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過疎対策事業債の償還額増に伴う公債費の増加や追加交付に伴う臨時経済対策費の新設により、基準財政需要額が181百万円増加した一方で、太陽光発電施設の稼働に伴う償却資産の増により基準財政収入額も110百万円増加したため、令和4年度の財政力指数(単年度)は0.298となった。また、3カ年平均値については、令和元年度の単年度数値が0.316であったため、0.291と微減となった。財政力指数の向上には、町税収入の増加が不可欠であるが、高齢化に伴う生産年齢人口(15歳から64歳)の減少、主要産業である観光業の低迷等は今後も続くと見込まれることから、今後は一層の徴収率強化に加え、交流人口の増加に繋がる施策(誘客促進、サテライトオフィス、ワーケーション等)の実施や、年間を通じた仕事づくりを推進し、町民所得の向上に努める。また、再生可能エネルギー事業の推進により、償却資産の増加による固定資産の増収も図りたい。
分子である経常経費充当一般財源は、保育職員の退職や認定こども園の1園化に伴う会計年度任用職員の削減により人件費が57百万円減少したが、平成29同意の過疎対策事業債470百万円及び平成30同意の臨時財政対策債142百万円の償還が開始されたことにより公債費が78百万円増加したため、全体では前年度に比べ11百万円増加した。分母である経常一般財源は、地方交付税が48百万円、地方特例交付金が38百万円減額したものの、太陽光発電施設の稼働に伴う償却資産の増等により地方税が147百万円増加したため、全体では前年度に比べ86百万円増加した。結果、分子の増加を分母の増加が上回ったため、経常収支比率は84.4%となり、前年度に比べ1.0%改善した。今後も、財政の弾力性が図られるよう、一層の経常経費の節減に努める。
人件費については、保育士の退職や認定こども園の1園化に伴う会計年度任用職員の削減により、前年度に比べ45百万円の減となった。定年延長制度の導入による対象職員の進退は不透明だが、定員管理計画の早期策定やDXの推進を通じて、今後も職員数の適正化に努めたい。物件費については、物価高騰による委託料の増、燃料費の高騰に伴う光熱水費の増はあったものの、Web会議の浸透による旅費の削減など減額要因もあったため、前年度に比べ10百万円の増に留まった。新型コロナウイルス感染症の感染が収束しつつあり、通常の行政活動が再開されることを踏まえ、固定費(当たり前だと思われている経費)の見直しは不可欠であることから、職員一人ひとりが当たり前を疑う姿勢を持って一層の経費節減に努めたい。
数値が類似団体の平均を上回る要因としては、人材確保の観点から、国の基準より高卒の初任給を引き上げていることが挙げられる。また、55歳以上の高齢層職員について、昇給停止を実施していないことも要因の一つである。今後、定年延長制度が導入されることも踏まえ、制度の見直しを検討していく。なお、昨年度からの数値の変更要因は、主に職員階層の変動により平均給料月額が低い水準となったことによるものである。
人口は減少しているが、過重労働是正の観点から労働環境の改善に努めているため、職員数の削減が難しく、類似団体平均と比較して高い数値となっている。令和5年度から定年延長制度が導入されるなか、職員の年齢構成の偏りを抑制する観点から、退職者がいなくても継続的な職員採用をすることで一時的な職員数の増加が見込まれるが、長期的な採用計画のもと、増加が最小限となるよう努めていく。なお、昨年度と比較して職員数が減少している要因は、町立認定こども園の一園化に伴い、退職職員の欠員分を不補充としたことによるものである。
令和元年度に比べ、過疎対策事業債に係る元利償還金の増により算入公債費等の額が105百万円、標準財政規模が558百万円増加したが、町の一般会計及び公営企業会計の元利償還金額の増加により、分子を構成する実質公債費が181百万円増加したため、3カ年平均値は0.5%悪化した。また、一般会計に係る公債費については、令和4には5億円を突破し、令和5にはピークとなる5.5億円に到達、その後も令和9まで5億円台で推移すると見込まれており、今後、学校統合も予定していることから更なる増加が懸念される。以上のことから、町債の発行を抑制することが望まれるため、一層の経費削減に努め、償還金の返還が将来の財政運営の足枷とならないよう、財政健全化に努めたい。
町債の新規発行抑制による地方債現在高の減、公共下水道事業特別会計及び子浦漁業集落排水事業特別会計の償還進行による公営企業債等繰入見込額の減、下田地区消防組合及び一部事務組合下田メディカルセンターの償還進行による組合等負担等見込額の減、財政調整基金、庁舎建設基金及びふるさと応援基金への新規積立による充当可能基金の増により、前年度に比べ9.5%改善した。しかし、1市3町による広域ごみ処理施設の整備や学校統合事業などが今後予定されており、その内容によっては、組合負担等見込額や地方債現在高の大幅な増加が見込まれ、将来負担比率の悪化も危惧される。町では、折に触れ、歳出額の削減に取り組んできたが、行政活動自体の見直しが行われない上での予算削減は一時的な措置に過ぎず、実質的には財政負担を先送りしているに過ぎない。DXの推進やコスト分析による固定的経費の縮減の実践が不可欠である。
人件費総額は、保育士の退職や認定こども園の1園化に伴う会計年度任用職員の削減により、前年度に比べ45百万円の減となり、一般財源等を充当した経常的な人件費は、前年度に比べ57百万円の減であった。このことに加え、経常一般財源は86百万円の増額となったため、経常収支比率は昨年度と比較し大幅に低下した。今後は、DXの推進による行政事務の効率化、定年延長制度の導入による影響を踏まえて定員管理計画の策定し、職員数の適正管理に努める。
一般財源等を充当した経常的な物件費は、原油価格高騰等の影響により42百万円の増となり、経常収支比率が0.9%上昇した。当町は、清掃センター包括運転管理業務、給食調理業務、図書館運営業務、観光宣伝業務、その他町営施設の管理業務を外部に委託しているため、類似団体内平均値と比較して高い状況にある。これらの経費は主に施設の管理に関連するものであることから、今後は公共施設の在り方(存続か廃止か等)について検討することで、経費の節減を図りたい。
扶助費総額は、前年度に比べ臨時的な給付金の支給額が減少したため、121百万円の減となったが、一般財源等を充当した経常的な扶助費は前年度と比較して4百万円の減であったため、経常収支比率は0.1%の微減となった。当町の高齢化率は県内でも高く、今後も上昇することが見込まれることから、現行の扶助費の内容、対象要件等を分析し、効果、必要性についての検討を続けたい。
その他の経費の大半を占める繰出金について、後期高齢者医療広域連合へ支払う療養給付費負担金118百万円を補助費等への計上を改め、繰出金として取り扱うこととしたこと等により、118百万円の増となった。このことにより、経常収支比率は2.2%の大幅な上昇となったが、その要因を除くと大きな変動はなかった。繰出金の主なものは介護保険特別会計への繰出金や、療養給付費負担金であることから、高齢化が進む当町においては、今後も経常収支比率が上昇することが見込まれる。上下水道の公営企業会計への繰出金については、料金改定等による自主財源の確保を検討するなどし、経費の縮減を図りたい。
一般財源等を充当した経常的な補助費等は、後期高齢者医療広域連合へ支払う療養給付費負担金118百万円について、補助費等への計上を改め、繰出金として取り扱うこととしたこと等により、125百万円の減となった。このことにより、経常収支比率は3.7%の大幅な低下となったが、その要因を除くと、微減である。補助費等の大半が一部事務組合等の団体の運営に対するものであるから、大きな経費の縮減は見込めないが、町が自主的に行う補助事業については、定期的に見直しを行い、効果的な補助費等の支出に努めたい。
一般財源等を充当した経常的な公債費は、平成29年度同意の過疎対策事業債470百万円及び平成30年度同意の臨時財政対策債142百万円の元金償還が始まったこと等に伴い、63百万円の増となったため、経常収支比率は1.6%の上昇となった。今後は、公債費が令和9年度まで5億円超で推移すること、広域ごみ処理施設の整備、旧病院棟の解体等の大型事業が予定されていることから、更なる数値の上昇が見込まれる。大型事業を行わない年度は、発行額<償還額を基本方針とし、公債費の過度な上昇とならないよう努める。
太陽光発電施設の稼働に伴う償却資産の増等により地方税が147百万円増加したことにより、経常一般財源が前年度に比べ86百万円増加したことに加え、人件費の減少等により経常経費充当一般財源が67百万円減少したため、2.6%の大幅な改善となった。当年度は地方税が増加となったが、今後は、少子高齢化、生産年齢人口の減少の影響により、増加は見込めない。物価高騰等の影響により、施設の維持に係る経費についても増加していることから、使用料及び利用料の見直しを行い、税外収入の確保に努めつつ、施設そのものの在り方を検討していきたい。
(増減理由)令和4年度の基金残高は2,384百万円で、前年度に比べ206.1百万円の増加となった。財政調整基金で103.2百万円、ふるさと応援基金で107.5百万円、庁舎建設基金で20百万円積立を行った一方で、町営テニスコートの外構工事やトイレ整備等の財源として「ふるさと応援基金」を11.1百万円、庁舎外壁等補修工事の財源として「公共施設整備基金」を15.3百万円取り崩したことが主な要因である。(今後の方針)ふるさと応援基金は、その年度のふるさと寄附金総額から返礼品代や広告料等の必要経費を差し引いた金額を後年度に自動的に積み立てているため、他の基金とは性質が異なる。よって、余剰金を基金に積み立てる優先度は、公共施設整備基金、庁舎建設基金(積立目標額:6億円)、財政調整基金(前2基金に積み立てたうえで更に余剰がある場合又は13億円を下回った場合)の順とし、災害などの不測の事態への対応に加え、今後予定している小学校及び中学校統合事業、ごみ処理施設整備(一部事務組合施工)等の公共施設整備事業の財源とするため、適正な基金の管理と使途の説明に努め、単なる肥大化とならないように努める。
(増減理由)令和4年度は、基金運用益の積立に加え、余剰金の一部を積み立てることができたため、前年度に比べ103.2百万円の増加となった。(今後の方針)平成30年度にふるさと納税制度の改正により、返礼品の見直しや返礼率が3割以下に改正されたことを受け、ふるさと寄附金額が前年度寄附金額を大幅に下回り、予算においても大幅な歳入欠陥となったことから、財政調整基金を225百万円取り崩し、翌年度繰越金を確保した。基金残高も1,261百万円から1,042百万円に大幅に減少したため、令和元年度以降、当時の水準に戻すべく積立を続け、令和4年度末で残高が1,306百万円となった。当町は、財政力指数が0.29と類似団体内平均値と比べてもかなり低く、人口も年に150人程度のペースで減少し、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少に伴い、町税とりわけ町民税の大幅な増額は見込めない。更に、依存財源の割合が7割程度と高く、中でも地方交付税が歳入決算額の45%程度を占めているが、現在の水準でいつまで交付されるのかは不透明な状況である。よって、今後も安定的な財政運営を行い、自立可能なまちづくりを推進するため、13億円(総合計画で定めた積立目標額)を下限として確保できるよう適正な基金の管理に努める。
(増減理由)なし。(今後の方針)ここ数十年、基金残高は3千円であり、増減していない。今後も積立の予定はない。
(基金の使途)ふるさと応援基金は、魅力あるまちづくり事業の財源として積み立てており、令和4年度は、町営テニスコート改修工事等の財源として活用した。公共施設整備基金は、公共施設の機能保全を図り、施設の長寿命化に資するための整備及び改修の財源として積み立てており、令和4年度は、庁舎外壁等補修工事の財源として活用した。庁舎建設基金は、庁舎建設時の財源不足を補うため、ふるさと創生基金は、国際交流・親善の推進とふるさとの伝承・文化・芸能の開発・継承を図るため、町営温泉施設整備基金は、町営温泉施設の整備及び改修の費用に充当することを目的としている。(増減理由)左に掲載した基金のうち大幅に増減したのは、ふるさと応援基金、公共施設整備基金及び庁舎建設基金である。理由であるが、ふるさと応援基金は、町営テニスコート改修工事等の財源として11.1百万円の取り崩しを行ったが、ふるさと寄附金総額から返礼品や広告料等の必要経費を差し引いた107.5百万円を積み立てたため、差し引きで96.4百万円増加した。公共施設整備基金は、庁舎外壁等補修工事の財源として活用したため15.3百万円の減額となった。また。庁舎建設基金は、20百万円を新規に積み立てたため増額となった。(今後の方針)生徒数の減少や施設の老朽化に伴い、令和8年度の開校を目途に中学校の統廃合(2校から1校へ)に取り組んでいる。改修等に当たっては、国庫補助金や町債(学校教育施設等整備事業債、過疎対策事業債)を財源として見込んでいるが、過疎対策事業債は、全国からの要望が地方債計画を上回っているため、要望額どおりに借り入れることが難しく、財源のやり繰りに苦慮させられる。そのような状況に対応し、過度な一般財源の持ち出し等による財政圧迫を避け、施設の計画的な整備を進めるためには、安定した財源の確保は極めて重要であることから、公共施設整備基金への積立を最優先とし、その他の目的基金については、今後の需要を見極めたうえで適切な管理・運営に努める。
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値に比べ高く、上昇傾向にあるが、道路の数値が当数値を押し上げる要因となっている。建物について、人口減少や少子化もあり、人口に見合った施設を保有することが望ましいと考えている中、令和4年度に認定こども園の統合(2園から1園)を行った。現在、町内に2校ある中学校の統合、一般廃棄物処理施設の1市3町による広域化を検討しており、施設の更新が行われる見込みであるから、有形固定資産減価償却率は低下するとみられる。
債務償還比率について、類似団体内平均値と比べて高い数値となっている。これは、地方債残高が多額であることによる。令和3年度は、地方債残高の減少等による将来負担額の減少、基金の新規積立による充当可能財源の増加に加え、普通交付税が増額となったことから、債務償還比率は前年度に比べ低くなった。
類似団体内平均値と比べると、有形固定資産減価償却率及び将来負担比率も高い数値となっているが、これは保有施設の老朽化の度合いが高いこと、地方債等の負債が多額であることが主な要因である。将来負担比率について、町債の新規発行抑制により、地方債現在高の減少したことに加え、基金への新規積立による充当可能基金が増加となったことにより、前年度と比較して18.5%の大幅減となった。有形固定資産減価償却率については、今後見込まれる中学校統合、一般廃棄物処理施設の広域化による施設更新により、低下することが予想されるが、将来負担比率については、施設更新に伴い発行する地方債により増加することが見込まれる。今後の将来負担比率の増加を見据え、他の保有資産の更新の方針について、早期に決定する必要がある。
実質公債費比率の3カ年平均は7.4%で、前年度と比較し、0.1%改善となった。交付税の増額があったことにより、実質公債費比率は改善となったが、地方債の元利償還金の額等の将来負担額については、昨年度と比較し、増加となったため、類似団体内平均値と比較し、大きな改善とはなっていない。また、今後予定している中学校統合、一般廃棄物処理施設の広域化による施設更新により、地方債を発行することで実質公債費比率の上昇が見込まれ、それに伴い将来負担比率も上昇することが想定される。当町においては、実質公債費比率に比べ、将来負担比率の数値が高いことから、将来負担比率の悪化の要因は、地方債以外のものによるものが大きい。
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