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令和4年度の財政力指数は、前年度と比べて0.01ポイント減少した。これは、新築住宅等の増加に伴う固定資産税の増額のほか、新型コロナウイルス感染症による経済への影響が回復傾向にあることによる所得の増に伴う市民税の増額により、基準財政収入額が増加した反面、国の第2号補正にて臨時経済対策費が創設されるなど基準財政需要額が増加したためであり、直近5年で最も低い。今後、市の経営資源を活用した歳入確保についてあらゆる可能性を検討するとともに、市が実施する事業の必要性や効果、経費積算の妥当性を見極め、一層の効率化、合理化、経費の最小化、年度間の平準化を図り、持続可能な財政基盤の確立に取り組む。
経常一般財源が微増のなか、それを上回る臨時財政対策債の減少があったことや、長期債の元利償還金や物価高騰の影響による光熱水費の増など、経常一般財源を充当する経費が増額したという収支双方で比率を押し上げる変動があったため、前年度から4.6ポイントの悪化となった。今後も、社会保障関係経費などをはじめとした義務的経費の増加が見込まれるなか、一般財源総額の大幅な増加が見込まれない状況にあるため、歳出のスリム化と歳入の確保を徹底し、財政構造の弾性力を確保できるよう努める。
人件費は、前年度に比べて微減となったものの、物件費が物価高騰などの理由により、人件費の減を上回る増となってしまい数値を悪化させる結果となった。また、本市では人口減少の歯止めが利かない現状があるため、DXの推進により行政サービスのコストパフォーマンスを向上させ、限られた人員や財源の徹底的な見直しによる歳出のスリム化により分子となる人件費及び物件費の縮小を図ると同時に、子どもを産み育て、地域を支える人材を育てる環境の整備を重点的に取り組むことで分母となる人口の減を緩やかにすることで数値の回復に努める。
国と同様、高年齢職員の昇給・昇格制度の見直しを行うことなどにより、給与水準の適正化に取り組んでいるものの、高年齢職員の占める割合が高い構造上、指数は高止まりすると考えられる。引き続き、人事院勧告を基本としつつ、国家公務員の給与水準を踏まえて、必要な見直しを行い、適切な給与管理に努める。
合併以降増加した職員数を削減するため、中津川市定員適正化計画を策定し定員管理に努めており、適正な人員管理に努める。今後も、新たな行政課題に適切に対応できるよう、部局の枠組みを超えた柔軟な組織改編を行い、民間委託の推進など行財政改革を積み重ね、最適な組織配置だけでなく、人材の活性化も図る。ただし、県内6番目という広い市域をカバーする必要があることやリニア開業後を見据えた社会基盤整備や移住定住の促進など、リニア開業までに投資的な施策を戦略的に展開することが必要なため、必要な業務量に対応できる職員数を確保することが重要であり高止まりすることもやむを得ない面がある。
公債費負担適正化計画に基づき新たな地方債の抑制をするなど、地方債償還額を長期的にコントロールしてきたため前年度とほぼ横ばいの6.7%となった。今後は大型事業が控えていることから、公債費負担が一時的に上昇する可能性があるものの、引き続き公債費負担適正化計画に基づく借金の抑制や病院経営の見直しなどの企業会計の自立化を図ることで引き続き公債費減少に向けた取り組みを進めていく。
令和2年度に皆減となり、令和4年度まで続いている。これは、公債費負担適正化計画に基づき、計画的に地方債残高を減らしたことや、分母となる標準財政規模の基礎となる普通交付税が再算定により伸びていることが要因である。今後は、大型事業の本格化により一時的に地方債残高が大幅に増加することが見込まれるため、計画的な減債基金への積立てを行い、控除する充当可能財源等を確保しておくことで、将来負担額が増加した際の数値悪化を軽減させるよう努める。
職員給や退職金がそれぞれ減となり人件費全体は減少(74.1億円→73.5億円)したが、臨時財政対策債の減少等の理由により経常収支比率全体として悪化していることから、歳出の減が数値の回復に直結しない結果となった。リニア開業までの間は必要な業務量に対応できる職員数を確保することが重要であるため、高止まりすることもやむを得ない面がある。
物価高騰の影響による光熱水費の増など社会的な要因もあり、類似団体内平均と同様に増加の傾向を辿った。新型コロナウイルス感染症の拡大時にイベント経費等の既定予算を見直すことができたため、平時への移行に合わせて過剰な予算化を控えることや行財政改革の取組みにより業務改善を図ることで経費の節減に努める。
経常一般財源を充当する事業について物価高騰の影響から全体的に微増しており、決算額としては約1.6億円(17.4億円→19.0億円)増加したこともあり、0.8ポイントの上昇となった。扶助費は、生活保護費など法令等の規定により支出が義務付けられており、縮減が容易ではない性格の経費である。また、社会保障関係経費については、今後も増加が見込まれていることから、その動向を注視するとともに、引き続き裁量の余地がある事業を中心に、給付の水準と範囲が適正であるかなどを検討したうえで、必要な見直しを行う。
前年度より0.3ポイント増の14.2%となったが、依然として類似団体内平均を上回っている状況が続いている。特別会計内の下水道事業に係る会計が、令和2年度から企業会計(下水道事業会計)に移行したことにより繰出金の減少が図られたものの、独立採算で運営ができるよう経営改善を行い、一層の繰出金等の低減に努める必要がある。また、有形固定資産減価償却率の上昇が続いている本市では、今後施設の老朽化に伴う維持補修費の増加が見込まれるため、施設の統廃合及び民間移譲を早急に進める。
社会保障関係事業に要する経費の増(54.5億円→57.9億円)もあり、補助費等に係る経常収支比率は前年度より0.5ポイント増加した。依然として類似団体内平均を下回っているが、高齢化の進展により社会保障関係事業を中心に増加していくことが見込まれるため、経常的に補助している事業も含めすべての補助対象事業を精査し、有効性の低い事業の見直しや削減、廃止を進める。
公債費全体として微増(38.3億円→39.0億円)したこともあり、前年度より0.7ポイント増加したため、類似団体内平均を上回った。近年の大型事業の集中により、今後はさらに増加する見込みである。そのため、引き続き償還年限や返済方式など発行方法を調整することで償還額の平準化や金利変動のリスクを回避しつつ、公債費の抑制に努めることで財政の健全性を維持していく。
臨時財政対策債の減少等の理由により経常収支比率全体が大幅に悪化した影響を大きく受けており、前年度と比べて3.9ポイントの増加となった。扶助費や扶助費的な補助費等は縮減が容易ではない面があるものの、徹底した事務事業の見直しや総人件費の抑制とともに、多様な財源確保などの取組みにより歳入を確保することで、持続可能な財政運営を目指す。
(増減理由)・基金全体の残高は財政調整基金の決算剰余金による積立額が取り崩しを上回ったため、令和3年度末よりも1,322百万円増の20,648百万円となっている(今後の方針)・将来の需要や必要性を見据え計画的な基金造成に努める。・財政調整基金については、財政の弾力性確保のために必要な一定水準の残高維持に努めることとしているが、今後リニア開業に向けその波及効果を最大限に活用するための大型事業が控えており、財政調整基金の残高は減少していく見込みである。・リニア中央新幹線まちづくり基金については、将来の財政負担を把握したうえで定期的な積み立てを行い、将来のまちづくりの骨格となる社会基盤整備を、計画に沿って前進させる。・公共施設整備運営基金については、毎年度300百万円の積み立てを行い、将来の公共施設の維持補修や更新に活用する。
(増減理由)・財政調整基金は一般財源不足を補うため、また病院事業会計に対して資金不足の解消のため198百万円を繰り出しており、その財源として財政調整基金を充てることとしたため、令和4年度は1,298百万円取り崩すこととなった。その結果、令和4年度末残高は前年度決算剰余金からの積み立て2,800万百円及び運用に伴う利子の積み立て4百万円に対して取り崩しが1,298百万円であったため、前年度比1,506百万円増の6,669百万円となった。(今後の方針)・財政調整基金については、財政の弾力性確保のために必要な一定水準の残高維持に努めることとしているが、今後リニア開業に向けその波及効果を最大限に活用するための大型事業が控えており、財政調整基金の残高は減少していく見込みである。
(増減理由)・増減なし。(今後の方針)・今後数年は多くの大型事業を実施予定である上、その後も公共施設の建て替えや大規模修繕等による起債予定が多数あるため、極力減債基金を積み、後年の負担を減らす。
(基金の使途)・地域振興基金・・・市民の連帯の強化及び地域振興を図るための財源に充てるため・リニア中央新幹線まちづくり基金・・・リニア中央新幹線を活用したまちづくりの資金に充てるため・公共施設整備運営基金・・・公共施設を整備するとともに、施設の健全な維持管理に要する資金に充てるため・職員退職手当基金・・・市職員の退職手当の支給に要する財源に充てるため・しあわせづくり基金・・・健康づくりの推進、福祉活動の促進、快適な生活環境の形成等の資金に充てるため(増減理由)・リニア中央新幹線まちづくり基金については、リニア駅周辺土地区画整理事業の造成工事が本格化するなど多額の財政負担が後年に見込まれることから令和4年度は運用利子も含め502百万円の積み立てを行い、240百万円の取り崩しも含め、令和4年度末残高は3,493百万円となった。・公共施設整備運営基金については、毎年度300百万円の積み立てを継続しており、218万円の取り崩しをしたため、令和4年度末残高は2,481百万円であった。・職員退職手当基金は団塊の世代の退職に備えて運用利子も含め42百万円の積み立てを行い、3百万円を取り崩したことにより、令和4年末残高は1,806百万円となった。(今後の方針)・将来の需要や必要性を見据え計画的な基金造成に努める。・リニア中央新幹線まちづくり基金については、将来の財政負担を把握したうえで定期的な積み立てを行い、将来のまちづくりの骨格となる社会基盤整備を、計画に沿って前進させる。・公共施設整備運営基金については財政計画に基づき、毎年度300百万円を積み立てる。
令和3年度の有形固定資産減価償却率は61.3%であり、類似団体平均値と比較して低い水準にあるものの、令和3年度では減価償却費112.5億円に対し、公共施設整備支出が48.9億円であることから、有形固定資産減価償却率は悪化の一途をたどると考えられる。そのため、公共施設の老朽化に伴う改修・更新への新たな対策も必要となる。また、令和元年度に改訂を行った市有財産(施設)運用管理マスタープランに基づき、施設の維持管理経費の削減や施設の民間移譲、統廃合も合わせて進める必要がある。
算定式の分母となる「公債費に充てられる経常一般財源等」は国の第1号補正により、普通交付税の再算定が行われるなど、類似団体全体としてポイント改善が見られた。また分子となる「将来負担額等」について公債費負担適正化計画に基づき減らしてきたため、依然として債務償還比率は類似団体内平均より低い結果となっている。しかし、しばらくはリニア開業に向け、大型事業が集中する期間となり、債務償還比率は悪化に転じる恐れがある。計画期間内の着実な事業実施に重心を置く中で、投資が必要な期間とその先を見据えた地方債発行額を適切にコントロールし、基金を計画的に積み立てる等、引き続き財政の健全化に努めていく。
前年度に引き続き将来負担比率は発生しておらず、類似団体平均と比較して低い水準にある。これは公債費負担適正化計画に基づき、返す以上に借りないを原則とした取り組みによるものである。しかし、今後もリニア開業に向けて大型事業が集中する期間が続くため、地方債の発行・管理を適切に行っていく必要がある。また、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にあり、市有財産(施設)運用管理マスタープラン等に基づき、市民目線による施設の維持管理経費の削減や施設の民間移譲、統廃合を進めて有形固定資産減価償却率の上昇を抑制していく必要がある。そして、両指標の組み合わせで見ると、本市は類似団体内平均値と比較し、右上に位置しており、将来的な公共施設及びインフラ施設の更新にあたって、将来の財政負担の余力は相対的に高いものと考えられる。
実質公債費比率は前年度より1.1ポイント減少しており、類似団体内平均値程度となった。実質公債費比率を減少させることができた要因としては、公債費負担適正化計画に基づき、返す以上に借りないを原則とした取り組みを行ったことが挙げられる。これにより、令和3年度の借金残高は579.4億円となり令和2年度末の残高599.1億円から19.7億円減少しているが、リニア開業に伴う大型事業が集中しており財政状況は大変厳しいことが予想されるため、地方債発行額を適切にコントロールし、公債費の状況を注視していく必要がある。また両指標の組み合わせで見ると、本市は類似団体内平均値と比較し、左上に位置しており、過去からの財政負担は大きいものの、将来の財政負担は相対的に小さくなっており、健全化の方向に着実に進んでいると考えられる。
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