経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率は昨年からプラス2.58%となり、単年度収支は黒字となっている。②の累積欠損金比率については該当は無い。今後も経費節減等に努力する必要がある。③の流動比率は短期的な債務に対する支払い能力についての指標であるが、類似団体や全国平均よりもかなり高い数値となっている。流動資産のひとつである現金預金も横ばい状態であり、流動負債も減少傾向となっているため、健全な状態であると考える。④の企業債残高対給水収益比率は昨年からマイナス18.24%となっている。これは令和2年度の5月から8月まで(4箇月)の水道基本料金の免除を実施したことによる。なお、今後、新規の企業債を利用する場合は企業債残高についても注視する必要がある。⑤の料金回収率は100%以上となっており、昨年からプラス5.16%になっているが、これは令和2年度の5月から8月まで(4箇月)の水道基本料金の免除を実施し、その財源として新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用したためである。なお、今後とも費用抑制の必要性があると考える。また、料金水準等のあり方、経営の状況や見通しについて、引き続き計画的な検討が必要であると考える。⑥の給水原価については、類似団体や全国平均よりもかなり低く抑えられている状況である。⑦の施設利用率については、類似団体や全国平均よりも高い数値となっており、施設が効率的に利用され、適正規模であると考える。⑧の有収率については、類似団体や全国平均よりも低い数値となっている。有収率が低い要因は、主に漏水等にあると考えており、毎年度計画的に不表現漏水箇所の調査を実施し修繕をしている。今後も漏水調査や修繕等を計画的に行い、効率性を高めていきたいと考える。
老朽化の状況について
①の有形固定資産減価償却率については、類似団体や全国平均とほぼ同じ数値となっている。わずかではあるが右肩上がりとなっており、資産の老朽化が進んでいると考える。②の管路経年化率については、類似団体より少し高くなっており、法定耐用年数を経過した管路が多くなってきたことを示している。今後も増加すると考えられるため、老朽管の計画的な更新が必要である。③の管路更新率については、類似団体より高い数値となっており、法定耐用年数を経過した管路が多くなってきたことを示している。今後も計画的に管路更新を実施していきたいと考える。
全体総括
日置市水道事業の経営状況について、類似団体平均との比較では①~⑦の全てにおいて良い数値となっており、健全な状態であると考えている。しかしながら⑧の有収率については、効率性があまり良くないため、原因となる不表現漏水やメーター不感等について計画的に調査し修繕している状況である。今後も調査を継続し効率性を高めていきたい。現時点での経営状況は良好であるが、大量の老朽管更新や老朽化施設の修繕等にむけて、令和元年度にアセットマネジメントを実施し、新水道ビジョン等の長期経営計画を策定した。その結果、老朽管の増加、施設の更新等多額の費用が必要とされる。これらのことからも、維持管理費等の増加が見込まれることから、水道料金改定等の検討が必要である。