経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、当該年度では災害に強い耐震性能の高い配水池に更新したことに伴う固定資産除却費が増加したことにより、前年度と比較して8.54%低くなっているが、累積欠損金もなく、一般会計からの繰入金もほぼないことから、現時点では給水収益によって給水費用を賄えている。流動比率は、直近の5年の中では数値として最大値となっているが、100%以上を維持しており、短期的な債務に対する支払い能力を確保している。企業債残高対給水収益比率は、投資的経費の財源を引き続き企業債に依存している状況のなか、当該年度に配水池の更新に際しその資金を企業債としたことにより、数値が上昇したところである。給水原価は、当該年度では固定資産除却費の増加に伴い数値をここ数年より上昇していることから、現時点では施設維持管理等に係る経費の削減といった方策を検討していく必要がある。施設利用率は、数値としては前年度と比較して2.8%上昇したが、依然類似団体平均値及び全国平均値を下回っており、施設の配水能力と、人口減に伴い減少傾向にある配水量との乖離によるものである。有収率は、数値が100%にならないのは管路の老朽化による漏水が主な原因と考えられ、対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、資産の老朽化が進んでいることがわかる。管路経年化率は、数値としては直近5年間横ばい状態であり、更新時期を迎えた管路が増加していることがわかる。管路更新率は、現状の数値でも、全ての管路更新には約100年を要するため、十分とは言い得ない状況にある。
全体総括
令和3年度決算時では、給水収益により給水に係る費用に充当できているが、今後人口減・世帯減に伴う収益の減少、管路及び施設設備更新のための投資的費用が増えることが見込まれており、さらに令和4年度では、燃料費等の高騰により稼働に要する費用負担が大幅に増えており、さらなる経費節減、水道事業の効率的運用に努める必要がある。管路及び施設設備等の老朽化に伴う更新については、費用等の平準化を図るなど効率的な更新計画を立てる必要がある。また老朽化が著しい施設等の廃止、ダウンサイジング等を検討していく。そういった状況を鑑み、持続可能な水道事業の経営に必要な範囲での料金改定の必要性を検討するなど上記に記載したことを盛り込み、経営戦略の改定をしていくものである。