経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については今年度は前年度に行った水道料金の減免がなく、給水収益が増収した。このため前年度より1.7ポイント上がっている。維持管理費や支払利息等の費用は賄えており、単年度の収支は黒字を維持していることから経営状況は安定しているといえる。しかしながら、有収水量については前年度から減少がみられるため今後は更なる費用削減に努めなければならない。②累積欠損金比率は0%で累積欠損金は発生しておらず、健全経営を維持している。③流動比率は類似団体の平均値以上有していることから短期債務に対し十分な支払能力は確保されており財務状況は良好である。④企業債残高対給水収益比率は前年度より10.17ポイント減っているが、これは建設改良費の繰越により、今年度分の企業債借入額が減少したことによるものである。引続き施設整備のための資金は自己資金と企業債借入により確保し、計画的に施設整備を進めていく。今後、給水収益の減少や突発的な支出があった場合には、この数値は上昇すると考える。⑤料金回収率は100%を0.1ポイント下回り給水収益以外から、給水に係る費用が賄われていることを示している。また、⑥の給水原価と比較して供給単価が下回っていることをしめしており、今後は更なる費用削減が必要である。⑦施設利用率は、類似団体の平均値より1.76ポイント少ないが、概ね施設規模に見合った適正な利用率といえる。⑧有収率は類似団体の平均値を14.47ポイント上回っており、今後も引続き漏水等の配水状況に注意を払い高い有収率を維持する。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体の平均を若干上回っている。今後も上昇傾向にある。②管路経年化率は2.60%で法定耐用年数を経過した管路は類似団体平均値19.32%よりも大分少ない。③管路更新率について、当町では腐食による漏水被害のあった一部の区域の更新を先行して進めているところだが、令和3年度の更新率は0.25%で類似団体と比較して約半分である。しかしながら、今後は当町においても法定耐用年数を超える管路が増加することから、事業費の平準化を図り計画的に更新を進めていく。
全体総括
現状、経営の健全性・効率性についての指標は類似団体と比較しても、いずれの数値も概ね良好な状態にある。老朽化の状況についても概ね良好である。しかし、今後は社会的な節水意識の高まりや人口減少の進展に伴い水需要は減少傾向にあり、それに伴い給水収益も減少することが懸念されている。また、管路についても経年化率は上昇することが見込まれ、更新費用の増加は必然である。このように水道事業を取り巻く経営環境が厳しくなることを想定し、水道施設更新時には施設規模の最適化(ダウンサイジング)を図るなどでサービス水準を維持しながら、より効率的な事業運営を行っていく。また、引続き維持管理コストや建設コストの縮減に努め、水道施設や管路を適切に維持管理し、経営健全化に努めていく。