経営の健全性・効率性について
経常収支比率について、過去5年間において100%以上となっており、経営黒字となっている。流動比率について、簡易水道事業水と上水道事業が経営統合してから5年、ほぼ横ばいで100%を僅かながら上回り収支均衡を保っている。また、企業債の償還額も年々減少することから100%以上は維持できるものと考えられる。企業債残高対給水収益比率について、類似団体より約124%高くなっているが、償還元金残高においては、令和10年度頃までが償還のピークとなっており、その後は一気に減少する見込みである。今後、新規起債を予定しているため、単年度において若干の増加が見込まれるが、健全性は確保されている。料金回収率及び給水原価については、H29年度より旧簡水(低い給水収益・高い経常費用)との統合により給水原価が高騰、過去5年間の料金回収率を見ても100%前後と給水収益だけでは給水費用を賄うことが難しい状況となっている。今後も、更なる経費削減対策を講じるとともに、料金改定も視野に入れ、検討していくこととなる。施設利用率について、人口の減少の加速化及び最需要期の配水量の低下等、施設の遊休率が高くなってきている。施設も老朽化しており更新時期を迎えるにあたり、過大対策として施設設備のダウンサイジング化を図り、効率性の向上対策を実施することとしている。有収率について、基幹管路の更新を計画的に行っているが、中々向上しない。基幹管路以外の配水管等の漏水が原因と考えられるため、漏水調査にも力を入れ有収率の向上に努める。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、類似団体に比べ約6.2%、全国平均に比べ約3.7%高く、耐用年数に近い資産が多い状況である。特に、鰺ヶ沢町浄水場については、40年を経過し、建物・機械設備・電気設備等は全体的に老朽化が進んでおり、水害対策も含め施設の更新の必要性が高い状況にある。管路経年化率については、耐用年数を超える管路が増加傾向にあるが、近年、40年経過の基幹管路の更新を計画的に行っており、老朽管の管路延長も減少している。今後も施設の更新に係る財源の確保や経営に与える影響も踏まえながら、計画的かつ効率的に取り組む必要がある。
全体総括
小規模事業体で地理的条件も悪く、過疎化の進行による人口減少等に伴い経営状況が悪化するものと推測されるが、経常収支は黒字を維持している。また、類似団体と比べて水道管や施設の老朽化も著しく進んでおり、有収率の指標のとおり配水管からの漏水(お客様に供給する前に漏れてる様子)が多く、ムダな経費を生む原因の一つとなっていると考えられる。更に今後、経年化に伴う大規模施設(浄水場、配水池等)の更新を実施していかなければならず、料金改定、ダウンサイジング、広域化など様々な角度から検討を行い、適正化に努めていく必要がある。これらを踏まえながら、R4年度中には経営戦略を見直し改定する。