経営の健全性・効率性について
給水人口はゆるやかな伸びになっているものの、将来は減少が見込まれる。そのため、水需要が減少し、給水収益が減少することが見込まれる一方で、総費用のおよそ8割を削減が難しい固定費(減価償却費、支払利息、受水費)が占め、経営を圧迫している。①経常収支比率は平成27年度から上昇に転じていたが、宅地開発による給水戸数の増加と事業用水量の伸びが緩やかとなったことと、受水費用の増加により平成30年度末では5.57ポイント減少した。⑥給水原価は減少傾向にあったが、平成30年度は給水収益による増収はあったものの、経費の増加分が上回り、9.51円上昇した。⑤料金回収率は、一般会計より基準外繰出による料金補助金を受けており、給水に係る経費を料金で賄えていないため、類似団体平均値を下回っている。そのため、収支計画を策定、経営の健全化には料金改定はやむを得ないと判断し、平成31年4月に料金改定を実施した。④企業債残高対給水収益比率は企業債残高の減並びに給水収益の増により対前年度比22.79ポイント改善した。企業債残高は平成24年度をピークに減少しているが、給水収益の減少傾向にあり企業債残高対給水収益比率は依然高い値となっている。⑧有収率は、老朽管の更新工事や漏水調査を実施し不明水対策を行ったものの、0.48ポイント後退した。④、⑧とも類似団体平均値より高い値が続いているが、これは、補助金等に加え企業債借入により老朽管更新や施設整備を積極的に実施したことによる。
老朽化の状況について
老朽管更新については、平成12年度より石綿セメント管の更新事業に着手し、耐震性の高いダクタイル鋳鉄管及び配水用ポリエチレン管への布設替えを実施している。平成11年度末で162kmあった石綿セメント管の残存は平成30年度末で約18.5km、漏水が発生しやすい塩化ビニル管については、平成30年度末、残存約29.8kmで更新率は約51%となり、計画的に更新している。①有形固定資産減価償却率は計画的に更新を行っているため、類似団体平均値より低く抑えられている。また、②管路経年化率は類似団体平均値より高い状況である。③管路更新率は類似団体平均値を上回っていたが、浄配水場施設の改修等に事業費を多く配分したことにより、平成28年度より平均値を下回っている。
全体総括
給水人口は緩やかな伸びになっているものの、将来は減少が見込まれ、併せて節水機器の普及や生活スタイルの変化などにより水需要の減少傾向が続くと予想される。一方で、削減が難しい固定費が支出の多くを占め経営を圧迫している。また、水道水を安定供給するためには、計画的な管路の更新や施設の整備も必要である。これまでも、経営努力や人員削減等により様々な経費削減に努めてきたが、収支見込を試算したところ料金改定はやむを得ないと判断し、収支計画を策定、平成31年の4月に料金改定を実施した。