経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:令和2年7月請求分から料金改定を実施し、本年度は1年を通じて改定後の料金が反映されたこと等により、経常収益は増加となりました。しかし、減価償却費や資産減耗費等の増加により経常費用が増加し、全国・類似団体平均を上回っているものの、前年度比▲5.12ポイントとなっています。今後、人口減少に伴い有収水量は減少し続け、施設老朽化に伴う維持管理費用の増加が予想されるため、更なる経営健全化を図る必要があります。②累積欠損金は発生していません。③流動比率:料金改定による給水収益の増加により現金預金は増加しましたが、未収金の増加等により前年度比▲40.28ポイントの205.88%となり、全国・類似団体の平均値を下回っております。④企業債残高対給水収益比率:令和3年度は、給水収益の増加と企業債の償還が進んだことで前年度比▲142.66ポイントとなりました。しかし、依然として全国・類似団体平均を大きく上回っており、今後、老朽管した施設更新等に際して、企業債の借入を抑制していく必要があります。⑤料金回収率:前年度、新型コロナウイルス感染症対策の一環として半年間基本料金を全額免除したこと、また料金改定分が、1年分反映されたことにより、15.94ポイントの増加となっています。⑥給水原価:減価償却費や資産減耗費等、経常費用の増加、有収水量の減少により前年度比7.05ポイントの増加となっています。⑦施設利用率:合併後、旧5町の施設を引き継いだため多くの施設を有しており、全国・類似団体平均を下回っています。前年度比▲0.67ポイントとなっており、施設更新の際には、統廃合や合理化の検討が必要です。⑧有収率:全国・類似団体平均と比較して低くなっていますが、毎年度漏水調査を行い継続的に修繕工事を行っています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率平成30年度に比較的新しい施設が多い簡易水道事業を統合したことで、全国平均を下回るものの、令和3年度は前年度比1.26ポイントの増加となっており、依然として法定耐用年数を迎える管路及び施設が数多くあるため、計画的な更新が必要です。②管路経年化率当市は、管路の更新が耐用年数にあわせて行えていない状況にあり、全国・類似団体平均を上回る結果となっています。今後、増加傾向となる見込みであるため、計画的な更新が必要です。③管路更新率漏水による影響が大きい老朽管を優先的に、漏水修繕工事や配管替工事等により更新を行っていますが、全国・類似団体平均と比較すると低い水準となっています。平成30年度から、国の交付金等を活用し基幹管路更新事業を実施していますが、限られた財源の中で計画的な更新が必要です。
全体総括
令和3年度決算における当市水道事業の経営状況ですが、令和2年7月請求分から料金改定を行い、当年度は1年を通じて改定後の料金が反映されたことにより、営業収益は増加しましたが、減価償却費や資産減耗費の増加等により営業費用が増加し、経常収支比率は前年度比▲5.12ポイントとなりました。また料金回収率は前年度、半年間基本料金を全額免除したこと、また料金改定分が1年分計上されたことにより、110.42%と、前年度比15.94ポイントの増加となっており給水に係る費用を給水収益で賄うことができています。しかしながら当市の人口は減少し続けており、給水収益の増加が見込めない一方、老朽化した施設の更新、耐震化のため多額の費用が必要となってきます。財源を確保するため、更なる経費節減と水道ビジョンに基づいた経営戦略による計画的な施設の更新を行い、健全で持続可能な水道事業の運営に努めます。