経営の健全性・効率性について
令和3年度決算では、給水収益は増加したものの、委託料や退職給付費の増加により経常費用が増加したため、経常収支比率や料金回収率が昨年よりわずかに悪化しました。流動比率は、前年数値より約11%改善したものの、依然として平均よりもかなり低い数値となっています。今後も流動負債の企業債償還元金が減少していく見込みのため、少しずつ改善していく見込みです。企業債残高対給水収益比率は、元金償還がピークを迎え減少傾向が続いています。しかし依然として類似団体平均に比べて比率が高く、今後は第8次整備事業に伴い投資額が増加するため注意が必要です。今後も国庫補助等有利な財源の確保に努め、企業債残高の適正な管理を行います。効率性の面では、平成29年度から漏水判定機による調査及び修繕を継続して行った結果、4年続けて有収率は改善したものの、類似団体平均と比較して依然として低い状況です。調査結果を基に計画的に漏水対策工事を進め、今後も継続して有収率の改善に努めます。
老朽化の状況について
管路更新率は3年続けて類似団体平均値を超えており、管路経年化比率も平均より低いことから、管路の更新は類似団体に比べできているものと考えられます。しかし有形固定資産減価償却率が類似団体平均を上回っていることから、管路以外の施設の更新を計画的に行う必要があります。平成29年度には簡易水道事業に地方公営企業法の適用を行い、水道事業は平成27年度、簡易水道事業については平成29年度にアセットマネジメント(タイプ3C)を策定したため、今後中長期的に計画的な資産更新が実施できるように努めます。また今後下水道関連の布設替え工事が少なくなるため、老朽管の更新について優先順位をつけて計画的に更新を進める予定です。
全体総括
令和3年度は、給水収益が前年度より増加したものの、費用も増加したことにより、純利益は前年度より減少しました。純利益の目標額は上回りましたが、水道事業・簡易水道事業のアセットメント(資産管理計画)では、施設の重要度を基に、耐用年数より後年度に平準化しても、現在より多くの更新費用が掛かることが見込まれています。今後は令和元年度に見直しを行った伊那市水道事業経営健全化計画(経営戦略)を基に、有収率の向上対策、適切な水運用に伴う第8次整備事業の推進など、具体的な対策に努めます。