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本市の令和元年度における財政力指数0.68(対類似団体比+0.11)は、平成30年度の0.69から0.01下落した。類似団体と比較すると、比較的上位に位置している。しかし、人口減少の進展や、市内大手製造業の事業縮小等により、固定資産税をはじめ市税収入の不振が続いている。現状としては、財政力指数は横ばいの状況が続くものと思われる。今後は、事務事業の選択と集中により、需要額の抑制と併せて、子育て支援事業や企業誘致により若年層の人口の流出を防ぎ、税収増に努めていくほか、公共施設等の使用料の見直しや市有財産の売払いの推進により財源の確保を目指す。
本市の令和元年度における経常収支比率91.3%(対類似団体比-1.1pt)は、平成30年度の92.3%から1.0ポイント改善し、過去5年間で初めて類似団体平均を下回った。経常収支比率が改善した原因としては、前年度過去最高額を記録したふるさと納税寄附金(臨時的特定財源)を、今年度の各種事業に充当したことにより、経常一般財源額が減少したためと思われる。ただし、今回の改善は臨時的な特定財源が一時的に増加した結果に過ぎず、市税収入等の経常的な財源の減少傾向が変わった訳ではない。今後も、定住人口、市税収入の確保に努め、さらなる歳出削減により改善を図る。
本市の令和元年度における人口1人当たり人件費・物件費等決算額117,514円(対類似団体比-27,014円)は平成30年度の110,371円から7,143円増加した。類似団体の中で9番目に少ない額である。人件費の増加要因としては、平成31年4月に就任した副市長に係る人件費や人事院勧告適用に伴う職員給、そして令和元年東日本台風災害復対応に係る時間外手当などの増加が挙げられる。物件費の増加要因としては、小中学校情報機器賃貸借料や老朽化公営住宅解体撤去事業費などの増加が挙げられる。人口が減少し続ける中、老朽化した公共施設の維持補修等の増加が予想されるため、人口1人当たり人件費・物件費等の増加傾向は今後も続くと思われる。
本市の令和元年度におけるラスパイレス指数99.4は、平成30年度と同値であり、類似団体平均に比べ1.7ポイント高い。本市のラスパイレス指数が類似団体平均を上回る状況が続いている要因としては、社会人経験者を採用していた期間や、新規採用を抑制した時期があり、経験年数階層内における職員の分布が若年層と比較すると中堅職員以上が大きく占め、そうした影響により平均給料月額が高くなったためと考えられる。
本市の令和元年度における人口1,000人当たり職員数7.08人(対類似団体比-1.22人)は、平成30年度の7.10人から、0.02人の減でほぼ横ばいとなった。類似団体の中で比べても、少ない職員により市政を運営しているといえる。自然災害の増加や、権限移譲等により業務量は増大しているが、第2次21世紀矢板市総合計画で掲げた2020年職員数255人の目標値に向け、行政サービスを低下させることなく、各種研修等を継続的に実施し、少数精鋭による職員配置を行っていく。
本市の令和元年度における実質公債費比率9.0%(対類似団体比-0.2pt)は、平成30年度の9.1%から0.1ポイント減少した。しかしながら、この値は3か年の平均値であり、令和元年単年度で見ると9.5%に上昇する。これは、令和元年度が過去2か年に比べて、市債元利償還金が増加したためである。今後、矢板北スマートIC整備や塩谷広域行政組合のエコパークしおや建設などの大型公共事業に係る地方債の元金償還が開始されると、市債元利償還金や組合負担金が高水準で推移することが見込まれるため、実質公債費比率は増加に転じる懸念がある。財政規模とのバランスがとれた中長期的な償還計画に基づいた市債の借入れを行う必要がある。
令和元年度における将来負担比率50.2%(対類似団体比+0.5pt)は、平成30年度の43.1%から7.1ポイント増加し、近年続いた減少傾向から増加に転じた。これは、矢板北スマートIC整備や塩谷広域行政組合のエコパークしおや建設などの大型公共事業による市債現在高や組合負担金の増に加え、各事業実施にあたり、各種特定目的基金の取崩しが進んだことで、基金現在高が減少した結果だと考えられる。大型公共事業のピークは過ぎたが、今後は老朽公共施設の更新、長寿命化などが見込まれるため、将来に過度な負担とならないよう中長期的な計画に基づき市債の借入れを行う必要がある。
本市の令和元年度における人件費に係る経常収支比率24.3%(対類似団体比+2.0pt)は、平成30年度の23.4%から0.9ポイント増加した。類似団体平均よりも高い水準である。類似団体と比較して、人口当たりの職員数が少ない(上位である)にも関わらず、人件費に係る順位が中位であるのは、経常一般財源である市税収入が落ち込んでいることに加え、平成31年4月に副市長が就任したことに係る人件費が純増したことが要因と思われる。
本市の令和元年度の物件費は、決算額が平成30年度から5.5ポイント(+89,811千円)増加したものの、それに係る経常収支比率14.9%は平成30年度の15.8%から0.9ポイント減少し、類似団体平均を0.4ポイント下回った。これは、前年度過去最高額を記録したふるさと納税寄附金を、今年度の各種事業に充当したことにより、経常一般財源額が減少したためと思われる。今回の変動は臨時な特定財源の増加によるものなので、今後の変動には引き続き注視していく必要がある。物件費を含む経常経費については、徹底した削減に取り組んでいるが、今後も事務事業の見直しや委託施設等の整理などにより一層の圧縮を図っていく必要がある。
本市の令和元年度における扶助費に係る経常収支比率10.6%(対類似団体比+1.3pt)は、平成30年度の9.9%から0.7ポイント増加した。類似団体平均よりも高い状況が続いている。扶助費の内訳では、人口1人当たりの決算額で比べると、生活保護費が類似団体に比べ24.9ポイント高いほか、障害福祉サービス給付費等により社会福祉費が類似団体に比べ17.0ポイント高いのが特徴的である。資格審査等の適正化や各種手当への独自加算等の見直しを進めていくことで、財政を圧迫する上昇傾向に歯止めをかけるよう努める。
本市の令和元年度におけるその他の経費に係る経常収支比率16.4%(対類似団体比+1.8pt)は、平成30年度の17.6%から1.2ポイント減少したが、類似団体平均よりも高い状況である。公共下水道事業特別会計繰入金の減少や株式会社やいた未来設立出資金の減少などが要因となっている。その一方で、介護保険特別会計繰出金や国民健康保険特別会計繰出金などは増加傾向は変わっておらず、社会保障費の増加が続く限りそれらに係る繰出金も増加が続くと思われる。
本市の令和元年度における補助費等に係る経常収支比率10.1%は、平成30年度の11.1%から1.0ポイント減少し、類似団体平均を3.6ポイント下回った。塩谷広域行政組合への経常的な負担金は増加したものの、各種補助金等の交付に対して、ふるさと納税基金繰入金をはじめとした基金繰入金を充当した結果、経常一般財源額が減少したためと思われる。今回の変動は臨時的な特定財源の増加によるものなので、今後の変動には引き続き注視していく必要がある。今後、各種団体への運営費補助金については、社会情勢の変化等を踏まえ、個々の団体ごとに十分な精査と検証を行うことにより、積極的に圧縮を図っていく必要がある。
本市における令和元年度の公債費に係る経常収支比率15.0%(対類似団体比-2.2pt)は、平成30年度の14.5%から0.5ポイント増加したが、類似団体平均よりも少ない水準である。今後については、大型公共事業に係る起債の元金の償還が始まり、また、今後は老朽公共施設の維持補修等に係る起債事業が予定されるため、公債費に係る経常収支比率は上昇するものと思われる。
本市の令和元年度の公債費以外の経費に係る経常収支比率76.3%は、平成30年度の77.8%から1.5ポイント減少し、依然類似団体平均よりも高い状況ではあるものの、乖離が1.1ポイントに縮まった。公債費以外の義務的経費の経常収支比率は増加傾向にあるが、それ以外の経費の経常収支比率は、ふるさと納税基金繰入金の増加などにより改善した。ただし、今回の改善は臨時的な特定財源が一時的に増加した結果に過ぎず、市税収入等の経常的な財源の減少傾向が変わった訳ではなく、今後も企業誘致や定住促進等による税収確保策に加え、公共施設等の使用料の見直しを行うなど、経常的収入増に向けての取組みを推進していく必要がある。
(増減理由)平成29は、基金全体の残高合計が前年度比3.3%増の2,381百万円であり、うち財政調整基金は全体の48.2%に減少した。特定目的基金は、前年度比8.2%増の973百万円となり、うち、ふるさと納税基金が前年度比32%増の231百万円、庁舎等整備基金が前年度比30%増の130百万円となった。平成30は、基金全体の残高合計が前年度比16.0%減の1,999百万円であり、うち財政調整基金は全体の35.0%に減少した。特定目的基金は、前年度比16.4%増の1,133百万円となり、うち、ふるさと納税基金が前年度比64%増の378百万円、新たに造成した子ども未来基金が45百万円となった。令和01は、基金全体の残高合計が前年度比10.9%減の1,781百万円であり、うち財政調整基金は全体の44.6%に増加した。特定目的基金は、前年度比27.6%減の820百万円となり、うち、交通施設整備基金が23.2%減の292百万円、ふるさと納税基金が71.4%減の108百万円となった。また、令和01から譲与が開始された森林環境譲与税の一部を後年に活用することを目的に、未来の森づくり基金を新たに造成し、11百万円を積み立てた。(今後の方針)財政調整基金については、標準財政規模の10%程度の残高を確保し、予算規模の1%程度を目標に積み立てていく。特定目的基金については、庁舎等整備基金は5億円を目標に積み立て、ふるさと納税基金は充当が必要な事業を精査して取崩しを行い、その他の基金については、基金の趣旨に該当する事業に随時取り崩していく。なお、公共施設整備基金については、改修事業に充当を予定していた文化会館が、令和元年東日本台風により被災し、廃止することとなったため、充当予定事業を再度検討していく。
(増減理由)平成29は、不用額の補正減を積極的に行い、当初繰入見込(-457百万円)から積立(2百万円)に転じ、年度末残高1,148百万円となった。平成30は、年度末時点で歳出超過となったことから、450百万円弱の取り崩しを行い、年度末残高699百万円となった。令和01は、積立額(143百万円)と取崩額(47百万円)の差分増(96百万円)により、年度末残高795百万円となった。(今後の方針)財政調整基金は、当初予算編成及び年度間調整に必要不可欠な基金であるため、標準財政規模の10%程度の残高を確保し、可能な範囲で予算規模の1%程度を目標に積み増しを行う。
(増減理由)平成29は、不用額の補正減を積極的に行い、当初繰入見込(-60百万円)から利子積立に転じた。平成30は、任意繰上償還に対応するため、93百万円を取り崩してその財源に充てた。令和01は、不用額の補正減を積極的に行い、当初繰入見込(-60百万円)から利子積立に転じた。(今後の方針)やむを得ない事情による繰上償還等に対応するため、現状規模の金額を保持していく。
(基金の使途)・交通施設整備基金:交通施設の整備に要する経費に充てるための基金。・庁舎等整備基金:庁舎等の整備に要する経費に充てるための基金。・公共施設整備基金:公共施設の整備に要する経費に充てるための基金。・ふるさと納税基金:ふるさと納税制度を活用し、魅力あるまちづくりを推進するための基金。・子ども未来基金:子育て支援に要する経費に充てるための基金。(増減理由)・交通施設整備基金:(積立)利子のみ(繰入)平成29~令和01スマートIC整備事業(平成297百万円平成3041百万円令和0126百万円)、平成30~令和01道路新設改良事業(平成3014百万円令和0150百万円)、令和01片岡地区市街地整備事業12百万円・庁舎等整備基金:(積立)平成2930百万円平成30利子のみ令和0150百万円(繰入)無し・公共施設整備基金:(積立)利子のみ(繰入)無・ふるさと納税基金:(積立)平成29157百万円平成30386百万円令和0166百万円(繰入)平成30~令和01各種事業へ充当(平成29102百万円平成30239百万円令和01336百万円)・子ども未来基金:(積立)平成3045百万円令和0116百万円(繰入)令和01各種事業へ充当28百万円(今後の方針)・交通施設整備基金:交通施設事業への随時充当する。積立予定なし。・庁舎等整備基金:庁舎整備に向け、当該年度末時点で可能な限り積立てを実施する。・公共施設整備基金:将来の文化会館改修事業への充当を予定していた中、令和元年東日本台風により文化会館が被災した。検討の結果、文化会館の復旧を断念し、その代替施設として、文化施設と屋内体育施設の複合施設を新規整備する方針を固めた。今後は、当該複合施設整備事業への充当を念頭に基金の方針の再検討を進める。・ふるさと納税基金:充当事業を精査し、寄附者の充当希望先へ随時充当する。・子ども未来基金:年45百万円の積立てを継続的に実施。子育て支援に要する事業へ柔軟に対応する。
本市の有形固定資産減価償却率は、対前年度比約2.0ポイントの増で推移している状況であったが(平成28の正しい値は60.9%)、令和元年度は一部道路(農道)の耐用年数修正に伴う増加幅の縮小により前年度比0.1ポイントの増にとどまった。いずれの年度も類似団体平均値を上回っている。公共施設等の老朽化が年々進行し、利用者の安全確保の観点から、施設更新を速やかに進める必要があることを示唆している。本市においては、平成28年度に公共施設等総合管理計画、平成29年度に同再配置計画を策定しており、今後もこの計画に沿って施設等のマネジメントを進めることになる。
本市の令和元年度債務償還比率606.4%(類似団体比-102.5)は、平成30年度の615.1%から8.7ポイント減少している。これは、体育施設等の指定管理開始による公債費に準ずる支出の増加に伴う分母の増が、塩谷広域行政組合の環境施設償還金の増等による分子の増を上回った結果と思われる。矢板北スマートIC整備や小中学校空調整備等の大型公共事業による新規地方債を発行していることから、今後債務返還比率は増加に転じると見込まれる。
本市の令和元年度における将来負担比率50.2%(対類似団体比+0.5pt)は、平成30年度から7.1ポイント増加し類似団体の平均値を上回った。矢板北スマートIC整備や小中学校空調整備等大型公共事業による新規地方債を発行していることを考慮すると、将来の負担について今後も注視していく。一方、有形固定資産減価償却率は、令和元年度を除き対前年度比約2.0ポイントの増で推移している状況であり、類似団体平均値も上回っていることかから、今後より一層計画的に施設等のマネジメントを進めていく必要がある(平成28年度の有形固定資産減価償却率の正しい数値は60.9%)。
本市の令和元年度における将来負担比率50.2%(対類似団体比+0.5pt)は、平成30年度から7.1ポイント増加し、類似団体の平均値を上回った。また、実質公債費比率9.0%(対類似団体比△0.2pt)は、平成30年度の9.1%から0.1ポイント減少しているものの、単年度では9.6%と悪化しており、改善傾向があるとは言い切れない。今後も、矢板北スマートIC整備や小中学校空調整備等大型公共事業による新規地方債を発行していることを考慮すると、将来負担及び実質公債費比率について引き続き注視していく。
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