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人口の減少に加え、町の基幹産業である農業所得の低迷による税収の伸び悩み、歳入総額の約5割を地方交付税に依存する自主財源の脆弱な財政体質から抜け出せず、昨年度同値となっている。類似団体と比較しても、0.14ポイント下回る結果となっている。人口の動向などからも飛躍的に財政力が上昇することは見込めないため、財政力に見合わない歳出過多の状況を改善するために、令和2年度より全事業の見直しを実施している。また、令和3年度から公金収納専門員を配置し、地方税等の徴収強化による自主財源の確保を図っている。
類似団体と比較し、診療所運営費等の繰出金やグリーンバレー神室一帯の施設運営費が比率を上昇させている要因である。令和4年度は、物価高騰による物件費の増加等の影響により、前年度比2.0ポイントの増となった。しかし、経常経費が高止まりしている状況に変わりなく、類似団体と比較しても1.4ポイント高い数値となっている。今後も収益事業等の見直しを進めることで、経常経費を抑制し、持続可能な財政運営に努める。
人件費は、令和4年度に小学校を統合し3校から1校体制となったため、施設管理や教育指導に係る人件費が7,352千円の減となった。人件費全体では22,158千円の減少。物件費は、公共施設の光熱水費が7,474千円の増。また、行政手続きオンライン化システム処理料など自治体DXの基盤となる事業費の増加により、物件費全体で、10,444千円の増となった。人口減少傾向が続くため、公共施設の集約化や統合などを進め、人口規模にあった施設管理を行うことで、物件費を中心に抑制を図っていく。
職員総数が少ないため、退職者の状況による影響など経験年数が高い世代の職員一人あたりに係る変動が大きくなっている。類似団体と比較し1.9ポイント高くなっているが、国の人事院勧告に基づく給与改定を行っており、引き続き適正な給与水準への見直しなどを行っていく。
早期退職、退職不補充により集中改革プランを上回る職員数の削減を行っており、類似団体と同水準の値となっている(類似団体平均比+0.02人)。今後も事務事業の見直しや適正な定員管理により人件費の抑制を図っていく。
平成26年度の過疎指定による過疎対策事業債を活用した社会福祉法人へのこども園舎建設補助や貸工場の建設により起債事業が増加した結果、平成30年度から令和2年度までは元利償還金が増加した。令和3年度以降は、大型ハード事業が落ち着き、過疎対策事業債の発行も平準化されたため、当該比率は0.4ポイントの減少となった。今後も、年度間の事業実施のバランスを図り後年度負担の平準化に努める。
財政健全化の実現のため、近年は起債発行を抑制していたことから、地方債残高が減少しており、前年度比9.0ポイント減の「比率なし」となった。基金残高が回復したことにより充当可能財源が増加したことも比率を下げた要因となっている。類似団体平均となったが、引き続き高水準を維持できるよう、効率的な事務事業の実施や事業の見直しにより、事業の全体最適化を図ることで基金積立額の確保等による財政健全化に努める。
令和4年度の小学校統合により施設管理等による人件費は減少したが、スクールバス運転手増員等により経常経費一般財源に係る人件費全体で3,466千円の増加となった。前年度と比較して1.0ポイント増、類似団体内平均値と比較して1.3ポイント上回っており、乖離が広がっている。
公共施設の光熱水費が7,474千円の増。また、農村環境改善センターや総合交流促進施設等の指定管理料が燃料費高騰などにより9,396千円増加しており、経常経費一般財源に係る物件費全体で、17,170千円の増となった。前年度比0.9ポイントの増。類似団体と比較して1.7ポイント下回っているものの、物価・燃料費の高止まりに備え、継続した物件費抑制に努める。
少子化により児童手当等の児童福祉費が減少したことから、前年度比較0.2ポイント減。一方、高齢化の進行等に伴い増加に転じることが見込まれるため、医療費抑制策としての健康増進事業や介護予防事業を充実させ、扶助費の適正化に努めていく。
-1.0ポイントの減少となっている。診療所会計はコロナワクチン接種委託料を収入しており、診療所への繰出金を抑制できている。また、介護保険会計は給付費抑制等により、98,478千円の減少となり影響が大きい。その他、後期高齢者医療会計が6,068千円の減、農業集落排水会計が7,824の増、公共下水道会計が16,469千円の増。繰出金全体では1.7ポイントの減少だが、類似団体内平均値と比較し1.9ポイント高く、当町の経常収支比率については、特別会計繰出金の影響が大きいものとなっている。
地域要望などを考慮し、小規模事業者支援事業補助金や観光対策事業補助金等を新設したため、経常経費一般財源に係る補助費等全体として2,303千円増加、前年度比0.6ポイント増となった。しかし、類似団体内平均値と比較し、0.8ポイント高いことから、補助事業等の検討を含め、さらなる見直しを進める。
平成26年度の過疎地指定以降に借入が増加した過疎対策事業債の償還が、令和2年度をピークに減少に転じた。令和4年度は、平成30年度の過疎対策事業債の元金償還開始に伴い、前年度比0.7ポイント増となっている。現在は類似団体内平均値を下回っているが、今後も償還のバランスを見極め、起債事業を実施していく必要がある。
町税の伸びにより、税収分としては0.1ポイントの減少要因となった一方、地方交付税及び臨時財政対策債減少の影響が大きく、前年度と比較し2.9%の増加要因となっている。税収などの自主財源が脆弱であり、普通交付税や臨時財政対策債発行額の動向により比率が左右されやすい財政構造となっているため、引き続き、医療給付会計、公営企業会計及び診療所の経営健全化を中心に取り組んでいく。
(増減理由)令和2年度以降の事業見直しによる経常経費の抑制や地方交付税の増額により積立財源を確保できている状況にある。令和4年度末残高は前年度比367百万円増となる2,343百万円まで残高を回復している。(今後の方針)今後は、社会保障費の増加や公共施設修繕費等の増大により、財源不足に対応する財政調整基金の取崩しを毎年50~300百万円程度と見込んでいる。留保財源となる繰越金等を財源とした積み増しを実施しているものの、町立診療所の運営費補てんや第三セクターを含むグリーンバレー神室エリアの運営費が、歳入規模を大きく超過する歳出額となっており、一般財源確保のための基金取り崩しが恒常化する大きな要因となっている。それらの事業については、抜本的な運営転換を検討しながら、経常経費の抑制を図るとともに、事業効果や後年度の負担額を踏まえた計画的な基金運用を行うこととする。当面は、財政調整基金で1,000百万円、基金全体で2,000百万円の残高確保及び維持を目標としている。
(増減理由)令和4年度残高は、前年度比145百万円減の922百万円となっている。新設した学校施設整備基金に330百万円を移し替えしたことが大きな減少要因となっている。一般財源不足分の調整繰入としては61百万円であり、最小限に留めたため、一定の残高を確保した。(今後の方針)近年、甚大な災害発生が全国で多発しており、災害発生時に対応する財源として近隣町村の状況から最低1,000百万円を留保が必須と考えており、引き続き、経常経費の見直しを検討し基金残高を確保する。
(増減理由)今後の公債費の高止まりに備えるため、前年度同額を確保した。(今後の方針)平成26年度以降の大規模ハード事業に伴う過疎対策事業債の元金償還が令和元年度から本格化しており、今後10年間高止まりする見込みを踏まえて、公債費の財源確保に苦慮しないように留保財源の状況を見ながら積立を実施していく。
(基金の使途)資産活性基金は、公共施設の更新や補修するための基金。学校施設整備基金は、町立小中学校の施設整備のための基金。かねやま応援基金はふるさと寄附を財源とし、後年度事業に活用する基金。森林環境譲与税基金は、森林環境譲与税を税源とし、森林整備やその促進に関する事業に活用する基金。かねやま清い心の町創造基金は、未来会議等のソフト事業を実施するための基金。すこやか基金は、健康づくり事業の財源とする基金である。(増減理由)今後の施設修繕に対応するため資産活性基金に68百万円の積立を実施。新設した学校施設整備基金は、町立小学校の今後の大規模修繕等に備え、財政運営基金からの移し替えを含めて406百万円を積み立てた。かねやま応援基金は、ふるさと寄附から当該年度の事務費を除いた残額として42百万円を積み増した。寄付額の増加に伴い積立額も微増となっている。森林環境譲与税基金については、林道の路網整備や有害鳥獣対策などニーズにあわせて基金を繰入れて事業実施したため、残高は前年度比3百万円の減少となっている。(今後の方針)資産活性基金は、概ね10百万以内程度の小規模な公共施設改修等に活用しながら、現在の残高水準を確保していく。学校施設整備基金は、町立小中学校の小規模修繕工事等に活用しながら、校舎等の大規模修繕の財源として一定の残高を確保する。かねやま応援基金は、令和2年度から積立を再開し後年度の残高を確保。後年度の事業費とバランスを取りながら重点推進事業の財源として取崩しを実施していく。森林環境譲与税基金は、森林整備等の適正な用途に、積極的に活用していく。
建築後年数が経過した公共施設について施設更新等を行っておらず、また、新たに公共施設整備への投資よりも減価償却額が上回っている状態のため有形固定資産減価償却率は昨年度比+1.4ポイント、全国平均比+9.6、類似団体内平均値+3.0と若干高い水準となっている。公共施設等については公共施設管理計画、個別施設計画を策定済みであり、当該計画に基づいた施設の維持管理を適切に進めており、今後も計画的な事業執行に努めたい。併せて、人口減少等に伴う施設の統廃合、機能移転、廃止取り壊し等も進めており、有形固定資産減価償却率は今後減少が見込まれる。
これまで続いていた、起債償還のピークが一段落したことで、昨年度比-305.7ポイントとなり、全国平均比-146.6ポイント、類似団体内平均値で+5.7となった。債務償還の割合が低下し良い状態ではあるものの、老朽化した施設の更新時期を迎えているため、今後必要な公共施設の更新については、起債発行については財政状況を十分検討し実施していきたい。
令和2年度、3年度と基金の積み増しを行うことができたことにより、将来負担比率が32.7ポイント減少した。また、令和4年度決算の状況については、将来負担比率が類似団体内平均値同様0になる見込みとなっている。有形固定資産減価償却率については、上段で記載のとおりとなっており、個別施設計画等を活用し、施設の維持管理、統廃合、古い施設の取り壊しなどを進めており、今後は減少が見込まれる。
将来負担比率については、近年の基金積み増しのおかげで、年々大きく減少しており令和4年度決算では類似団体同様に0となる見込みとなっている。実質公債費率については、昨年度比-0.1ポイント、類似団体内平均値比+2.2となっている。令和3年度は大型施設の償還が落ち着いたことにより減少はしたが、類似団体に比べると高い状態にあり、今後も老朽化した施設の更新などを徐々に迎える時期に来ているため、高い状態が続く見込みである。財政状況及び財政計画を見ながら、計画的な起債発行、施設更新に努めたい。
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