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本市は一島一市で広大な面積を有しており、離島という地理的条件から近接市町村との広域行政も行えず、行政需要が多岐にわたり、財政需要が大きくなっている。また、人口減少や高齢化率(令和4年4月1日現在42.3%)が高いことに加え、離島であるがゆえに産業基盤が弱く、税収などの自主財源の確保が難しいため、財政力指数は類似団体の中で一番低く、類似団体平均値も大きく下回っている。今後の持続的な財政運営に向け、公共施設や業務のあり方等の抜本的な見直しによる歳出削減に努めるとともに、経済振興、観光振興を通じた歳入確保に取り組むなど、財政基盤の強化を図る。
経常収支比率は95.0%となり、前年度から3.9ポイント増加し、類似団体平均値を上回っている。経常収支比率の分母となる歳入(経常一般財源等+臨時財政対策債等)は、一時的に普通交付税の増加した令和3年度に比べ14.5億円減、令和2年度に比べ4.5億円減となっている。分子となる歳出(経常経費充当一般財源等)は令和3、令和2年度に比べ3.1億円圧縮しているものの歳入の減少分に追い付いていないため経常収支比率が増加したと分析している。今後も引き続き経常的なコスト削減に取り組むなど、行財政改革を通じて経常経費の削減に努める。
人口1人当たり人件費・物件費等決算額は前年度から18,498円増加し、類似団体の中で一番高く、類似団体平均値も大きく上回っている。人口減少の進行に加え、島内には集落が点在しており、離島という地理的条件から近隣市町村との広域行政も行えず、消防・清掃施設、保育所や学校、老人ホーム等の施設を直営で運営している影響が大きい。引き続き定員適正化計画による人件費の削減や、公共施設・組織の最適化に取り組むほか、事務事業の見直しによりコスト低減を図る。
ラスパイレス指数は92.4%で、職員構成の変動により前年度から0.5ポイント増加したが、指数は類似団体の中で一番低く、類似団体平均値を大きく下回っている。人事院勧告により国の平均月給が減となったため、指数が上昇したものと分析している。
人口1,000人当たり職員数は前年度から0.08人増加し、類似団体の中で一番多く、平均値も大きく上回っている。離島である本市の面積は広大で、島内には多くの集落が点在しているため、行政サービスの観点からも支所や行政サービスセンターに加え、消防・清掃施設、保育所や学校、老人ホーム等の施設を直営で運営している影響が大きい。また、人口が約1,140人減となり、人口減少が進行していることも増加要因として挙げられる。
市債残高の減少により元利償還金が減少し実質公債費比率は減少傾向にあるが、市町村合併特例事業の実施等により類似団体平均値を上回っている。今後も適正な事業実施や有利な地方債の活用を図り、早期是正措置が必要となる18%を超えないように留意し、公債費の負担軽減に努める。
本市は広大な面積と四方を海に囲まれた離島であるため、道路や漁港などの建設事業に地方債の活用が不可欠であり地方債の現在高が大きいこと、また公営企業への繰出金が大きいことから、類似団体平均値を大きく上回っている。後世への負担を少しでも軽減できるよう、有利な地方債の活用を図る。
人件費に係る経常収支比率は27.8%となり、前年度から1.6ポイント増加している。大きく増加した原因は、人件費は微増にとどまったものの、普通交付税の減により分母となる経常一般財源が大きく減少したためと分析している。今後も公共施設の適正配置等の行政改革を通じて定員適正化計画等により人件費の削減に努める。
物件費にかかる経常収支比率は15.4%となり、前年度から0.8ポイント増加した。物件費の内訳は前年度同様に委託料と需用費がそれぞれ68%、16%程度と大部分を占めている。指数が増加した原因は、物件費は微減しているものの、普通交付税の減により分母となる経常一般財源が大きく減少したためと分析している。今後も公共の管理方法の見直し等により、委託料や修繕費の削減に努めるほか、事務事業の見直しによる物件費の抑制を図る。
扶助費に係る経常収支比率は5.4%となり、前年度から0.6ポイント増加したが、類似団体の中では低い比率となっている。経常的な経費はほぼ増減はないものの、特定財源の割合が少なくなり一般財源が増加したため指数は増となった。今後も扶助費の性質を考慮しながら、社会保障関係経費の動向を注視するとともに歳出の適正化に努める。
補助費等に係る経常収支比率は10.5%であり、前年度から0.4ポイント増加した。今後は、類似事業や同一同種団体に対する補助金等の整理統合を行うなど、補助金の目的、妥当性、効果等を検証し、終期の設定や目的を達成した補助金の廃止等の見直しに取り組む。
公債費に係る経常収支比率は23.4%となり、前年から0.5ポイント増加した。本市は離島であるため、道路や漁港などの建設事業の実施等により類似団体平均値を上回っている今後は、合併特例債の償還額の減少が見込まれているが、市債発行額の抑制も継続して行い公債費の縮減に努める。
公債費以外に係る経常収支比率は71.6%となり、前年度から3.4ポイント増加している。前年度は普通交付税が一時的に増加したものの、令和4年度は大きく減少し、経常収支比率もそれに伴い増減している。歳出は前年度に比べ0.9億円圧縮したが、経常一般財源の減少分の方が大きかったため経常収支比率が増加したと分析している。今後、人口減少に伴う普通交付税の減も見込まれるため、公共施設の適正配置や事務事業の見直し等の行財政改革を通じて経常経費の削減に努める。
(増減理由)財政調整基金及び減債基金の残高が減となったため全体として減となった。(今後の方針)各基金の設置目的と事業内容に基づき、計画的に積立てと取崩しを行う。なお、管理運用にあたっては、安全確実であることを基本としながら、効果的な運用に努める。
(増減理由)普通交付税の減額や、エネルギー価格高騰等、大雪災害の対応に伴う取崩により減となった。(今後の方針)基金の取崩を減少させるためにも、公共施設や組織の最適化を念頭に置きつつ、民間の積極的な活用やデジタル化を進めるなどの行財政改革に取組み、収支の改善に努める。令和5年度末の残高見込みは34億円程度と見込んでいる。
(増減理由)財源対策債等の償還に係る財源として1.8億円を取り崩したことにより減少した。(今後の方針)市債残高の状況や公債費負担の今後見通しに応じて計画的に取崩しを行う。令和5年度末の残高は12億円程度と見込んでいる。
(基金の使途)○地域振興基金:市民の連携の強化及び地域振興の事業の財源に充てる。○過疎地域持続的発展特別事業基金:地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持及び活性化その他の住民が将来にわたり安全に暮らすことができる地域社会の実現を図るための事業の財源に充てる。○地域医療基金:地域における医療提供体制の確保を図ることを目的とする事業の経費に充てる。(増減理由)○地域振興基金:安全安心まちづくり事業や支所・行政サービスセンター拠点化事業などの財源として2.4億円取り崩したことにより減少した。○過疎地域持続的発展特別事業基金:過疎対策事業債の基金造成分などにより1.9億円積み立てた一方で、産業振興、高齢者等の保健及び福祉の向上及び増進、医療の確保等の事業費の財源として3.4億円を取り崩したことにより減少した。○地域医療基金:令和4年度に設置し、2.7憶円を積み立てた。(今後の方針)各基金の設置目的と事業内容に基づき、計画的に積立てと取崩しを行う。
経済対策に伴う普通交付税額の増により経常一般財源は増加したものの、類似団体と比べて地方債残高及び公営企業会計繰出金が大きいため、債務償還比率も類似団体と比べると高くなっている。地方債残高は年々減少傾向にあるが、人口減少に伴う普通交付税額の減は避けられないため、今後も公債費負担の適正化及び公営企業の経営改善に取り組んでいく。
固定資産台帳整備中
実質公債比率と将来負担比率ともに類似団体と比較して高い水準であるが前年度に比べ改善している。これは普通交付税額の増による標準財政規模の増加及び地方債発行抑制による地方債残高の減少のためである。今後は人口減少に伴う普通交付税額の減により比率の上昇が予想されるため、引き続き公債費負担の適正化及び公営企業の経営改善に取り組んでいく。
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