経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、営業収益が増加したものの、水道設備台帳整備業務等の費用の増加により、前年度比4.23%減となった。類似団体平均値と比較して低い指標であるが、健全経営の水準とされる100%を上回っている。③流動比率は、100%を大きく上回り債務の支払能力は十分であるが、更新事業の実施に伴う企業債借入の増加により、類似団体平均値と比較して低い指標となっている。今後も企業債借入の増加が見込まれることから、指標の低下が予想される。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値と比較して低い指標である。平成27年度から実施している浄水場等の老朽化施設の大規模更新事業により、企業債借入が増加しているため、増加傾向となっている。今後も更新事業が続くことから、企業債の借入れは増加が見込まれる。⑤料金回収率は、前年度比5.85%減となったが、事業に必要な費用を給水収益で賄える状況とされる100%を上回っている。⑥給水原価は、類似団体平均値と比較して高い指標である。費用に含まれる受水費の負担や更新事業の実施に伴う減価償却費の増加が要因と考えられる。⑦施設利用率は、類似団体平均値と比較して高い指標である。効率的な施設利用であると考えられる。⑧有収率は、前年度と比べ漏水等の影響により低下したものの、類似団体平均値と比較すると高い指標である。平成25年度から実施している漏水調査を継続し、漏水の早期発見・修繕により有収率の向上を図る。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、平成29年度までは類似団体平均値と同程度で推移していたが、平成30年度の久保浄水場高区配水施設の更新事業が完了後、償却率は低下し、その後は同程度の償却率で推移している。②管路経年化率は、類似団体平均値と比較して低い指標である。今後も経営状況に応じて計画的に更新する必要がある。③管路更新率は、類似団体平均値と比較して低い指標である。計画的に更新を実施し、引き続き経営状況に応じて更新する必要がある。(平成29年度の指標が0.01%であるが、正しい指標は0.35%である。)施設の老朽化対策としては、今後も水道施設更新基本計画に基づき、計画的な施設更新を図る必要がある。
全体総括
現在は、給水人口の増加により給水収益は順調に伸びており、財源に余裕があるため経営状況は安定している。しかしながら、老朽化する浄水場や管路等の施設更新には、引続き多額の費用がかかるため、水道施設更新基本計画により、計画的に施設の更新事業を進める必要がある。また、令和3年3月に策定した水道ビジョン・水道事業経営戦略に基づき、今後も事業の進捗状況の把握や給水収益等による収入傾向の分析により、必要に応じて水道料金改定の検討を含めた計画の見直し等を適時に行うことで経営の健全化に努める。