経営の健全性・効率性について
水道事業の経営は、類似団体と比較しても、概ね良好な状態である。今年度は資産減耗費に対する長期前受金戻入益が少額であったため、前年度に比べ給水原価が5.66ポイント増加し、反対に、経常収支比率が1.9ポイント、料金回収率が2.17ポイント減少した。一過性の要因によるものであるが、引続き費用の見直しなどにより改善に努める。流動比率は前年度から9.73ポイント増加し、依然として短期債務に対する支払い能力が高いといえる。企業債残高対給水収益比率は前年度から9.35ポイント減少しており、順調に給水収益が増加し、計画的な企業債の償還により企業債残高が減少している。施設利用率は、年間総配水量が減少したため前年度より0.58ポイント減少するも、全国平均や類似団体よりも高い数値を保ち、効率的に施設利用がされている。有収率は類似団体を上回り、前年度よりも0.55ポイント増加した。計画的な漏水対策を進めていることが反映されており、今後も有収率の向上に努める。
老朽化の状況について
水道施設の老朽化の状況は、類似団体と比較して概ね良好ではあるが、前年度と比較して有形固定資産減価償却率は1.53ポイント、管路経年化率は0.66ポイントと、年々増加傾向である。管路更新率は前年度よりも0.14ポイント増加し、全国平均や類似団体と比較しても良好な結果となった。令和2年度に策定した「新水道ビジョン」をもとに引き続き、計画的に老朽管、経年施設の更新を行うことで老朽化対策を進め、防災対策、有収率増加に努める。
全体総括
当事業の経営状況は上記分析より、全国平均や類似団体と比較しても比較的安定的な経営が維持されていると言える。しかしながら、今後の課題も多く、収益面においては、今後の人口減少の見込みや、節水機器の普及などから有収水量の減少並びに給水収益の減少が想定される。また費用面においては、浄水施設および配水施設の老朽化対策に伴う費用の増加や、昨今の世界情勢による物価高、エネルギー高による費用の増加が予想される。今後はより一層、経営の効率化を図るとともに、令和2年に策定した「新水道ビジョン」の基本理念である「生活を支える、安全で強い水道を次世代に」の実現に向け、引き続き、安定給水能力の向上に努める。