経営の健全性・効率性について
令和3年度の経営状況として、収入面では令和2年度に実施した新型コロナウイルス感染症対策に係る水道料金の減免について、令和3年度は実施なしであったことなどにより、給水収益は増加した。費用面については配水給水関係の費用が増加したが、費用全体としては減少となった。これらの要因により、経常収支が赤字から黒字になり、「①経常収支比率」が増加し、「②累積欠損金比率」は0%となった。また「⑤料金回収率」は前年度より値は増加したものの、類似団体と比較すると低い水準にあり、「⑥給水原価」については微増となった。「④企業債残高対給水収益比率」は給水収益の増加に伴い減少したが、類似団体と比較すると高い状態にあることから、今後も継続して計画的に企業債を利用し、適正な事業運営努めていく。効率性について、「⑦施設利用率」は34.79%と低調であり、類似団体と比較して約24%低い状況である。要因については、観光地の為に水需要の繁閑差が激しいこと等によるものである。また「⑧有収率」は減となり、類似団体と比較すると5%以上低い状況である。引き続き、漏水調査、修繕を行い、効率的な施設運営に努めていく。今後も、給水人口の減少及び有収水量の減少は続いていくと予想されることから、施設の統廃合や施設規模の見直し等、適正規模による事業運営に努める必要がある。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」について、増加傾向にあり、類似団体より高い水準となっている。今後計画的な施設の更新に努めていく必要がある。「②管路経年化率」について、類似団体と比較すると低い水準であるが、増加傾向にある。今後計画的な施設の更新に努めていく必要がある。「③管路更新率」について、1%に満たず、類似団体と比較しても低い水準にある。今後予防保全やアセットマネジメント等の取組みに努めていく必要がある。
全体総括
令和3年度の経営状況は、水道料金減免の差異(令和2年度実施、令和3年度実施なし)等により給水収益が増加し、経常収支が赤字から黒字に転じたものの、今後も給水人口の減少及び有収水量の減少は続くと推測され、厳しい状況になる。また、施設の老朽化による維持、更新費用の増加が懸念される。このような状況の中、その費用の確保については施設の統廃合やダウンサイジング等により、一層維持管理費削減に取り組むとともに、適正な水道料金により給水収益を確保する必要がある。