伊那市

財政力指数の分析欄

景気回復の影響による税収等の増により、基準財政収入額が増加した一方、制度見直し等により基準財政需要額も増加したことから、前年度と同ポイントとなった。類似団体内平均値との比較では０．０２ポイント下回っており、長野県平均は上回っているものの、全国平均と比較すると低い数値となっている。今後も、行財政改革の推進により、人件費等の義務的経費の削減に取り組みながら、税収増につながる移住定住対策や積極的な企業誘致等に取り組み、財政基盤の強化及び安定化に努める。

経常収支比率の分析欄

景気回復の影響から税収等が増加したが、一部事務組合等の大型事業（ごみ処理、病院事業）に係る補助費等が増加した結果、前年度と比較して０．２ポイントの減少となった。類似団体内平均値及び全国平均は下回っているものの、長野県平均と比較すると高い値となっている。今後も、移住定住対策や企業誘致等に取り組み、一般財源の確保に努めるとともに、行財政改革の推進による経常経費の削減、一部事務組合等と連携した負担の適正化、繰上償還の実施や新規地方債の発行抑制等による公債費の削減などに取り組み、弾力的な財政構造の構築に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費と維持補修費は、概ね前年度並みであったが、物件費が、ふるさと納税（寄附）関連経費の減により大幅に減少したことから、前年度と比較して３，５３３円減少した。類似団体内平均値との比較では、１５，９９０円少ない値となっており、全国平均や長野県平均と比較しても少ない値となっている。定員適正化計画に基づく職員数の削減や財政健全化の取組による経常経費の削減に取り組んできた結果である。今後も、定員適正化計画に基づく定数管理と経常経費の見直し等により経費削減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度と同ポイントとなったが、類似団体内平均値との比較では、２．９ポイント下回っており、全国市平均や全国町村平均と比較しても低い水準にある。市町村合併を機に、昇格基準の見直しや職員手当の適正化等給与制度の抜本的な改革に取り組んできた結果である。今後も、適正な給与水準の維持に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

前年度と比較して０．０５人上昇したが、類似団体内平均値との比較では、０．４３人下回っており、全国平均や長野県平均と比較しても低い水準にある。平成１８年度の市町村合併以降、定員適正化計画に基づき、着実に職員数の削減を進めてきたことによるものである。今後も、定員適正化計画に基づき、住民サービスを低下させることなく、民間委託等の更なる推進等により、適正な職員数となるよう努める。

実質公債費比率の分析欄

「返すより多く借りない」方針に基づき、地方債残高の減少に取り組んだことなどから、前年度と比較して０．１ポイント改善した。しかしながら、類似団体内平均値との比較では、１．８ポイント高くなっており、全国平均や長野県平均と比較しても高い水準にある。一般会計及び公営企業分は減少したものの、一部事務組合等の大型事業（ごみ処理、病院事業）に係る公債費相当分の負担金等が増加していることが要因である。急激な数値の改善は難しいが、「返すより多く借りない」方針を堅持しつつ、積極的に繰上償還を行い、数値の着実な改善を目指す。

将来負担比率の分析欄

新たな地方債の発行に当たっては、借入額を償還元金以下に抑制する「返すより多く借りない」方針に基づき、地方債残高の減少に取り組んだこと、また、経費削減により生じた決算剰余金の基金への積立てを行ったことなどにより、前年度に引き続き「数値なし」となった。今後も、幹線道路の整備や新ごみ中間処理施設の整備、公営住宅の建設など大きな財政負担を伴う事業が予定されていることから、繰上償還の実施による地方債残高の更なる圧縮や基金の積み増し等を行い、将来負担比率の上昇の抑制に努める。

人件費の分析欄

前年度と同ポイントとなったが、類似団体内平均値との比較では、４．６ポイント下回っており、全国平均や長野県平均と比較しても、低い水準にある。市町村合併に伴い、給与制度全般についても見直しを行ったことや定員適正化計画の着実な進行管理のほか、民間委託や臨時職員の活用に取り組んできた結果である。今後も、定員適正化計画に基づき、住民サービスを低下させることなく、各種施策を充実させていくため、適正な人員配置に努める。

物件費の分析欄

ふるさと納税（寄附）関連経費の減などにより、前年度と比較して０．２ポイント減少した。類似団体内平均値との比較では、３．２ポイント下回っており、全国平均及び長野県平均と比較しても低い水準にある。歳出削減の取組の結果であるが、市町村合併後、採用抑制等による職員数の減少に伴い、民間委託や臨時職員の雇用など人件費から物件費へのシフトがみられ、今後も増加が懸念されることから、業務の見直しを行うなどして抑制に努める。

扶助費の分析欄

障害者自立支援給付費や障害児通所等給付費などが増加したことから、前年度と比較して０．２ポイント増加した。類似団体内平均値との比較では、１．１ポイント下回り、全国平均も下回っているが、長野県平均と比較すると高い水準にある。扶助費は増加傾向にあることから、資格審査等の適正化や各種手当への特別加算の見直し等を行い、抑制に努める。

その他の分析欄

経常収支比率における「その他」の主な項目は、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計などの他会計への繰出金である。前年度より０．３ポイント減少し、類似団体内平均値との比較では、５．８ポイント下回っている。また、全国平均及び長野県平均と比較しても低い値となっている。今後も、独立採算と受益者負担の原則に基づき、各会計の経営の健全化を進め、一層の抑制に努める。

補助費等の分析欄

一部事務組合等の大型事業（ごみ処理、病院事業）に係る負担金の増などにより、前年度と比較して０．９ポイント増加した。類似団体内で最も高くなっており、全国平均及び長野県平均と比較しても高い水準にある。下水道事業への補助金や広域行政（ごみ処理、病院事業など）に係る負担金が多額なことが要因であり、当市の財政の大きな特徴となっている。今後も、企業会計や一部事務組合等と連携しながら、経常経費の削減に努める。

公債費の分析欄

財政健全化の取組として、「返すより多く借りない」方針を徹底し、計画的に地方債残高を減少させていることなどから、公債費は着実に減小しており、前年度と比較して０．８ポイント減少した。類似団体内平均値との比較では、０．４ポイント下回っているが、全国平均及び長野県平均と比較すると高い水準にある。今後も、事業の必要性、優先度を十分検討した上で、「返すより多く借りない」方針を堅持し、公債費上昇の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

補助費等の増加により、前年度と比較して、０．６ポイント増加した。類似団体内平均値及び全国平均は下回っているが、長野県平均と比較すると高い値となっている。「公債費以外」で数値が大きいのは、人件費と補助費等であるが、特に補助費等の影響が大きい。下水道事業会計への補助金や広域行政（ごみ処理、病院事業など）に係る負担金が多額であることが要因である。企業会計や一部事務組合等と連携しながら、経常経費の削減に努める。

基金全体

（増減理由）・経費削減により生じた決算剰余金や産業用地売払収入などを財政調整基金に約１２億円積立てた一方、ふるさと納税（寄附）者の意向に沿う事業等に活用するため、ふるさと応援基金を約８億５千万円取り崩したことなどから、基金全体としては、約５億８千万円の増となった。（今後の方針）・平成２９末に、基金の使途の明確化を図るため、基金の整理を実施した。特定目的基金については、基金設置の趣旨に沿って今後も有効に活用していく。・また、引き続き経費削減に努め、生じた決算剰余金等を活用して財政調整基金等を積み増し、財政基盤の強化に努める。

財政調整基金

（増減理由）・決算余剰金を７億円積立てたことによる増加。・産業用地売払収入を５億円積立てたことによる増加。・公共施設等管理基金への積替えのため１０億円取り崩したことによる減少。（今後の方針）・平成３２に交付税の合併優遇措置の終了が予定されている。また、将来的には人口減少による税収の減少等が懸念されるため、引き続き経費削減に努め、生じた決算剰余金の積立て等を行い、財政基盤の強化に努める。

減債基金

（増減理由）・基金利子を２百万円積立てたことによる増加。（今後の方針）・現状を維持し、必要に応じて繰上償還の財源として活用する。

その他特定目的基金

（基金の使途）・ふるさと応援基金：ふるさと伊那市を応援したいという寄附者の意向を反映したまちづくりに要する費用の財源に充てる。・職員退職手当基金：伊那市職員が退職した場合に支給する退職手当の財源に充てる。・公共施設等管理基金：公共施設等の長寿命化、更新、統廃合等に要する費用の財源に充てる。（増減理由）・ふるさと応援基金：ふるさと納税（寄附）約４億５千万円を積立てた一方、寄附者の意向に沿う事業の実施に約８億５千万円取り崩したことにより減少。・職員退職手当基金：退職手当の財源として約３千万円積立てた一方、８千万円取り崩したことにより減少。・公共施設等管理基金：基金の整理を行い、財政調整基金を取崩し、新たに公共施設等管理基金に１０億円積立てたことによる増加。（今後の方針）・ふるさと応援基金：ふるさと納税（寄附）を推進し、財源を確保しつつ、寄附者の意向に沿う事業に活用していく。・職員退職手当基金：退職手当に係るの平準化を図るため、必要に応じて積立て、取崩しを行う。・公共施設等管理基金：公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画策定後、公共施設等の長寿命化、更新、統廃合等に活用する。

有形固定資産減価償却率の分析欄

前年度と比較して０．８ポイント増加し、類似団体内平均値との比較では、２．２ポイント上回る結果となった。全国平均、長野県平均と比較しても高い数値となっている。年々数値が上昇しており、資産の老朽化が進みつつある。公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合や長寿命化による計画的な施設の管理に努める。

債務償還比率の分析欄

分析欄：将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、「返すより多く借りない」方針に基づき、地方債残高の減少に取り組んだこと、また、経費削減により生じた決算剰余金の基金への積立てを行ったことなどにより、前年度に引き続き「数値なし」となった。有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値、全国平均、長野県平均を上回る数値となっており、年々数値が上昇していることから、資産の老朽化が進みつつあると言える。今後、増加が見込まれる施設の更新等に当たっては地方債や基金等の活用も視野に入れつつ、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合や長寿命化による計画的な施設の管理に努める。

分析欄：将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

財政健全化の取組により、将来負担比率、実質公債費比率とも順調に改善している。将来負担比率は、地方債残高の減少や基金への積立てなどにより引き続き「数値なし」となったものの、実質公債費比率は、類似団体内平均値を依然として上回っており、更なる改善が必要である。今後、いくつかの大型事業も控えているため、一層の経費削減に努め、地方債の繰上償還や基金の積立て等を積極的に行い、引き続き財政の健全化に努める。