経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超えているが、悪化傾向にある。給水人口の減少に加え、前年度と同じく新型コロナウイルス感染症の影響を受け、有収水量、給水収益が減少したことが主な要因と考えている。②累積欠損金比率については、累積欠損金が発生しておらず、問題ない状態である。③流動比率は類似団体平均を下回っているが、約280%あり、特に問題ない状態である。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均の約2.3倍と高い水準にある。これは、広大な面積を有する本市に水道を普及させるため、多額の企業債を発行してきたことが原因である。この比率を減少させていくことを中長期的な課題としており、少しずつ減少させている。⑤料金回収率は類似団体平均を下回っている。⑥給水原価の上昇が影響しているほか、総務省繰出基準の考え方をベースにした繰入金が類似団体よりも多いことも要因と考えている。⑥給水原価は類似団体平均を上回った。有収水量の減少が影響していると考えている。⑦施設利用率は水需要の減少から低下傾向にある。施設の統廃合や適切な規模への更新を計画的に進め、改善させていく必要がある。⑧有収率はほぼ前年度並みで、類似団体平均を下回っている。管路等からの漏水が原因と考えられ、調査と修繕・更新を進めているが、まだ改善に繋がっていない。引き続き漏水箇所の発見、対応に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は年々上昇しており、保有資産の老朽化が進んでいることを示している。将来の更新需要を踏まえた計画的な更新が必要である。②管路経年化率は類似団体平均を大きく下回っているが、年々上昇している。一方、③管路更新率は、今年度は類似団体平均を上回っているが、通常は下回る傾向にある。本市は面積が広く、管路延長も長いうえ、近年は経過年数よりも漏水事故頻発箇所を重点的に更新していることも要因だが、老朽管の計画的な更新を進める必要がある。
全体総括
令和3年度は前年度と同じく新型コロナウイルス感染症の影響を受け、いくつかの経営指標がより悪化している。本市水道事業の経営は、給水人口の減少等に伴う水需要の減少、老朽化に伴う大規模な施設更新の必要、多額の企業債の返済等、将来に多くの課題を抱えており、今後の経営状況はさらに厳しさを増していくものと考えている。今後は、安全・安心な水道を確保しつつ、将来を見据えた適切な規模の施設や管路の更新を進め、漏水事故を減少させること等により、施設維持管理費用の削減、施設利用率の向上、有収率の向上を図り、さらなる経営の健全化に努めていきたい。