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本町は農林業が主体の町であり、自主財源となる地方税の伸びは、少子高齢化に伴う人口減少に押され、今後も減少していく見込みである。歳入に占める地方交付税の割合が49.3%と約半分を占め、交付税・補助金など国からの支出金に依存した財政状況である。少しでも自主財源を確保できるよう、町税の滞納整理、住環境の整備による子育て世帯の定住、新たな公社設立に伴う遊休農地の活用や農産物の流通拡大などを目標に、町内の経済活動を活発化させていきたい。
今年度は、分子である経常経費充当一般財源の議会議員共済費が21,859千円増、介護保険事業繰出金が12,731千円の伸びで、さらに分母となる経常一般財源では、普通交付税が6,208千円、臨時財政対策債が52,107千円の減少であったため、昨年より3%の伸びとなった。類似団体との比較では、7.5%の開きがある。昨年でも分析したが、本町の場合、住民1人あたりの扶助費に対する支出が、類似団体平均よりも23,886円多く、このことが比率を増加させている大きな要因でもある。福祉政策に力を入れているように見えるが、介護保険特別会計への繰出金が近年増加してきており、住民の健康や介護予防に力を入れ、少子化対策にも財政的な支援や、住みやすい町づくりに力を注ぎたい。また経常収支比率に含まれる公債費の元利償還金は、過疎対策事業債で平成26年度、臨時財政対策債で平成33年度に償還ピークを迎えるので、計画的な地方債借入を行っていかなければならない。
人件費、物件費、維持補修費共に類似団体平均値を下回っている。第3期行財政改革計画書に基づき、物件費抑制のために、エコオフィス率先プランの実施による光熱水費の削減、電算機器トナーの入札導入によるコストダウン、消耗品費の集中管理など、様々な取り組みの効果が現れていると考えられる。また、人件費については、定員管理計画に沿った人員配置により退職者の補充採用のみで、高年齢層の減及び新規採用職員の増に伴って、抑制されているのも要因の一つである。次年度は第3期行財政改革計画書の最終年度になるので、継続して物件費等の抑制に努めていく。
平成17・18年度には、職員給3%独自カットを行い、管理職手当の定額化、住居手当の廃止など、人勧に準拠した給与体系を継続してきた。今年度は特に、国家公務員の給与削減に伴う影響で、例年よりラス指数が上昇しているが、100を下回っており、類似団体との比較でも-4ポイント低くなっている。今後も適正な昇給・昇格管理を行い、住民に理解を得られる給与体系を維持していく。
本町は、定員管理目標(65名)を3年前から達成しており、現在も63名で業務を行っている。しかし権限委譲に伴い事務量は増加し、住民からのニーズも多種・多様なものへと日々変化しているため、少ない人数でいかに効率よく業務を遂行できるかを目標に、今後も適正な定員管理を行っていく。
主な要因としては、過疎対策事業債及び地方道路等整備事業債の減(-16,216千円)による、元利償還金の減が考えられる。本町においての起債借入上限額を、標準財政規模の15%以内(約300,000千円)に留めるようにしているので、今後もこの数値を超えない範囲で、計画的な借入を行っていきたい。
将来負担比率については、財政調整基金積立金の増加によることや、公債費の減少に伴い、減少傾向にあるが、類似団体比較では11.5%高くなっている。一部事務組合への負担金も影響することから、上球磨消防署の耐震化に伴う庁舎建て替えや、人吉球磨広域行政組合のゴミ処理施設延命化など、大規模な工事を伴うものについては、慎重な対応をとり、計画的な資金計画の基で実施していかなければならないと考える。また、決算において歳計剰余金がでた場合においては、可能な限り積み立てていくよう努めていき、将来のために積み立てておくべきだと考える。
類似団体と比較すると、決算額では人口1人当たり-60,152円の人件費が少なくなっているが、経常一般財源が乏しいため経常収支比率が昨年度よりも上がっている。ラス指数からも分かるように、給与体系的には全国平均を大きく下回っていることから、経常一般財源を確保しつつ、適正な給与体系を継続していく。
物件費に係る経常収支比率が類似団体と比較して高いのは、保育士確保のために、人材派遣会社への委託を行うことで職員人件費からシフトしている状況が考えられる。また電算運用や各種事務・設計等の委託についても同様で、人件費抑制に対して物件費が上昇している。今後は第3期行財政改革計画に基づき、PDCAサイクルのもと、事業の見直しを図っていく。
本町における扶助費の占める割合は例年大きく、類似団体と比較して23,886円高い。年々上昇する介護費用や、乳幼児医療費など、福祉政策に対する費用として住民福祉の向上や、安定した福祉サービスの提供ができるよう努めなければならないが、限られた一般財源の中でコントロールしなければならないので、介護予防、健康管理等の徹底を促し、抑制できる部分については、各種施策を取り組んでいかなければならない。
昨年度と比較して0.7%の増であり、類似団体平均よりも大きく伸びている。繰出金の割合が影響しており、下水道事業特別会計が4,221千円、介護保険事業特別会計が12,731千円の増である。下水道事業は平成27年度で事業が終了するが、償還ピークも平成27年度なのでその後下降していくと考えられる。介護保険の伸びは今後も増加していくと考えられるので、予防介護に徹し、抑制できるよう努めていきたい。
補助費等に係る経常収支比率が類似団体より高いのは、一部事務組合に対する負担金が大きいためである。本町の補助費に占める組合負担金割合は、50.82%と類似団体より11.79%高く、特定財源がないため充当一般財源が増加している。第1期・第2期行財政再建計画により、単独優遇補助金は削減か廃止を行い、補助費の縮小を図ってきたので、今後も引き続き計画書に基づき、見直しや廃止を検討していく。
類似団体の1人あたり支出と比較して、本町の公債費は95,656円と少なくなっている。過疎地域に指定してあることもあり、過疎対策事業債での事業を中心に借入を行っているが、最近では一般財源としての借入である臨時財政対策債の発行が顕著となっており、発行残高も約50%となっている。これらのことから、将来に渡って負担が残らないように適正な起債管理を行い、有効的な起債活用を行っていく。
本町の場合、人件費・扶助費・繰出金に対する比率が類似団体平均よりも14.5%と大きく増加している。一般財源の約50%を普通交付税で賄っている現状から見て、硬直した財政運営にならないよう、経常収支比率85パーセント以下を目標に運営していきたい。
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