南伊豆町
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2015年度
2014年度
2013年度
2012年度
指定団体等の指定状況
財政健全化等財源超過首都近畿中部過疎山振低開発指数表選定
人口の推移
産業構造
財政比較分析表(2019年度)
財政力
財政力指数の分析欄
当町は、近年人口減少が加速的に進んでいる(年間150人から200人のペースで減少)こと、高齢化率が43.9%(令和元年度現在で県内35市町中4番目)と高く、一方、生産年齢人口(15歳以上64歳以下)の割合が46.4%(同県内33番目)と低いため課税対象者数が少ないこと及び主要産業の観光業が、近年の景気低迷や観光客の伊豆離れの影響を受けていることなどにより、町税は年々減少し、結果、財政力指数も低値で推移している。今後は、徴収率強化に加え、交流人口の増加に繋がる政策(都市交流、未利用資源の魅力化等)を実施し、町民所得の向上に繋げたい。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
補助金ガイドラインを策定し、事業精査を行ったことによる補助金・団体負担金の見直しや、カーシェアリングの導入に伴う庁用車のリース料の削減など、行政改革の効果もあって、近年は87%台で安定している。ただし、数値としては、まだまだ高値であることから、今後は、公共下水道事業及び3漁業集落排水事業の法適化に合わせて経営改善を進め、一般会計からの繰出金額の抑制を図ったり、団体補助金の更なる見直しなどを行うこと等により、一層の経常経費の削減に努める。
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
人件費については、後の「定員管理の状況」欄でも記述したが、職員数の削減が進んでいないこと及び臨時職員を会計年度任用職員に移行したこと等により、数値が増加している。今後は、今年度策定される定員管理計画に基づき、職員数の適正化を図っていくとともに、こども園の1園化などによる施設の統合を進め、会計年度任用職員についても削減を図る。物件費については、清掃センター業務、給食業務、図書館業務等を外部委託としており、これが数値を高くしている。現状の内容に満足せず、委託項目、事業量など内容を随時見直し、経費の削減を図りたい。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
当町の数値が類似団体の平均値を上回っている要因としては、人材確保の観点から国の基準より高卒・短大卒の初任給を引き上げていること及び高齢層職員(55歳以上)について昇給抑制措置(国基準では昇給停止)としていることが挙げられる。高齢層職員の昇給制度については、今後定年延長が実施されることもあり、数値上昇の大きな要因となっていくであろうことから、制度の見直しを検討していく。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
人口は減少しているが、それに比例して業務量が減少したというわけではなく、加えて時間外勤務労働の是正等の観点から、労働環境の改善に努めているため、職員数の削減が難しく、数値が高くなってしまう。今後は、民間委託を含めた業務の見直し及び定員管理計画に基づいた適正な人員配置に努め、数値の抑制を図りたい。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
平成27年度以降に着手した大型事業の財源として借り入れた起債の償還が始まり、令和5年度には、公債費が5.5億円程度とピークを迎えることから、今後、数値が悪化することは避けられない。一層の行政改革に努め、償還額の確保が予算編成の足枷とならないよう、財政健全化に努めたい。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
平成27年度以降に着手した大型事業(町営温泉施設改修、光ファイバ網整備、健康福祉センター建設、石廊崎オーシャンパーク整備等)により、起債残高が大きく増加したこと及び事業の財源として、ふるさと応援基金などの各種基金を取り崩したことによる基金残高の減少により、類似団体平均値に比べて数値が高くなっている。今後は、大型事業が減少するため、元金償還額以上の借入をしないという考えを基本に、地方債残高の減少に努め、合わせて経費削減による不用額の積極的な積立を行い、数値の改善を図りたい。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)
人件費
人件費の分析欄
類似団体の平均値を下回ってはいるものの、その差は、年々縮まってきている。正規職員数の削減が進んでいないこと及び臨時職員を会計年度任用職員に移行したこと等により、数値が悪化しているためで、今後は、今年度策定される定員管理計画に基づき、職員数の適正化を図っていくとともに、こども園の1園化などによる施設の統合を進め、会計年度任用職員についても削減を行い、数値の改善を図っていく。
物件費
物件費の分析欄
臨時職員(賃金を物件費として仕分け)が会計年度任用職員(報酬として支給するため人件費として仕分け)に移行したため、数値が大幅に改善された。しかし、清掃センター業務、給食業務、図書館業務等を外部委託しているため、類似団体平均値と比べると、依然高い状況にある。これら経常経費の増加は、財政の硬直化に繋がるため、委託項目、事業量など内容を随時見直し、経費の削減を図りたい。
扶助費
扶助費の分析欄
町単費による扶助費については、多額の費用を要するものがほとんどないため、扶助費の割合にばらつきは見られず、ほぼ一定で推移している。とはいえ、当町は高齢化率が高く、今後も上昇すると見込まれることから、扶助費総額の増加が懸念される。現行の扶助費の内容、対象者について現状を分析し、効果、必要性について検討する時期に来ている。
その他
その他の分析欄
一般会計から公共下水道事業特別会計への繰出金(公債費等繰出)について、繰出金(建設費繰出)と同様、臨時的経費として経年処理していたが、公債費等繰出については、経常的な経費であると考えられることから、今回より変更をした。結果、数値が大幅に悪化した。公債費の償還は、本来下水道使用料で賄われるべきものであることから、今後は、より一層の加入者促進や使用料金の改定等を行い、経営改善に努めていきたい。
補助費等
補助費等の分析欄
当町では、病院、消防、し尿処理、斎場事業を一部事務組合で行っており、その負担金が多額であるため、類似団体の平均値に比べ数値が高くなっている。現在、ごみ処理事業についても、広域化の可能性について近隣市町と検討しているため、結果次第では更なる数値上昇もありえる。今後は、町単独の補助金・負担金の見直しを継続しつつ、組合負担金についても経費の節減に繋がるよう、組合会議等の場で折に触れ積極的な意見出しを行っていきたい。
公債費
公債費の分析欄
平成4年度に借り入れた義務教育施設整備事業債(南伊豆東中学校用地造成事業:利率4.40%)他10件の償還が終了したため、前年度に比べ数値が改善した。しかし、平成27年度以降に着手した大型事業の財源として借り入れた起債の償還が始まり、令和5年度には、公債費が5.5億円程度とピークを迎えることから、今後、数値が悪化することは避けられない。発行額<償還額となるよう、事業の計画的な執行に努める。
公債費以外
公債費以外の分析欄
主要な経常一般財源である臨時財政対策債が昨年度に比べ42百万円減少したため、数値が悪化した。人口減少等により、今後は地方交付税の減額が予想されるため、経常一般財源の確保は更に厳しくなると思われる。ふるさと寄附金を始めとする自主財源の確保に努めるとともに、更なる経常経費の抑制を図りたい。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
目的別歳出の分析欄
住民一人当たりのコスト(目的別)では、衛生費を除いて類似団体内平均値を下回っている。衛生費は、一部事務組合下田メディカルセンターの保有資産である介護老人保健施設なぎさ園の空調設備等が経年劣化により損傷し、交換が必要となったため、構成市町の負担割合に応じて改修負担金44,276千円を支出したことにより増となった。総務費は、町内の情報通信格差を是正し、町全体としての情報通信技術の多様化・高度化に対応するため、平成28年度において整備を実施した南伊豆局(62局)以外の蛇石局(64局)、南崎局(65局)及び妻良局(67局)の光ファイバ網を整備する事業者に対しての補助事業248,200千円が終了したことにより、大幅な数値の減となった。土木費については、橋梁定期点検により診断結果Ⅲ(早期に措置を講ずべき状態)と判断された橋梁について、平成29年度から長寿命化修繕工事(橋脚耐震補強工、橋面防水工、伸縮装置取替等)を実施しているため平成30から数値が上昇している。今回、前年度に比べて数値が更に上昇した理由は、町内を流れる二級河川青野川を渡河する橋梁のうち、主要な4橋(橋長が長い、2車線の橋梁、交通量が多い等)について施工したことによるものである。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
性質別歳出の分析欄
住民一人当たりのコスト(性質別)では、補助費等、投資及び出資金を除いては、類似団体内平均値を下回っている。補助費等については、病院、消防、し尿処理、斎場事業を一部事務組合で行っており、その負担金が多額であることが数値を押し上げている原因であり、現在近隣市町と協議中であるごみ処理事業について、一部事務組合方式での運営となれば、更なる数値上昇が見込まれる。人口減少が進み、かつ、高齢化が進行する当町では、町税収入の減少などにより財政運営が厳しいことから、施設を町として所有せず、事業を広域で行うことは自然の理であると考えることから、広域化による数値上昇は致し方ないと考えているが、経常経費の増加は財政の硬直化を招くことから、これ以外の補助費(特に各種団体への補助金・負担金)について、対象者、補助額、補助要件など内容の見直しや自立化への指導を行い、経費の削減に努める。また、普通建設事業費(うち新規整備)については、前年度より数値が大幅に減少し、類似団体内平均値を大きく下回っている。これは、石廊崎オーシヤンパーク内の休憩棟等整備事業が終了したためである。橋梁に代表されるインフラ施設の長寿命化が求められる中、自主財源が乏しく、事業着手の財源を国・県補助金や過疎対策事業債に依存している当町において、新規整備に係る事業量を増やすことは、なかなか難しい状況にある。
実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)
分析欄令和元年度当初予算編成において、財源不足により、財政調整基金繰入金を235,000千円見込んだ。決算の際、ある程度の不用額は発生するが、大半が繰入金の穴埋め(財政調整基金の取崩しをしないこと)に充てられるため、繰越額が確保できず、実質収支比率は3.40%まで低下した。この傾向は、平成30から起きており、今後も変わらないと見込まれることから、低値で推移していくと考えている。
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連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)
分析欄前年同様、全ての会計において黒字となった。しかし、公共下水道事業特別会計及び子浦漁業集落排水事業特別会計においては、一般会計からの繰入金によって黒字となっているのが現状である。中でも、公共下水道事業は、平成28に工事が概成したものの、接続率はほとんど伸びていない。定年退職後に子どもがUターンするケースが少ないため、高齢者のみの世帯が増え、新たな設備投資(下水道接続)に踏み切れないこと、既存の合併浄化槽に不具合がないことが主な要因で、近年では、既接続者の死亡・転出による収入の減少も相まって、経営状況はかなり厳しい。令和5年度からの公営企業法適化を受け、現在、固定資産台帳の整備に向けて資産の量、劣化具合等を調査しているが、この機会に、施設のダウンサイジングの可能性や料金の見直し、接続を促進する補助制度等について前向きな検討をし、独立経営の足掛かりを築いていきたい。
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実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄組合債に対する負担金等、公営企業債に対する繰入金については、ここ数年大きく変わっていないが、一般会計債の元金償還金は、年々減少している。これは、平成初期に借り入れた高利の起債の償還が終了したこと及び近年借り入れた起債が低利であることによる。また、近年は、過疎対策事業債や緊急防災・減災事業債、臨時財政対策債など交付税措置率の高い起債に絞って借り入れを行っているため、算入公債費等については、高い水準を維持している。今後も、高い数値を保てるよう事業内容を精査し、起債制度の動向を注視していく。
分析欄:減債基金利用していない。
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将来負担比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄近年の大型事業の実施により、一般会計債の残高は上昇を続けており、結果、将来負担額は、前年度に比べ177百万円増加した。一方、充当可能財源等であるが、大型事業の実施にあたり特定目的基金の取崩しを行ったため、充当可能基金残高は減少したが、交付税措置率の高い起債に絞って借り入れを行っているため、基準財政需要額算入見込額は増加となり、結果、全体としては15百万円の微減となった。上記より、分子の額は193百万円の増加となり、将来負担比率も悪化することとなった。今後、同報無線のデジタル化や子育て支援センター棟の建設、臨時財政対策債の発行増加に伴い、一般会計債残高の増加は避けられないことから、ふるさと寄附金の増加等による自主財源の確保や歳出の抑制に努め、基金残高の増加に努めたい。
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基金残高に係る経年分析(2019年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)基金全体の残高は、前年度に比べ77百万円減少している。財政調整基金は、基金運用益12百万円を積み立てたため微増となっていることから、特定目的基金の減少が全体の減少の原因である。その特定目的基金の中で、減額が大きいのは、ふるさと応援基金と公共施設整備基金である。ふるさと応援基金については、光ファイバ網整備事業や一部事務組合下田メディカルセンターの保有資産である介護老人保健施設「なぎさ園」の改修負担金等、大型事業の財源として71百万円を取り崩した。また、公共施設整備基金については、町営住宅の長寿命化対策(バルコニー手摺修繕工事、浄化槽改修工事、サッシュ取替)の財源として16百万円を取り崩した。(今後の方針)ふるさと応援基金は、その年度のふるさと寄附金総額から返礼品代や広告料等の必要経費を差し引いた金額を自動的に積み立てるため、他の基金とは性質が異なる。よって、余剰金を基金に積み立てる際の町の方針であるが、財政調整基金、公共施設整備基金、庁舎建設基金への積立を優先とし、適正な基金の管理と使途の説明に努め、単なる肥大化とならないよう注視していく。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)令和元年度は、基金運用益のみの積立となったため、12百万円の微増となった。(今後の方針)当町の財政力は0.32で、類似団体内平均値に比べるとかなり低い。また、依存財源の割合が7割弱と高く、中でも地方交付税が歳入決算額の40%程度を占めている。当町の国勢調査人口は、調査実施ごとに700人から1,000人程度減少しており、またコロナ禍による国税の減収などを踏まえると、今後、普通交付税交付額の減少が見込まれることから、令和5年度末残高13億円を目標に積増しを行い、多様な財政需要に対応していきたい。
減債基金
減債基金
(増減理由)なし。(今後の方針)ここ数十年、基金残高は3千円であり、増減していない。今後も積立の予定はない。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)ふるさと応援基金は、魅力あるまちづくり事業の財源として積み立てており、令和元年度は、光ファイバ網整備事業や一部事務組合下田メディカルセンターの保有資産である介護老人保健施設「なぎさ園」の改修負担金等に充当した。公共施設整備基金は、公共施設の機能保全を図り、施設の長寿命化に資するための整備及び改修の財源として積み立てており、令和元年度は、町営住宅の長寿命化対策(バルコニー手摺修繕工事、浄化槽改修工事、サッシュ取替)の財源として活用した。その他、スポーツ振興基金は、各種スポーツの振興を、庁舎建設基金は、庁舎建設時の財源不足を補うため、交通安全対策推進基金は、交通安全対策の推進に関する事業に充当することを目的としている。(増減理由)左に掲載した基金のうち大幅に減額となったのは、ふるさと応援基金と公共施設整備基金である。その理由は、前者は、光ファイバ網整備事業や一部事務組合下田メディカルセンターの保有資産である介護老人保健施設「なぎさ園」の改修負担金等、大型事業の財源として71百万円を取り崩したため、後者については、町営住宅の長寿命化対策(バルコニー手摺修繕工事、浄化槽改修工事、サッシュ取替)の財源として16百万円を取り崩したためである。(今後の方針)当町の町道橋は、大小合わせて244橋あり、類似団体の中でも多いのではと推測する。笹子トンネルの崩落事故を受けて義務化された橋梁定期点検を実施した結果、その多くで経年劣化による変状が進行しており、Ⅲ(早期に措置を講ずべき状態)と判定された。これを受け、町では国費(社会資本整備総合交付金)や過疎対策事業債を活用して長寿命化を図るべく更新事業を実施しているが、その更新には多くの年月を要すること、財源として見込んでいる過疎対策事業債を要望額どおり確保することが難しいことなど課題が多い。そのような状況に対応し、施設の計画的な更新を進めるためには、安定した財源の確保が重要であることから、公共施設整備基金への積立を最優先とし、その他の特定目的基金については、需要を注視しながら適切な管理・運営に努めていく。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値に比べ高く、上昇傾向にあるが、道路の数値が当数値を押し上げる要因となっている。建物について、人口減少や少子化の中、余剰施設の再編や施設規模の縮小が求められているが、令和4年度に認定こども園の1園化(2園から1園)、令和8年度又は令和9年度に中学校の1校化(2校から1校)を予定している。また、一般廃棄物処理施設の1市3町による広域化が令和9年度を目標に行われる。以上の事業を行うことにより、一時的に投資活動支出は増加するものの、当数値は低下すると考えられる。
(参考)債務償還比率
債務償還比率の分析欄
新規地方債を601百万円発行したことにより地方債残高が255百万円増加した。これにより、将来負担額が大幅に上昇し、債務償還比率も上昇することとなった。類似団体内平均値に比べ数値が高いのは、投資活動支出に対し地方債を充当しているからである。令和2年度以降も、認定こども園の改修や防災デジタル無線整備などの大規模事業が続くため、地方債残高は増加することが見込まれ、当比率も上昇すると考えられる。
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
類似団体内平均値と比べると、有形固定資産減価償却率も将来負担比率も高い数値となっているが、これは、資産の更新が早く到来するのに対し地方債等の負債が多額であることを示している。当町においては、令和2年度以降も認定こども園の改修や防災デジタル無線整備などの大規模事業が続くため地方債残高が増加すること、さらに、ふるさと寄附の増額が見込まれないことにより、将来負担比率の悪化が想定される。防災デジタル無線整備が令和4年度に完了するため、令和5年度から中学校の統廃合までの数年で、将来負担比率の大きな要因である地方債残高の抑制は必須である。「有形固定資産減価償却率の分析」で記載したとおり、今後10年以内に施設の統廃合は進むこと、道路の有形固定資産減価償却率も適正値に近づくことにより、有形固定資産減価償却率は低下傾向になると想定できるため、この時点における将来負担比率をどこまで抑制できるかが大きな課題である。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
実質公債費比率の3カ年平均比率は7.7%で、昨年度と同値だったが、単年度数値は7.4%で、前年度より0.6%改善した。これは、一般会計において、平成4年度借入の義務教育施設整備事業債他10件の償還が終了したこと、一部事務組合債残高が償還進行により減少したことにより、類似団体の数値を下回っている。しかし、将来負担比率は39.8%で、前年度に比べ7.7%上昇した。これは、健康福祉センター建設事業や石廊崎オーシャンパーク整備事業など、近年の大規模事業の実施に伴う地方債現在高の増加及び充当可能財源である基金残高の減少等が主な要因で、類似団体内平均値に比べ大幅に高い数値となっている。今後、同報行政無線のデジタル化事業やごみ処理施設の広域化での建設など、またまだ大規模事業の実施が予定されており、公債費及び地方債現在高の増加による数値の悪化が見込まれる。中期的な財政運営の指針となる財政計画を策定し、職員がその情報を共有したうえで、行政コストによる分析などを通じて更なる経常経費の節減を図ることが重要だと考える。
施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)
施設情報の分析欄
道路について、有形固定資産減価償却率は高い数値で推移しているが、平成29年度から低下が続いている。これは、固定資産台帳への登録時点において、道路資産の減価償却累計額を高く設定せざるをえなかったため、道路の資産価値が低くなったことに起因するが、平成30年度以降は、順次適正な資産登録を行っているため、徐々に適正値に近づいていくと想定できる。公営住宅について、長寿命化計画に基づく修繕を行ったため、前年度に比べ有形固定資産減価償却率が低下した。類似団体内平均値と比べ、有形固定資産減価償却率は高く、一人当たり面積は低い数値となっているが、町の公営住宅施策は、現在の住宅の現状維持であり、長寿命化計画に伴う予防保全を行うのみである。認定こども園について、類似団体内平均値と比べ、有形固定資産減価償却率は低く、一人当たり面積は突出して高い数値となっている。これに対し、令和4年度に2園から1園に再編されるため、保育に対する過大なインフラ資産の供給は解消される見通しである。学校施設について、類似団体内平均値とほぼ同じような数値で推移しているが、令和2年3月31日における高齢化率は46.4%であり、児童、生徒数は下降を続けているため、建物の規模縮小が求められている。これに対し、令和8年度又は令和9年度に中学校の1校化(2校から1校)が予定されている。
施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)
施設情報の分析欄
一般廃棄物処理施設について、平成2年施設竣工からの経年変化により有形固定資産減価償却率は高く、一人当たり有形固定資産(償却資産)額は突出して高い数値となっている。さらに、施設の老朽化は著しく、施設の更新は喫緊の課題となっている。これに対し、近隣1市3町(下田市・西伊豆町・松崎町・南伊豆町)にて広域の施設を、令和9年度竣工予定で建設することが決定したため、令和9年度以降は有形固定資産減価償却率と一人当たり有形固定資産(償却資産)額共に数値は大きく改善されると想定できる。保健センター・庁舎について、保健センターは平成30年4月竣工、庁舎は平成23年12月竣工と、供用開始から日が浅いため、有形固定資産減価償却率は低い数値である。庁舎は、次の更新に備え基金への積立を行っている。消防施設について、有形固定資産減価償却率が近年上昇しているが、新しい施設の建設がないため、経年変化によるものである。今後の方針は、現状維持である。
財務書類に関する情報①(2018年度)
1.資産・負債の状況
一般会計等において、資産総額が前年度に比べ195百万円減少している。この主な理由は、石廊崎オーシャンパーク開発に伴い固定資産(建物)が194百万円増加した一方で、流動資産が341百万円減少したためである。減少した流動資産の内訳は、現金預金が168百万円減少したこと、一般会計等への補てんとして財政調整基金の取崩しに219百万円要したことである。一方、負債総額は微減となっているが、職員数の算定人数の減少により退職手当引当金が96百万円減少している一方で、公共整備支出に伴う地方債の新規発行に113百万円要したためである。現状では、近年の大型事業により、地方債残高が令和2年度(5,391百万円)、1年以内償還予定地方債が令和5年度(561百万円)と負債が大幅に増加する見込みである。今後は、地方債の借入額が償還額を超えないような予算編成に努め、個別施設計画に則った公共施設整備を行い、資産と負債バランスを適正に保つ必要がある。連結財務書類において、前年に比べ資産(-354百万円)・負債(-265百万円)共に大きく減少しているが、一部事務組合下田メディカルセンター会計にて比例連結割合が36.30%(H29)から29.75%(H30)に変更したことにより、前年度に比べ資産(-343百万円)・負債(-160百万円)共に大きく減少しているためである。
2.行政コストの状況
一般会計等において、純経常行政コストが前年度に比べ169百万円減少している。この主な理由は、前年度に比べ、物件費にてふるさと寄附金の記念品としての支出が55百万円減少したこと、経常収益のその他にて退職手当引当金の算定人数が前年度に比べ6名少なくなったため当該引当金を96百万円取崩したことによる。純行政コストにおいて、資産除売却損が前年度に比べ171百万円減少しているが、平成29年度に石廊崎オーシャンパーク開発に伴う旧ジャングルパーク施設の解体に179百万円要したためである。今後、人件費については、定員管理計画を策定後、10年で6名の削減を行う予定である。物件費等と移転費用についても引き続きコスト削減に努め、経常費用の抑制に努める。全体財務書類において、純経常行政コストが前年度に比べ362百万円減少しているが、国保特会にて都道府県単位化が開始され収入構造が変更されたため、補助金等支出が前年度に比べ229百万円減少したことによる。
3.純資産変動の状況
一般会計等において、純行政コストが(-4,250百万円)が財源(4,055百万円)を下回っており、本年度差額が195百万円の赤字となった。純行政コストが減少しているものの、税収等の財源にてふるさと寄附金が前年度と比べ311百万円減少となっていることが大きな要因である。ふるさと寄附金については、平成29年度の収入(483百万円)を突出した値と捉え、適正値で予算編成すべきと考える。また、人口減少と高齢化の進行に加え観光産業の低迷が長引き税収増が難しい状況であるため、純行政コストの業務費用の抑制に努める。全体財務書類において、本年度差額が前年度に比べ88百万円減少しているが、国保特会にて都道府県単位化が開始され収入構造が変更されたため、補助金等支出が前年度に比べ242百万円減少したためである。連結財務書類において、本年度純資産変動額が前年度に比べ224百万円減少しているが、一部事務組合下田メディカルセンター会計にて比例連結割合が36.30%(H29)から29.75%(H30)に変更されたため、比例連結割合変更に伴う差額が-187百万円になったことによる。
4.資金収支の状況
一般会計等において、業務活動収支が、前年度と比べ228百万円減少している。この主な理由は、前年度に比べ、業務収入にてふるさと寄附金が311百万円減少したこと、業務支出にて物件費等支出が204百万円減少したことによる。物件費等支出の主な内訳は、平成29年度の「石廊崎オーシャンパーク開発に伴う旧ジャングルパーク施設の解体(179百万円)」が完了したことによる減少である。投資活動収支は、前年度に比べ208百万円増加している。この主な理由は、投資活支出の公共施設等整備費支出おいて、平成29年度に「健康福祉センター整備」(386百万円)が完了したことに伴い大きく減少している一方で、投資活動収入の国県等補助金収入にて前年度に比べ83百万円増加したこと、税収等の不足分を補うため財政調整基金を取崩(225百万円)したことにより、前年度に比べ165百万円増加したためである。財務活動収支は、前年度に比べ158百万円減少しているが、公共施設等整備費支出にかかる過疎対策事業債の減少(前年度比-186百万円)による。今後は、個別施設計画に基づいた公共施設等整備を行い、地方債の新規発行額を抑制し、業務費用支出を縮減することに努める。全体財務において、業務活動収支が383百万円減少しているが、国保特会の都道府県単位化が開始され収入構造が変更されたため、当該収支が前年度に比べ555百万円減少したことによる。
財務書類に関する情報②(2018年度)
1.資産の状況
住民一人当たり資産額について、類似団体平均値を大きく下回っているが、道路の有形固定資産減価償却率が93.1%など保有する資産価値が低くなっていることと、公民館施設や消防団詰所等の施設の一部のみを町で所有しているため、トータルの保有資産が少ないことによる。資産合計について、大規模事業は令和2年度をピークに減少に転じる見込みであるが、橋りょうの長寿命化補修や行政防災無線のデジタル化などにより、この程度の数値を維持する見込みである。歳入額対資産比率について、平成29年度の健康福祉センター建設(386百万円)等により、平成30年度は数値が上昇した。有形固定資産減価償却率について、道路の有形固定資産減価償却率は93.1%と高い水準にあるものの、近年、庁舎や健康福祉センターなどの公共施設を整備しているため、類似団体平均値に対し少し高い数値を維持している。事業用資産の約50%を占める学校施設は、有形固定資産減価償却率が60.4%となっているが、令和8年度に中学校の統合(2校から1校へ)が計画され近い将来施設更新が行われる。
2.資産と負債の比率
現時点での公共施設整備の計画において、地方債残高は増加傾向にあり、令和2年度をピークに減少に転じる見込みである。したがって、令和2年度までは純資産が減少することにより純資産比率は減少する見込みである。将来世代負担比率について、類似団体平均値と同程度となっており、公共施設整備に伴い地方債の新規発行額が増加するため、令和2年度までは増加する見込みである。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストについて、類似団体平均値と比較しても低く、人口が減少している中で前年度比2.8万円減少している。今後は、人口減少と高齢化が更に進行することにより、経常経費に占める社会保障給付費の割合や、介護保険特別会計・後期高齢者医療保険会計への繰出金等が増加することが見込まれる。
4.負債の状況
住民一人当たり負債額について、類似団体平均値と比較しては低いが、前年度比1.7万円増加している。今後の見通しとして、前述したとおり大規模事業が令和2年度まで続くことに伴い、地方債残高が令和2年度(5,391百万円)、1年以内償還予定地方債が令和5年度(561百万円)と負債が大幅に増加するため、当数値も上昇すると予測できる。基礎的財政収支について、業務活動収支におけるふるさと寄附金にて前年度に比べ311百万円減少したことにより黒字が234百万円減少し、投資活動収支における国県等補助金収入が前年度に比べ83百万円増加していること、財政調整基金を225百万円取崩したことにより、赤字が209百万円改善した。類似団体平均値と比較すると、-313.4百万円の差額があるが、公共施設等整備費支出に対して財務活動収支の地方債発行収入を充当しているため、負債額の合計(地方債残高など)を注視しながら、当支出の抑制に努める。
5.受益者負担の状況
経常収益のその他にて、前年度から88百万円増加している。これは、平成29年度から平成30年度に退職手当引当金の算定人数が6名少なくなったため、当該引当金を96百万円取崩したためであるが、例年に比べれば異常値である。今後は、施設の使用料を改善する必要があるため、公共料金審議会を早期に開催し、受益者負担の公平性に努める。
類似団体【Ⅱ-2】
江差町
洞爺湖町
弟子屈町
宮古市
北上市
気仙沼市
大郷町
大館市
小坂町
五城目町
八郎潟町
米沢市
白河市
南相馬市
鹿嶋市
鹿沼市
館林市
渋川市
藤岡市
安中市
みどり市
長野原町
草津町
行田市
秩父市
東松山市
羽生市
幸手市
横瀬町
長瀞町
君津市
袖ケ浦市
睦沢町
長柄町
長南町
大多喜町
御宿町
鋸南町
羽村市
奥多摩町
大島町
八丈町
綾瀬市
真鶴町
三条市
柏崎市
新発田市
燕市
五泉市
湯沢町
南砺市
加賀市
穴水町
鯖江市
越前市
坂井市
美浜町
おおい町
山中湖村
岡谷市
諏訪市
茅野市
塩尻市
千曲市
池田町
白馬村
関市
中津川市
羽島市
恵那市
美濃加茂市
土岐市
可児市
瑞穂市
島田市
袋井市
裾野市
湖西市
河津町
南伊豆町
松崎町
西伊豆町
津島市
碧南市
蒲郡市
犬山市
常滑市
江南市
大府市
知多市
知立市
豊明市
清須市
北名古屋市
みよし市
あま市
名張市
亀山市
伊賀市
大台町
近江八幡市
守山市
栗東市
甲賀市
湖南市
高島市
柏原市
田尻町
千早赤阪村
三木市
高砂市
丹波市
たつの市
安堵町
川西町
三宅町
高取町
明日香村
吉野町
下市町
海南市
美浜町
日高町
三朝町
津和野町
玉野市
笠岡市
奈義町
三原市
安芸太田町
下松市
光市
山陽小野田市
美波町
つるぎ町
坂出市
さぬき市
琴平町
四国中央市
越知町
日高村
直方市
行橋市
久山町
小竹町
添田町
糸田町
大任町
伊万里市
上峰町
大町町
江北町
小国町
嘉島町
苓北町
日向市
薩摩川内市
瀬戸内町
龍郷町
宜野座村