は0.24年増加することとなった。さらに有形固定資産減価償却率は年々上昇傾向にあり、当年度は減価償却費は約2,440百万円となった。償却資産全体を捉えた金額であるが、施設やインフラの老朽化は毎年進行するものとして認識し、施設等の管理の適正化に努めていきたい。
2.資産と負債の比率
純資産比率は当年度若干減少している。これは機材等のリースに係る経費を負債として新たに計上したことにより、負債割合が増えたものである。また、社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は近年横ばいで推移している。これは類似団体と比較しても同程度の値になっている。今後、東名高速道路の跨道橋撤去をはじめとするインフラ資産の維持・工事のため地方債の発行を見込んでいるが、エ事の増加に比例し地方債の発行も増加するため、今後の工事計画によっては数値の変動が見込まれる。経年の数値と大きな乖離が生じないよう施設計画の適正化及び実施時期の平準化に努めていきたい。
3.行政コストの状況
住民一人当たりの行政コストは年度によって増減している。平成27年度からの増加には純行政コストのマイナス要因となる経常収益(H27:1,529百万円→H29:1,278百万円)の減少が主に影響している。人件費等についてはH29に職員の給与体系見直しを実施しコストの抑制に努めている。ただし人口が減少傾向にあるため、今後もコストの見直しが課題である。一方、類似団体と比較すると低い数値であるが、今後乖離が見受けられるようなら、物件費等の行政コストを見直していきたい。
4.負債の状況
住民一人当たりの負債額は増加している。負債の中で地方債の額は前年比△385百万円と堅調に減少させているが、機材の入替に係るリース負債を新たに盛り込んだため、前年度より増加となっている。また、基礎的財政収支はH29は黒字(H28:△13→H29:93)に転じている。基礎的財政収支は当該年度の政策により増減するもので、大きな施設を建設する場合は、極端な増になってしまうものである。一方、財務活動収支に関しても借入額よりも償還額が多く、堅調な収支となっているため、今後も適正な財政運営に努めたい。
5.受益者負担の状況
受益者負担の割合は類似団体と比較しても高い数値となっている。分子である経常収益は前年度から594百万円減少しているが、これは富士山南東消防組合からの一時的な収益が影響している。近年経常収益が高い傾向(H27:1,529百万円、H28:1,872百万円、H29:1,278百万円)にあるが、平成31年3月に策定した「使用料の適正化に関する基本方針」に従い、受益者負担をより健全なものにしていくよう努める。