経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%より高くなっている。昨年度比で11.61ポイント増加しているが、令和2年度に新型コロナウイルス対策で実施した水道基本料金の免除を実施したためであり、健全な経営ができているといえる。②累積欠損金は0であり、営業活動中により生じた損失で複数年度にわたって累積した損失を示す。③流動比率は、昨年度より決算時点の未払金の増加により数値は減少しているものの、平均値より高い値で推移しており、健全性を維持できている。④企業債残高対給水収益比率は毎年度平均値より低い値を維持できている。その要因としては、給水収益は給水人口の増加等により増加する一方、企業債残高は借入より償還額が大きいためであり、適切な企業債の借入と償還が行われているといえる。⑤料金回収率が類似団体の平均値より高くなっている要因は⑥給水原価(有収水量1㎥あたりについてどれだけ費用がかかっているかを表す)が平均値より低くなっているからである。今後も経費の削減に努め、経営努力を続けていきたい。⑦施設利用率に関しては、平均値より高い値で推移できているため、適切な施設利用ができているといえる。引き続き毎年注視し、健全な資産管理に努めていきたい。⑧有収率(愛知県から仕入れた水に対してお客様に供給している割合)は他地域に比べ平地で狭いという利点を活かし、良好な水準を保てている。今後も漏水調査等を行い、現行の水準を継続していくことに努めていきたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産原価償却率は、物価上昇等に伴い、高い費用で管路を更新したことにより年々増加しています。法定耐用年数を超えた管路の割合(②管路経年化率)は昨年と比較して0.05ポイント増加したが、現状、老朽化した資産は類似団体と比較しても少ない。③管路更新率は前年度と比較して0.77ポイント減少した。直近5年では全国平均・類似団体平均値は大幅に超えているものの、このペースでは、全ての管路を更新するのに48年かかる計算となる。管種によっては長寿化され、更新基準を延長してもよいのではと考えられる水道管もあるが、より安定した更新ができるよう資金面・体制面で努力していきたい。
全体総括
令和2年度に実施した新型コロナウイルス対策による水道基本料金減免を行った影響により悪化した数値は今年度は例年通りに推移した。現状では、高い有収率を維持していること(老朽管の破損でおこる漏水等による収益率の低下が少ないこと)や管路経年化率が低い値で推移していることから必要な更新投資をしつつ、健全性を維持できているといえる。しかしながら、現状の管路更新率では、今の良好な状態が続くとは言えず、いずれ老朽化資産の割合が増えていくことが予想されるので、これから老朽化していく資産に対し、適切な更新基準、必要な資金を改めて精査し、着実な更新を行う。昨今の物価高による影響も今後予想されるが、近隣市との広域化研究会議を実施し、経費の削減を検討している。経営戦略については、令和元年9月に策定済み、令和6年度経営戦略見直し予定。