経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、単年度の収支が黒字であることを示す100%以上を維持している。③流動比率は、類似団体平均値を下回ってはいるものの100%を上回っており、短期的債務の支払能力を有しているといえる。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均を下回っており、企業債の返済が順調に進んでおり、残高が少ないことを示している。当市では、ここ10年建設改良費の財源に企業債を充てていなかったが、新病院建設に伴う工事増により建設改良費が膨らむ見込みであり、令和4年度以降は企業債の借入をする予定である。⑤料金回収率は、100%以上を維持しており、公費負担に頼らず給水に係る費用を給水収益で賄えているといえる。⑥給水原価は、類似団体と比較して高い値となっている。これは、受水団体であることと、市域の7割が丘陵地及び水道普及率が100%近くであるため、多くの給水施設を抱えており、維持管理費が多額となっていることとが要因だと考えられる。⑦施設利用率は、類似団体と比較して低い値となっている。今後の更新計画等で、施設規模の見直しを検討する必要があると考えられる。⑧有収率は、類似団体と比較して低い値となっており、平成29年度より減少傾向にある。今年度は、新たにAIを活用した衛星画像解析による漏水調査を実施した。市全域の効率的な調査が可能となり、5年かけていた調査を約4カ月に短縮することができ、結果、有収率も下げ止まり傾向となった。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体及び全国平均と比較して高い値となっており、老朽化が進んでいる状況である。②管路経年化率は、類似団体及び全国平均と比較して低い値となっており、法定耐用年数を経過した管路は比較的少ないといえる。有形固定資産減価償却率は、全国平均等より高いにも関わらず、管路経年化比率が低い値となっている。これは、管路の更新は順調に進んでいるが、その他の配水施設について更新が進んでいない可能性があるといえる。今後の更新計画の見直しの中で精査していく必要があると考えられる。③管路更新率は、類似団体と比較して高い値となっている。引き続き優先順位の高い重要給水施設への配水管から順次更新していく。
全体総括
当市の水道事業は、経常収支比率及び料金回収率ともに100%以上を維持している。公費負担に頼らず給水収益にて給水に係る費用を賄えており、良好な経営状態を保っているといえる。給水収益は、給水人口の減少により下がっていく見込みだが、大型商業施設の開業が控えておりほぼ横ばいか微増の見込みである。しかしながら、費用については物価高騰により増大が見込まれる。また、今後、新病院建設に伴い建設改良費の増え、企業債を財源として活用するため、企業債の残高が増加する予定である。来年度(令和4年度)は、経営戦略及び水道ビジョンの中間見直しの年度である。物価高騰という経済情勢の変化及び新病院建設に伴うインフラ整備の増といった経営環境の変化を反映させて、計画的な施設更新及び持続可能な運営体制の確保に努めていく。