経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率はH22からH26まで水道料金を継続して引き上げた結果、H27まで概ね数値が改善されました。H28では、H29年度に上水道事業へ経営統合するために打切決算を行ったことで3月分の料金収入は未収金の取扱いとなったため、対前年度比で9%程度下落しました。現状では類似団体平均値を上回っていますが、今後も人口減少に伴う構造的な料金収入の減少が見込まれるため、引き続き経営の効率性を高め、コスト削減に努めていく必要があります。④企業債残高対給水収益比率はH23の約793%からH27に約560%へと順調に減少していましたが、H28は上水統合のための打切決算の影響で給水収益の減少により、この比率は増加しました。今後も企業債借入は必要最低限に留め、健全性の向上に努めます。⑤料金回収率は人口減少の影響もあり、H28は減少しました。類似団体より健全性は上回っているものの、戦略的な経営が強く求められる状況になりました。⑥給水原価は類似団体と比較して3割ほど低く抑えられ、経営が効率的に行われていることを示しています。今後は施設更新等の影響で給水原価の上昇が予想されますが、経営の効率化により給水原価をできるだけ抑えるよう努めます。⑦施設利用率は類似団体と比較して高いものの、将来の人口減少に対応するために施設の統廃合・ダウンサイジングの検討を含めて効率性の向上を図ります。⑧有収率は類似団体と比較して低く、H28はH27と比較して大きく有収率が減少しました。早急に漏水調査を実施し、計画的な管路更新を行います。
老朽化の状況について
各簡易水道施設の老朽化は進んでおり、有収率が減少傾向にあることからも計画的な管路更新の必要性が示されています。③管路更新率は全管路延長に対する各年度の更新工事を行った延長割合を示していますが、類似団体と比較しても低い水準であり、更新工事を拡大していく必要があります。これらのことから経営の健全性を損なわないように、現在の経営状況、将来の収支見込み、施設老朽化状況の把握、更新の優先順位、施設統廃合やダウンサイジングの検討などを行い、無駄のない管路更新工事の実施に努めます。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の分析から、料金回収率を高め、水道料金収入により事業運営できる状態を目標に、引き続き、経営の健全性・効率性を向上させていく必要があります。特に64.4%まで落ち込んだ有収率は、給水原価の増加につながり経営を圧迫することから今後は計画的に管路更新を実施していく必要があります。「2.老朽化の状況」及び⑧有収率の分析から、今後、老朽化施設が増加するため、計画的な更新を実施するとともに、地震や気象災害に強い水道施設としていくことで経営基盤の強化を行います。H29年度に簡易水道事業は水道事業に統合され、地方公営企業法が適用されました。これにより収支状況がより明確になり、また、施設や管路等の資産状況の把握も可能になります。統合により業務の効率化が進むので、今後も引き続き経営の健全性・効率性を高め、持続可能な水道事業運営に努めていきます。