経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収率は100%以上を維持していることから、概ね良好な経営状態といえます。しかし、水需要が減少傾向にあるなか、修繕費等の維持管理費が重くのしかかり、特に平成29年度以降、経常収支を圧迫しています。消費税率変更を除き、平成13年度以降改定されていない水道料金について、適正な料金体系となるように見直しを検討していかなければなりません。④企業債残高対給水収益比率が平均値を大幅に下回っていることから、給水収益に対する企業債残高が非常に少ないことがわかります。今後の更新費用の財源は、給水収益によって賄うことを基本としますが、急激な料金値上げとならないように起債の活用についても検討していく余地があります。⑥給水原価は前述のとおり、維持管理費の高止まりに伴い前年度と同程度になっていますが、160.05円と平均値よりは低い水準を維持できており、給水に係る費用を抑制できています。次に⑦施設利用率は、平成30年度より平均値を上回っています。これは計算方法の変更によるもので、分母となる値を認可された1日最大配水量52,300㎥から現在の総貯水量36,975㎥へ変更したためです。なお、平成29年度も同様の計算方法で算出すると76.85%であり引き続き高い稼働率を維持できています。⑧の有収率は平均値と比較して高い水準を維持できています。今後も老朽管の更新作業と並行して給水区域内の漏水調査及び水道施設点検業務を継続して実施することで、有収率の維持に取り組んでいきます。
老朽化の状況について
②管路経年化率は38.51%であり、平均値の約2倍の水準となっています。これは、耐用年数を経過し老朽化した送水管及び配水管等を多く保有していることにほかなりません。また、③管路更新率は0.47%であり、平均値の約8割となりました。現在、本市の基幹管路である西部送水管の更新及び耐震化事業を平成23年度から令和4年度までを事業期間として実施しているところですが、その他の管路及び施設等についても更新及び耐震化を早急かつ着実に進めていくことが求められています。
全体総括
現在、本市水道事業の普及率は99.8%に達し、市民の生活の基盤として必要不可欠なものとなっています。しかし、昭和50年代半ば以前に整備した水道施設の更新が進まず、経年化率が年々上昇しており、老朽化が進行している状況です。水道施設の更新・耐震化が適切に実施されなければ、安全な水を安定的に供給することは困難となります。さらに、人員削減、団塊世代の退職により、職員の若年化が進み、技術の維持、継承が課題となっています。このような課題に取り組んでいくために現状分析及び投資試算と財源試算を均衡させた収支計画である「経営戦略」を平成30年度に策定しました。この経営戦略を5年ごとに見直すことによって、適正な水準と対価による継続的なサービスを実現していきます。