経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:前年度に比べ3.75ポイント増加した。これは、令和3年4月から使用料体系を従量制へ移行し、使用料収入が増加したためである。②累積欠損金比率:平成29年度以降、累積欠損金は発生していない。③流動比率:前年度に比べ14.2ポイント増加した。これは、農業集落排水の統合に伴い、当該地区分の企業債の償還を公共下水道事業で行うようになったため、当該指標の分母である流動負債が減少したと考えられる。④企業債残高対事業規模比率:前年度に比べ113.35ポイント減少した。これは当該指標における分母である使用料収入(営業収益)が増加したためである。類似団体平均値を上回っている要因としては、処理施設の改修工事の財源として企業債を発行していることや資本費平準化債を発行していることがあげられる。⑤経費回収率:前年度に比べ6.64ポイント増加した。これは、令和3年4月から使用料体系を従量制へ移行し、使用料収入が増加したためである。しかしながら、前年度に比べて増加したものの、依然100%を下回っており、使用料収入で必要な経費を賄い切れていない状況にある。⑥汚水処理原価:前年度に比べ4.03ポイント増加した。これは、当該指標の分母である年間有収水量が減少したためである。⑦施設利用率:類似団体平均値を下回っており、施設を効率的に稼働できているとはいえない状況である。今後も計画的に公共下水道への接続を進め、施設規模の適正化を図り、施設利用率を向上させる必要がある。⑧水洗化率:前年度に比べ0.03ポイント減少した。使用料収入確保の観点から100%に近づくことが望ましいため、接続促進の取組を継続していく必要がある。
老朽化の状況について
①有形資産減価償却率:前年度に比べ3.02ポイント増加した。年々比率は増加しているものの、類似団体平均値及び全国平均は下回っている。これは処理施設の更新を計画的に行っているためである。②管渠老朽化率:法定耐用年数を超えた管渠が存在しないため、0.00%となっている。③管渠改善率:前年度に比べ0.44ポイント減少した。令和3年度は管渠更新工事を実施しなかったため、0.00%となっている。今後、法定耐用年数を超えた管渠が出てくるので計画的に更新を行う必要がある。
全体総括
本市の農業集落排水事業は、処理施設の老朽化対策及び使用料水準の適正化が課題となっている。施設の老朽化対策としては、深谷市生活排水処理基本計画及び深谷市農業集落排水施設最適整備構想に基づき事業を計画的に実施する必要がある。併せて、公共下水道事業への接続を推進し、施設運営の効率化並びに維持管理費用及び設備更新費用の削減を図る必要がある。使用料水準については、令和3年4月から使用料体系を従量制へ移行したため使用料収入は前年度に比べ約6,740万円増加となった。しかし、基準外繰入金が約1億3,500万円計上されているため、費用の削減等を図りこれを減少させる必要がある。なお、令和4年3月に経営戦略の改定を行った。令和4年度からは、改定後の経営戦略に基づき事業を執行していく。また、投資・財政計画について毎年度進捗管理を行い、計画と実績の乖離が著しい場合には、その原因を分析して対策を講じ、経営健全化及び経営基盤の強化を図っていくこととする。