経営の健全性・効率性について
①経常収支比率給水人口の減少などに伴い,使用水量が減少している中で震災復旧事業により取得した資産の減価償却費や老朽化した施設の修繕費などが増加傾向にあることから,経営の効率化を進める。令和3年11月請求分からの水道料金改定により料金収入が増加し,100%を上回っている。②累積欠損金比率累積欠損金は昨年度に比べ若干減ったものの,高い状況にあり,経営の課題となっている。経営の状況を踏まえ,経費削減を行う一方,料金改定による収入の確保に努める。③流動比率数値的には100%を上回ってはいるものの,安定的な資金繰りのためには,事業費などの平準化を図る必要がある。④企業債残高対給水収益比率類似団体の平均値を大きく上回っており,建設改良事業の財源として企業債以外の補助金等の財源確保に努める。⑤料金回収率100%を下回っており,給水に係る費用を給水収益で賄えていない状況が続いているものの,令和3年11月請求分からの水道料金改定により,料金収入が増加し,改善傾向にある。⑥給水原価平地が少ない地理的条件から配水池やポンプ場を多く保有しており,それらの維持管理費の占める割合が大きく,また有収水量の減少が給水原価を押し上げる要因となっている。これらを踏まえ,老朽管更新計画作成と水道施設の統廃合やダウンサイジングの検討を行う。⑦施設利用率類似団体の平均値を下回っており,今後の給水人口の減少を踏まえ,適切な施設規模を検討する。⑧有収率漏水調査や老朽化した配水管の布設替えを進め,東日本大震災前の水準(80.73%)までの回復に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率災害復旧事業の実施に伴う管路更新により類似団体と比較すると低い数値となっているが,経年化率も年々上昇してることから,引き続き計画的な更新を行う。②管路経年化率石綿セメント管を中心に老朽管の更新を進めているが,依然として法定耐用年数を経過した管路を多く保有していることから,計画的な更新に努める。③管路更新率類似団体の平均値を上回っており,今後老朽管更新計画を作成し計画的な更新を行う。
全体総括
令和3年11月請求分からの水道料金改定により料金収入が増加し,改善傾向にある指標があるものの,近年の少子高齢化等による人口減少及び節水機器の普及に伴い給水収益の大幅な伸びが見込めないことから,効率的な事業運営による経費の削減や事業費の平準化などにより,引き続き,経営基盤の強化に継続的に取り組まなければならない。また,水道施設などの更新に当たっては,将来の水需要の予測や事業などの優先順位,効率性を考慮しながら老朽管更新計画を作成し,水道施設の統廃合やダウンサイジングにより,適正な施設規模で整備を行う。