経営の健全性・効率性について
①「経常収支比率」は、令和3年度は111.49%で、令和2年度と比較すると1.01ポイント減少したが、類似団体平均値より上回っており、100%を超えていることから健全な経営状況といえる。令和3年度に減少した主な要因としては、使用水量の減少により経常収益が減少したことによるものである。②「累積欠損金」については、過去5年間0%となっており未発生である。③「流動比率」は、令和2年度と比較すると8.72ポイント増加することとなった。100%以上であることから、短期的な支払能力があることを示している。今後、令和4年度が単年度償還額がピークとなり、令和3年度以降は施設等の耐震化事業の実施に伴う企業債借入により償還額が年々増加するため、引き続き経営上必要な収益の増加に努めることが必要である。④「企業債残高対給水収益比率」については平成29年度の上灘地区簡易水道統合により一時700%を超えたものの、それ以降は企業債の償還が進んだことで統合前(平成28年度)の水準(563.82%)に戻ってきた。今後施設等の耐震化事業を実施していくため、企業債残高の増加に注視する必要がある。⑥「給水原価」については、令和3年度は、令和2年度に比べ1.37円減少し、類似団体平均値より7.45円程度低く、⑤「料金回収率」については、101.66%で、令和2年度と比較すると0.89ポイント増加し、給水に係る費用を給水収益で賄うことができている。以上の指標から本市の経営については、概ね健全経営が維持されている状況にあると考えられるが、今後の施設等の耐震化事業において企業債や補助金に依存することが考えられるため、更なる費用削減や更新投資等に充てる財源の確保に努めていく必要がある。次に⑦「施設利用率」については、58.43%で、令和2年度に比べて0.99ポイント減少しており、類似団体平均値より低いため、あまり良好であるとはいえない。さらに、⑧「有収率」については、87.41%で令和2年度より0.44ポイント微減している。今後も、整備事業計画による管路の更新・漏水調査・修繕を強化する等の取り組みを進めなければならない。
老朽化の状況について
①「有形固定資産減価償却率」については、類似団体平均値を過去5年間下回っており、令和3年度においては、41.4%と令和2年度と比較して1.92ポイント増加したが、平均値より8.56ポイント低い数値である。これは、上灘地区簡易水道統合を実施したことや管路の更新を実施したことによるものであり、類似団体との比較においては、保有している資産が法定耐用年数に近づいている割合が低いと考えられる。指標を参考に将来の施設の更新等の必要性と財源の確保に留意したい。③「管路更新率」については、令和3年度は、令和2年度とほぼ横ばいで、類似団体平均値とほぼ同じである。平成30年度以降②「管路経年化率」が上昇していることを踏まえ、有収率の向上を図るためにも、限られた財源で更新をし、耐震化の対応と併せ今後積極的な整備に取り組む計画である。
全体総括
本市の水道事業(上水及び簡易水道)における財政状況については、経常収支比率及び料金回収率が100%を超えていることから、現在のところ健全経営を維持している。令和2年度より簡易水道事業が企業会計に移行され、一般会計より補助金として繰入れを行い、影響を少なくはしているが、今後、料金収入だけで賄っていくことは難しく、経営状況は一層厳しくなると見込まれる。令和元年9月に料金改定を実施したことにより、令和2年度の給水収益は増加したが、令和3年度においては節水意識の高まりや人口減少等により減少し、今後も引き続き収益の伸び悩みが予測される。今後、簡易水道事業も合わせ、老朽化した既存施設の更新や耐震化事業等の資本投資の増加が見込まれるため、改定した給水収益の推移を注視するとともに、令和2年度に策定した中長期的な経営基本計画である「経営戦略」に基づき、計画的かつ合理的な経営を行うことにより、経営基盤の強化を図りたい。